会報42号を発行しました。
〈目次〉
巻頭言 「野村ダムと鹿野川ダム、緊急放流で沈んだ町」 入江須美(肱川水害訴訟原告団)
2~4ページ 「何が生死を分けたのか? ー球磨川水害溺死者50名調査から」ー 嘉田由紀子(参議院議員・環境社会学)
5ページ 「八ッ場ダムの堆砂状況(堆砂が急速に進行)」 嶋津暉之(八ッ場あしたの会運営委員)
6~7ページ 「八ッ場ダム湖周辺の観測体制に関する公開質問、国交省回答と当会の見解]
8ページ 事務局だより
気候温暖化により各地で毎年水害が発生しています。
2018年の西日本豪雨では、愛媛県を流れる肱川で国直轄の野村ダムと鹿野川ダムが満水となり、緊急放流を行ったことから、ダム直下の町は一気に洪水に呑み込まれ、8人の住民が犠牲となりました。今回の巻頭言は、ご家族がこの水害で亡くなられた被災者の方から、生々しい体験記をお寄せいただきました。
国は「流域治水」という新たなキャッチフレーズを掲げたものの、「流域治水」にとって不可欠な流域住民との対話、情報公開を進めようとせず、ダム偏重の河川行政は本質的には変わらぬままです。
今号では、滋賀県知事として「流域治水」を実践された嘉田由紀子参院議員による、2020年7月の球磨川水害の犠牲者についての詳細な調査結果も報告していただきました。この報告の中で、嘉田氏は、たとえ川辺川ダムが建設されていたとしても、ダムによって救われた命はほとんどなかったことが調査結果を検討して判明したとし、球磨川において本来の「流域治水」を実践する必要性を訴えています。国土交通省は昨夏の球磨川水害以降、早々と球磨川水系の巨大ダム計画(球磨川の最大支流の川辺川に流水型ダムを計画)を復活させました。ダム計画が復活して以降、この一年間、流域の安全性を確保するための治水対策は遅々として進まず、被災者の中には、元の場所での生活再建をあきらめる住民も少なくありません。ダム計画に縛られた思考停止状態では、今後さらに犠牲者が生まれることは必至です。
今回の会報では、完成から1年たった八ッ場ダムについて、上流から貯水池に流れ込んだ土砂が想定の16年分に相当することや、ダム湖周辺の地盤の変動に関する観測体制の現状についても取り上げています。
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