八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

川原湯で地ビール製造・販売の企画

 地元紙の一面記事を転載します。ダム湖畔の「川原湯温泉あそびの基地NOA」で地ビール醸造の準備が進められているというニュースです。
 川原湯温泉駅は無人駅となってしまいましたが、東京の会社が企画した地ビールの製造・販売で駅周辺に新たな賑わいが生まれるでしょうか?

◆2022年1月6日 上毛新聞
ー八ッ場に地ビール 湖畔で醸造、販売準備ー

 長野原町の八ッ場ダム湖畔にある観光施設「川原湯温泉あそびの基地NOA(ノア)の空きスペースを活用した地ビール(クラフトビール)の製造、販売の準備が進められている。同所のキャンプ場や川原湯温泉旅館などで提供する計画で、八ッ場の新たな名物になりそうだ。

 川原湯温泉駅キャンプ場(新保孝三代表)を運営するイノーバー・ジャパン(東京都台東区)が、ダム湖「八ッ場あがつま湖」に臨むノアの一部を刈り、酒類製造免許を持つアウグスビール(同文京区、坂本健二社長)が生産を担う。
 醸造所を「川原湯温泉醸造舎」と名付け、年間1万㍑以上のビール製造を計画。建物内を改装し、発酵タンク(300㍑)2基などを既に設置した。

 同社は大手ビールメーカー勤務経験者が設立した企業で、醸造技術に定評がある。今後、関係機関との調整を経て仕込みの準備を進め、試飲などで寄せられる意見を踏まえて醸造工程を確立させる予定だ。
 個性のある味わいを楽しめるエールビールなどの製造を想定しており、今後具体化させる。将来的には町内で栽培されたホップの活用のほか、牛乳や高原野菜といった特産品をブレンドしたビールを造り、地場色を強める考えだ。

 醸造所に併設する試飲コーナーも準備している。JR川原湯温泉駅から徒歩1分の立地を生かし、電車利用の立ち寄り客も見込む。キャンプ場のバーベキュー利用客には、10㍑樽のサーバーごと提供するほか、川原湯温泉旅館や町内の土産店などでの販売を目指す。

 坂本社長(67)は「八ッ場にふさわしい味を造っていきたい」とし、新保代表(64)は「八ッ場で造りたてのビールを楽しんでもらいたい。『マイクロブルワリー』として希少価値のあるものにしたい」と展望する。
 ビール醸造所によってノアの空きスペースはなくなり、ダム建設に伴う地域振興施設がフル活用される。(関坂典生)

—転載終わり—

 八ッ場ダム事業では、八ッ場ダムの利水事業(都市用水の供給)に参画した一都四県(東京・埼玉・千葉・茨城・群馬)が水没五地区の各地区の地域振興を目的として、施設の整備費を負担しました。「NOA」は川原湯地区の地域振興施設として、事業費22億9千万円をかけて整備されました。

「川原湯温泉あそびの基地NOA」ホームページ

 八ッ場ダム周辺では、国道に面したダム堤や道の駅八ッ場ふるさと館が草津温泉などへ往来する観光客の集客に成功している一方、かつて観光の中心だった川原湯地区は賑わいから取り残されています。
 「NOA」の運営会社は、川原湯温泉の老舗の旅館主の方々が立ち上げましたが、「NOA」の中にあるキャンプ場、温泉、カフェは東京の有限会社イノーバー・ジャパンが運営しています。今回の企画も同じ会社です。
写真右=JR川原湯温泉駅や「NOA」がある川原湯地区の上湯原代替地。写真撮影2022年1月6日。

 2020年8月にキャンプ場(グランピング)の営業が始まりましたが、季節が限定される上、豪華な施設は利用者が限られるため、JR川原湯温泉駅前という好立地ながら、立ち寄りスポットとしては敷居が高い印象でした。
写真右上=NOAのキャンプ場。雪が見える写真左側は、JR吾妻線の線路。 

写真右=鉄骨2階建て、延べ床面積1565平方㍍のNOAの入り口。カフェ、温泉施設がすでに営業している建物内に、新たに醸造所ができる。
 

 「NOA」で地ビールを醸造する企画は、一昨年、クラウドファンディングによる資金募集(目標額1200万円)として公表されました。けれども、当該ページ(下の画像)の説明によれば、期限内(2020年10月1日~11月29日)には目標額に達しないまま募集を終了しました。
 上記の記事を読むと、アウグスビールが生産を担うなど、クラウドファンディングで提示された企画がそのまま継続しているようです。
写真右=NOAの建物内に設置されたビール醸造用のタンク。

idea market より