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球磨川河川整備計画の公聴会始まる

  熊本県を流れる球磨川水系について、今後30年間の治水計画を決定する河川整備計画が策定されようとしています。計画の原案には、球磨川支流の川辺川ダム計画が盛り込まれており、その行方が注目されています。
 国交省は流域住民の意見を聴くための公聴会を4月23日に開始しました。球磨川は2020年の豪雨で大水害となり、これを契機に巨大ダム計画がよみがえりましたが、公聴会のニュースを見ると、川辺川の新たなダム計画については、流域住民の反対意見が多いようです。

 球磨川水系の河川整備計画については、公聴会と並行して国と熊本県が一般の人々の意見を募るパブリックコメントも実施中です。パブリックコメントの意見提出方法については、こちらのページをご参照ください。
「球磨川水系河川整備計画のパブリックコメント」

 熊本の市民団体によれば、ダム建設に反対、清流を守ってほしいと思っている方は全国どこからでも意見を寄せることができるとのことです。難しいことを書かなくとも、単純に「私はダムは要りません。」「地元住民、とりわけ水害体験者の意見を聞いてください。真摯に向き合ってください。」という意見でも大丈夫とのことです。

 関連記事を転載します。

◆2022年4月24日 熊本日日新聞
ー流水型ダム、流域住民から異論相次ぐ 球磨川水系の治水整備、公聴会始まるー

 国土交通省と県がまとめた球磨川水系の河川整備計画原案に対する流域住民の公聴会が23日夜、始まり、球磨村で3人、多良木町で1人が意見を述べ、国が計画する川辺川への流水型ダム建設に異論が相次いだ。27日まで10市町村で計33人が意見を述べる予定。

 原案では、流域住民の命と環境を守る「緑の流域治水」を推進するとして、国内最大規模の治水専用の流水型ダムや遊水地、堤防の整備、河道掘削などを盛り込んでいる。

 球磨村の球磨中体育館では10人が傍聴。被災者団体の代表で医療事務の男性(51)は「荒廃した山林の対策を進めるべきだ。流水型ダムの治水効果、環境負荷は未知数。再考を求める」と主張した。渡地区の元区長の男性(68)は「命を守るのはダムではなく、一人一人の心構えや防災教育だ」。八代市の自営業の男性(70)は「整備計画策定のため、住民参加の討論会を開くべきだ」と訴えた。

 多良木町の多目的研修センターでは2人が傍聴し、保育士の女性(69)が「自慢の球磨川が永遠に清流であってほしい」と堆積土砂撤去などダム以外の対策を求めた。

 国交省は2020年の豪雨災害を受け、21年12月に長期の治水目標を定めた河川整備基本方針を見直し、従来目標を引き上げた。これを踏まえ、今後30年程度で進める対策として整備計画の策定を進めている。公聴会は、整備計画に住民意見を反映させるため河川法で定めた手続きの一つ。

 国交省は公聴会と別に5月6日まで募集中の意見も合わせて検討し、計画案を策定するとしている。公聴会を当初予定した12市町村のうち、湯前町と水上村では意見公述の申し込みがなく、開催を取りやめた。(中村勝洋、川野千尋、元村彩)

◆2022年4月25日 朝日新聞
ー球磨川流域の治水対策、住民から批判や指摘 整備計画の公聴会始まるー

 【熊本】2020年7月の記録的豪雨で氾濫(はんらん)した球磨川流域の治水対策をまとめた「球磨川水系河川整備計画(原案)」について、流域住民の意見を聞く公聴会が23日から始まった。27日まで計10会場で開かれる予定。

 23日には流域で最も多い25人の犠牲者を出した球磨村で開かれ、公述人3人が意見を述べた。

 豪雨で自宅が屋根まで浸水した市花保さん(51)が最初に発言した。原案について、「被災の実態にあっていない」と批判、原案に含まれる国内最大級の流水型ダムの建設についても「豪雨全体の検証が不十分で、対策も対症療法。そこに『副作用』の強いダムを持ち出してきた」と再考を求めた。

 河川整備計画策定にむけた国や県の進め方についても批判の声があがった。

 八代市の南由穂美(ゆほみ)さん(70)は「本来は住民への説明会を開いてからの公聴会ではないか」と指摘した。

 24日に開催された人吉市の会場でも、公述人5人のうち3人が公聴会のあり方について注文をつけた。

 公述人、参加者いずれも、申し込みが必要だった。林通規さん(72)は「誰でも自由に発言、質疑応答ができるオープンな会を設け、たくさんの住民の意見が計画に反映されることを強く望む」と話し、「住民の意見が河川整備計画にどう反映されるのか、意見や疑問に回答がなされるのかも不明だ」と指摘した。

