全国のダム問題に取り組んできた水源開発問題全国連絡会(略称:水源連)のホームページに、同会共同代表の嶋津暉之さんによる、川辺川ダムの環境アセスメントに関する論考が公開されました。ぜひお読みください。
➡「流水型川辺川ダムの環境アセスの現状と今後について」
球磨川の最大支流・川辺川は、16年連続で国土交通省が「水質が最も良好な河川」に選んでいます。開発事業が全国津々浦々で進められてきたわが国に残された、文字通り日本一の清流です。
熊本県では、川辺川ダムが河川環境に致命的なダメージを与えるとして、流域住民が粘り強い反対運動を展開してきました。このため、2008年には熊本県がダム計画を白紙撤回、国交省も一旦はダム計画を中止する方針を明らかにしましたが、2020年の球磨川水害を機に悲願のダム事業を新たに進めようとしています。
川辺川のダム建設は、川辺川だけでなく本流の球磨川への影響も甚大です。流域では今もダム反対の声が多いことから、国交省は新たなダム計画は洪水時のみ貯水する穴あき(流水型)ダムを採用することとしています。国土交通省は流水型ダムは「環境にやさしい」とPRし、川辺川ダム計画は環境影響評価法が制定されるより前に策定されたことを理由に、正式な環境アセスメントを実施せずに済ませることにしています。
この間の川辺川ダムをめぐる動きは、わが国の環境行政の貧しさを象徴していると言えます。