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川辺川ダム盛り込んだ球磨川の河川整備計画、国と熊本県が決定

 本日、国土交通省と熊本県は、球磨川水系の河川整備計画を決定しました。河川整備計画はダム計画の上位計画であり、球磨川水系河川整備計画策定の目的は、川辺川ダムを球磨川の治水計画に法的に正式に位置づけることでした。
 2020年7月の球磨川水害以降の川辺川ダムの復活は、まさにショックドクトリンそのものでした。今年4月に球磨川の最大支流である川辺川に新たに治水のみを目的とした「流水型(穴あき)ダム」を建設する計画を盛り込んだ河川整備計画の原案が示されると、球磨川流域住民からは公聴会で不満が噴出、パブリックコメントではダム建設への反対意見が実に7割に達し、賛成意見はわずか4.8%であったということです。しかし蒲島郁夫・熊本県知事は、流域住民が求める説明会の開催を拒否し、当事者である流域住民を無視して国交省の望むままに川辺川ダム建設の道を開きました。
 現時点で国交省が巨大ダムの完成を予定しているのは2035年度ですが、巨大ダム事業は大抵予定通りには進みません。川辺川ダムの完成時には、ダム建設をお膳立てした責任者のうち、生きている人がどれだけいるでしょうか。八ッ場ダムと同様、川辺川ダムも将来世代にとって負の遺産となることは間違いありません。

 本日決定した球磨川水系河川整備計画は、国土交通省九州地方整備局のホームページに掲載されています。

★球磨川水系河川整備計画(国管理区間)
 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/kasenseibi/seibikeikaku.pdf

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〇108ページ

 関連記事を転載します。

◆2022年8月8日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20220808/5000016575.html
ー球磨川の河川整備計画 熊本県と国は9日公表の方針固めるー

 おととしの豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水対策の柱となる「流水型ダム」を建設するなどとした河川整備計画について、国と県は策定して9日公表する方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。

 おととし7月の豪雨災害を受けて、国と熊本県は今後の球磨川流域の治水対策の指針となる河川整備計画の策定を進めています。

 先月1日には支流の川辺川での「流水型ダム」の建設を柱に水を一時的にためて洪水を防ぐ「遊水地」の整備など球磨川流域でおおむね30年間かけて実施する治水対策を盛り込んだ河川整備計画の案を公表しました。

 これまで流域の12の市町村に意見を聞きましたが、計画案の変更を求める意見はなく、県が進める「緑の流域治水」の方向性と一致していることから蒲島知事は計画案に対する知事意見として「異存はない」と回答していました。

 これを受けて、国と県は計画案を正式な計画として策定し、9日公表する方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。

 河川整備計画案を巡っては流域の住民などでつくる複数の団体が、蒲島知事が「異存なし」と回答したことに対し抗議文を提出しています。

 国と県は計画が策定された後も引き続き、住民の意見を聞いて計画を着実に進めていきたいとしています。

◆2022年8月9日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/754010
ー流水型ダム盛り込んだ河川整備計画、国と熊本県決定 球磨川水系ー

 国土交通省九州地方整備局と熊本県は9日、2020年7月豪雨災害で氾濫した球磨川水系の河川整備計画を策定し、治水対策の柱として支流・川辺川への流水型ダム建設を盛り込んだ。河川整備計画の期間はおおむね30年。人吉市で「50年に1度」の大雨でも洪水被害が出ないようにすることを掲げた。

 ダム以外に、遊水地の整備や河道掘削といった河川工事も本格的に進める。蒲島郁夫知事は「命と環境を守る『緑の流域治水』を推進し、流水型ダムは命と環境の両立が図られるか確認する仕組みを早く立ち上げる」とコメント。ダムの影響が及ぶ五木村と相良村の振興に全力で取り組む姿勢を改めて強調した。

 流水型ダムは旧川辺川ダム計画と同位置の相良村四浦の峡谷に建設。高さ107・5メートル、総貯水量約1億3千万トンで、国内最大の治水専用ダムとなる。

 35年に完成予定で、普段は水をためず、洪水時は下部のゲートを閉めて水をためて水位が上がれば中段のゲートを操作し放流量を調節する。河川整備計画では、20年7月豪雨の実績の1・4倍の雨が降った場合、流入量をためずに流す異常洪水時防災操作(緊急放流)へ移行する可能性があることに言及。環境への影響については「最小化を目指す」とした。

 計画は人吉市の基準点で「50年に1度」の大雨を安全に流すことを目標にしており、既存の市房ダム(水上村)の再開発や複数の遊水地整備、河道掘削を進め、対応可能な流量を現状の約2倍の毎秒7600トンに引き上げるとした。

 家屋への浸水を防ぐ輪中堤整備や宅地かさ上げは、球磨川中流域にある球磨村、芦北町、八代市坂本町の計6地区で実施。五木村を含む14支川でも取り組む。水田の貯留機能向上や森林整備など、流域全体で氾濫を防ぐ施策も進める。

 河川整備計画は、全国に109ある1級水系のうち球磨川水系だけが未策定だった。策定を巡っては、ダムに反対する住民らが疑問を挟んでいた一方で、河川法が定める意見聴取で蒲島知事は被災地の復旧・復興を重視する県の方向と一致するとして計画案に同意。球磨川流域12市町村も変更を求める意見は出さなかった。(髙宗亮輔)