九州の公共事業関連、来年度予算は川辺川ダム26億円、立野ダム165億円

 2020年7月の球磨川水害を機に、国土交通省九州地方整備局が新たに「流水型(穴あき)ダム」として復活させた球磨川支流・川辺川の国直轄ダム計画は、来年度の事業費が確定したと報道されています。来年度は26億円とのことですが、事業が継続すれば今後さらに年度ごとの事業費は上がっていきます。
 熊本県では、同じく国直轄の立野ダムが阿蘇で建設中です。こちらは来年度の完成に向けて、165億円余が投じられるとのことです。
 ダム建設は事業費が莫大で、完成に時間がかかります。川辺川ダムも順調に事業が進んだとしても、完成は10年以上先とされます。
 ダムの治水効果を事業者は大きくアピールしますが、専門家の間からもその科学性について大きな疑問が投げかけられており、さらに河川環境への悪影響は計り知れません。国は新たな治水方針として流域全体で洪水を受け止める「流域治水」を掲げていますが、予算配分を見る限りダム最優先の姿勢は変わっていません。

◆2021年12月24日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC23AU00T21C21A2000000/
ー川辺川ダムに26億円 22年度予算案、九州で治水に重点ー

 政府が24日閣議決定した2022年度予算案で、九州の公共事業関連は熊本県の立野ダムなど防災・治水分野への配分が目立った。20年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水対策として建設が検討されている川辺川ダムの関連費は21年度当初予算の約5倍の26億円を計上した。豪雨などの被災地で、復旧・復興事業を迅速に進めるため、原形復旧を必ずしも前提としない方法も示されるなど、災害復興のあり方を探る動きもあった。

 ダム整備では九州で6件が計上された。金額では立野ダムが4%増の165億円で九州で最大だった。流水型ダムとして建設中で、本体工事や管理施設の設置費が盛り込まれた。川辺川ダムは21年度に続き、ダム本体の建設に向けた検討費用を計上した。地質や環境など調査項目が増え、26億円を計上した。

 「筑後川水系ダム群連携」(福岡県)では導水ルートを定めるための地質・環境調査などに4億円を計上。本明川ダム(長崎県)の整備に向けた費用などに53億円、城原川ダム(佐賀県)は10億円で、21年度と同水準だった。

 21年8月豪雨など豪雨被災が相次ぐなか、迅速な復旧を実現するため、従来の原形復旧のみを前提とするやり方を見直す。河川の氾濫などで浸水を許容する区域を設け、河川改修費の膨張を抑える。これによって節減された事業費を下回る範囲で、浸水を許容する区域の住宅移転などを支援する。九州の被災地の復興や流域治水の進め方に影響を与えそうだ。

 鉄道インフラの整備では、22年秋に武雄温泉(佐賀県武雄市)―長崎(長崎市)間で開業する西九州新幹線の整備費などに120億円を充てる。工事のピークを過ぎており、21年度当初予算に比べて490億円減となった。

 運営権売却方式で民営化した空港の運営事業者を支援する無利子の貸し付けも継続する。予算額は21年度当初予算比で約4倍の127億円で、九州では福岡空港と熊本空港が対象となる。

 道路改築事業(1兆451億円)には、バスターミナル再編と再開発を絡めた「バスタプロジェクト」の関連予算も盛り込まれた。長崎駅などで検討が進んでおり、官民連携や民間資金活用の検討を採択の要件とし、地域活性化への効果に応じて予算を重点配分する方針が示された。

◆2021年12月24日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/507252
ー川辺川の流水型ダム関連に26億円 国交省、構造の検討本格化ー

 国土交通省は24日、2022年度政府予算案に、熊本県の球磨川支流・川辺川に整備する流水型ダムの建設関連費26億4100万円を盛り込んだと発表した。新たなダムの構造など概略の検討を本格化させるため、21年度当初予算から4・8倍に増額する。

 国交省は今月、昨年7月豪雨で被災した球磨川流域の治水対策のため、普段は水をためない流水型ダムを貯留型の旧川辺川ダム計画と同じ相良村四浦に建設すると明らかにした。総貯水容量も旧計画と同規模の約1億3千万トンを予定している。

 来年度の予算には、洪水時に水に漬かる区域やダム本体部分の地質調査に取り組む費用、環境影響評価(アセスメント)に伴う水質と動植物の調査費も計上した。

 国交省は流水型ダムを整備するために必要な球磨川水系の河川整備計画の策定を進めている。ダムの完成時期は30年度以降となる見通し。同省治水課は「概略検討にかかる期間はまだ不確定だが、終わり次第、ダム本体の詳細設計に入る。環境に配慮した構造を突き詰める」としている。

 県内のダム関連ではこのほか、同じ流水型の立野ダム(南阿蘇村、大津町)の建設関連費に前年度比5億9700万円増の165億3200万円を充てる。22年度中の完成に向け、残りの本体工事やエレベーターなど管理用設備の整備を進める。(内田裕之)

◆2021年12月24日 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20211224-OYTNT50087/
ー川辺川流水型ダム26億円…予算案 前年度の5倍計上ー

 24日に閣議決定された2022年度予算案には、昨年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の新たな治水対策として、支流の川辺川で建設が検討されている流水型ダムの関連費約26億4100万円が計上された。国はダム本体の構造を検討するために必要な地質調査などを進める予定で、関連費用は21年度当初予算の約5倍に増えた。

 国土交通省によると、22年度は予定地周辺の地質調査に取り組み、引き続きダム本体の構造の具体化を図る。県の要望を受けて21年度に始まった環境影響評価(環境アセスメント)の一環として、動植物や水質などの調査も本格化させる。

 同省は今月7日、流水型ダムについて、従来の川辺川ダムが計画されていた同県相良村の予定地に建設する方針を表明。14日には、環境影響評価の第1段階として、環境への影響を整理したリポート案を専門家会議に提示するなど、建設に向けた動きを加速させている。

 熊本県の蒲島郁夫知事は2008年、川辺川ダム計画の「白紙撤回」を表明。九州豪雨後の20年11月に方針を転換し、国に流水型ダムの建設を要望した。これを受けて、同省は21年度当初予算に関連費5億5500万円を盛り込み、調査・検討を始めた。