 原案については、5月6日まで県のホームページ(https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/105/130972.html別ウインドウで開きます)などで意見を寄せることができる。(杉浦奈実、今村建二)

◆2022年4月24日 くまもと県民テレビ
ー豪雨被災地で流水型ダムへ住民の意見割れる【熊本】球磨川水系河川整備計画ー

 球磨川水系河川整備計画の原案について住民から広く意見を求める公聴会が24日、人吉市で開かれた。

公聴会は、23日から27日まで、流域の10市町村で開かれる。

人吉市の公聴会では、5人のうち3人が流水型ダムについて、反対の意見を述べた。

■人吉市の男性(70代)
「望む治水は14年前の2008年に蒲島知事が表明した宝である清流を守るため極限までダムなし治水を極限まで進めるという原点に返った治水だ」

一方、2人は、流水型ダムを容認する意見だった。

■人吉市の男性(70代)
「穴あきダムの完成は14年後と発表されたが、もっと早く完成するよう見直してください」

球磨川流域12市町村には、意見箱が設置され、インターネットでも意見を募っている。

◆2022年4月24日 NHK熊本放送局
ー球磨川水系の河川整備計画策定に向け 公聴会始まるー

 おととしの豪雨ではん濫した球磨川水系の治水対策のもとになる、河川整備計画の策定に向けて、地元の住民から意見を聞く公聴会が23日夜、球磨川流域の市町村で始まりました。

 おととしの豪雨を受けて、国や県は、従来の川辺川ダムの建設予定地の相良村に「流水型ダム」を建設し、あわせて河川の掘削や遊水地の整備などを行う治水対策を盛り込んだ河川整備計画の策定を進めていて、この計画案について住民から意見を聞く公聴会が、23日夜から流域の市町村で始まりました。

 このうち球磨村では、3人の住民が意見を述べ、「計画案の治水対策はどれも対症療法的なものばかりで、根本的な対策がなされていない。このままだと、村の人口減少がさらに進むことになりかねない」とか、「流水型ダムは環境への負荷が少ないと言われているが、影響はあると思うし、ダムに頼って水をコントロールするという発想は無理がある」などといった否定的な意見が出されました。

 公聴会は、球磨川流域の10の市町村で今月27日まで行われる予定で、国と県は、住民の意見を踏まえて、河川整備計画の策定を進めることにしています。

◆2022年4月24日 熊本放送
ー豪雨災害受け治水策 流水型ダムに意見 球磨川水系「河川整備計画」原案 各地で公聴会ー

 球磨川の治水整備を巡り国と県は、今月公表した「河川整備計画」の原案について流域住民への聞き取りを始めました。
 五木村で行われた「河川整備計画」の公聴会には、およそ20人の地域住民が参加しました。

 この計画案は、2020年の豪雨災害を受け球磨川の今後30年間の具体的な整備目標などが示されたもので、今月4日に国土交通省と県が原案を公表しました。
 原案には堤防や遊水地の整備のほか、川辺川への「流水型ダム」の建設が盛り込まれています。

 公聴会に参加した70代男性は「流水型ダムの建設で、村の人口が減少すると税収も少なくなる。その補償は考えてあるのか」と意見を述べました。
 また60代男性は「ダム建設の話が出たり消えたり。毎回政策が変わることに振り回され腹立たしい。流水型ダムが本当に効果があるのか、納得できるような説明をしてほしい」と訴えました。

 国土交通省と県は来月6日まで意見を募り、計画の策定を進めていくということです。

◆2022年4月25日 熊本日日新聞
ー流水型ダム巡り意見交錯 人吉市など5市町村で公聴会 球磨川水系の治水整備案ー

 国土交通省と熊本県がまとめた球磨川水系の河川整備計画原案に対する民意を聞く公聴会は2日目の24日、2020年の熊本豪雨の被害が大きかった人吉市のほか芦北町、五木村、八代市、あさぎり町の5市町村で計22人が意見を述べた。

 人吉市では5人が発言。国が支流・川辺川での建設を目指す流水型ダムを巡っては、「ダムで命を守れるのか、検証がないまま建設は容認できない」「ダムの治水効果は大きい」といった意見が交錯した。

 ダム建設に伴う水没予定地を抱える五木村では、旧ダム計画の中止後に再び建設へ方針転換した国や県に対し、「無責任だ」との批判が上がった。八代市では10市町村の会場で最多の9人が意見を述べた。

 河川整備計画原案には今後30年程度で進める治水策を明記。公聴会は25~27日、残る3町村で開かれる。(中村勝洋)