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長野原町、過疎法対象指定でダムや自然生かした発展計画

 今朝の上毛新聞に、八ッ場ダムを抱える長野原町が過疎地域発展計画を策定したことが報道されています。

◆2021年10月8日 上毛新聞
ー長野原町 過疎法対象指定で発展計画 ダムや自然で産業振興ー

 国の財政支援が受けられる過疎法の対象市町村に新たに指定された長野原町は7日までに、町過疎地域持続的発展計画を定めた。完成した八ッ場ダムや周辺観光施設と、浅間山麓の自然環境を生かした産業振興を進める。
 過疎対象事業を実施するため2026年3月までの5年間を計画期間とし、6項目の基本方針を掲げた。

 経済対策では農林業と商工業協力による6次産業化の支援や、ダムと自然環境を連携させた産業振興で町全体の魅力を向上させる。

 人材育成では「自分事として町づくりを考え動ける人間」の育成を目標とする。

 子育て・医療・福祉の充実や、暮らしやすく衛生的な住環境整備、災害に強く安心して生活できる町の形成、住民の主体性を重視した協同の地域づくりも進めていく。

 国勢調査における町内人口は、15年の5536人から25年は5479人以上とし微減にとどめることを目標にする。町企画政策課は「町の総合計画やSDGsも踏まえて取り組む」とする。(関坂典生)

—転載終わり—

 長野原町のホームページに、今年9月に策定された計画(全118ページ、2MB)が掲載されています。

計 画 名:「長野原町過疎地域持続的発展計画」 計 画 期 間:令和3年4月1日から令和7年3月31日まで(5年間) 策定年月日:令和3年9月3日議決

 過疎地域持続的発展計画は、新聞記事にあるように、いわゆる「過疎法」に基づいて指定された地域が策定するもので、現行の「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」による対象地域は、群馬県内では右図(群馬県ホームページより「群馬県の過疎地域及び特定市町村(令和3年4月1日現在))の通りです。長野原町は今年初めて対象地域となりました。

 長野原町の人口は、上記の発展計画2ページによれば、1975年当時は7194 人であったものが、2000年には6939人と緩やかな減少を続けてきましたが、2001年より八ッ場ダム建設に伴う水没地区居住者の移転が始まったことから人口流出が急激に進み、毎年約100人程度減少し続け、2015年では5536人(減少率 23.0%)となり現在も人口減少が進んでいます。
 計画では2025年に5479人以上と微減にとどめることを目標とするとのことですが(8ページ)、最新データ(今年9月末)によれば、町人口は5409人と、すでに目標人口を下回っています。
(長野原町ホームページ「人口集計表」

 長野原町は吾妻川流域の古くからの集落と浅間山麓の高原地帯からなります。吾妻川流域では、第二次大戦後、川原湯温泉の隆盛が地域経済を牽引してきましたが、ダム事業が始まるとダム関連業者が増えました。ダム完成により、今度はダムを資源とした観光業への転換が図られていますが、ダム事業によってダム湖周辺に整備された数々の施設は初年度の2020年度は赤字を計上しているとのことで、町財政への負担が懸念されています。
★参照ページ➡「八ッ場ダム周辺施設開業1年」(上毛新聞)

群馬県ホームページより「八ッ場ダム周辺の地域振興施設」