球磨川水系河川整備基本方針改定案に関する配布資料(9/27国交省委員会)

 さる9月29日、国土交通省は球磨川水系河川整備基本方針の改訂案を検討する社会資本整備審議会小委員会を開きました。
 河川整備基本方針は、それぞれの水系における長期的な洪水対策の目標を定めるものです。

 この委員会の資料が国土交通省のホームページに掲載されました。

 第115回 河川整備基本方針検討小委員会 配付資料一覧  
 https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/dai115kai/index.html

 国土交通省は昨年2020年7月の熊本豪雨の際の球磨川洪水の最大流量(市房ダム戻し・氾濫戻し流量)の計算値を中流部の人吉地点で7900㎥/秒、河口に近い横石地点(八代市)では12600㎥/秒としていました。今回の基本方針改定案の基本高水流量は人吉8200㎥/秒、横石11500㎥/秒となっています。人吉地点では後者が前者を少し上回っていますが、横石地点では想定最大規模の流量が昨夏の洪水流量を下回っています。

 「基本高水流量」とは今後の洪水対策を検討する際、想定される最大規模の流量を意味します。最大規模の洪水に備えることを目的とした数値ですから、これまで国土交通省が各水系で「基本高水流量」を決める際には、近年実際に起きた洪水の流量よりは大きな値に設定してきました。しかし、今回の球磨川水系の河川整備基本方針の変更案では、横石地点に関しては2020年の洪水流量(実績)より小さい流量が想定され、人吉地点においても実績との差はわずかです。
 つまり、これから国土交通省が策定しようとしている球磨川水系の河川整備基本方針は、昨年の洪水を想定外としており、同じ規模の洪水に襲われたら水害を防げないことを許容するものだということになります。このような河川整備基本方針は前例がないようです。

 以下の資料2の8ページの2020年7月洪水の最大流量の実績はあくまで計算による推定値です。推定値の計算方法にどこまでの科学性があるのかは不明です。

 河川整備基本方針検討小委員会 配付資料2 8ページおよび17ページ
 

 国土交通省は昨年、水害発生から間もなく、この推定値をもとに、これほど大きな流量に対応するためには、球磨川支流の川辺川で20年間休止していた巨大ダムを建設するしかないという結論を導き出しました。今回の河川整備基本方針の変更も、川辺川ダム計画の復活を最大の目的にしているように思われてなりません。
 具体的なダム名は、河川整備基本方針には明記されず、基本方針の後に策定される河川整備基本計画に明記されることになっています。

〈参考記事〉2021年9月7日 熊本日日新聞