鬼怒川水害訴訟、国、原告側双方が控訴

 2015年の水害被災者らが国を提訴した鬼怒川水害訴訟では、さる7月22日、水戸地裁で国の瑕疵を一部認める判決が出されました。
 水害訴訟では被災者住民の敗訴が続いており、このことがダム等の巨大公共事業を推進する現在の河川行政を守ってきたと言われます。
 鬼怒川の治水を担う国土交通省は、判決を不服として8月4日控訴。また、地裁判決では被災者住民の訴えのうち認められたのは一部のみであったことから、原告31人のうち20人と1法人が控訴したとのことです。

 当然のことながら、国の裁判費用や賠償金は税金から支出されます。大水害による被災後の水害訴訟は、時間がかかる上、被災者住民にとっては経済的にも大きな負担です。控訴審では一審より印紙代が上がり、控訴を断念せざるをえないケースもあると聞きます。それでも被災住民が控訴し、国と闘う道を選択したのは、利権優先の国の河川行政が改善され、人災がこれ以上繰り返されないことを願っているためです。
 鬼怒川水害訴訟の原告団は、住民らを支援するカンパを以下のページで募っています。集まったカンパは裁判の傍聴に行く住民のチャーターバス代の一部に充てられてきたとのことです。
 https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000053#case_tab

〈参考記事〉「鬼怒川水害訴訟、国に一部住民への賠償命じる判決、水戸地裁」

◆2022年8月5日 毎日新聞茨城版
https://mainichi.jp/articles/20220805/ddl/k08/040/038000c
ー常総水害訴訟 地裁判決不服で控訴 原告の一部と国 /茨城ー

 2015年9月の関東・東北豪雨で浸水被害を受けた常総市の住民ら31人と1法人が、鬼怒川が氾濫したのは河川管理に不備があったためだとして国に損害賠償を求めた訴訟で、原告の一部と国は4日、国の責任を一部認めた水戸地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。【長屋美乃里、宮田哲】

 7月22日の判決は、14年に太陽光発電業者によって砂丘が掘削された場所で氾濫した同市の若宮戸地区について、国には河川区域に指定する義務があったのに怠ったと認定。堤防が決壊した上三坂地区については管理の不備を認めず、国が若宮戸地区に住む原告9人に計約3927万円を支払うよう命じていた。

 国土交通省関東地方整備局は控訴について「引き続き適切に対処していく」とコメントした。

 原告側は、若宮戸地区の住民の一部なども含む20人と1法人が控訴。原告団共同代表の片倉一美さん(69)は記者会見で、「若宮戸の原告には『上三坂の判断が納得いかない』と控訴した住民もいる。全国で水害訴訟に取り組む人とともに闘いたい」と説明。弁護団の五来則男弁護士は「高裁では、国の主張を崩すために専門家の意見を聞くことも検討したい」と話した。

◆2022年8月4日 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022080400951&g=soc
ー国、原告側双方が控訴 鬼怒川水害訴訟ー

 2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫するなどした大規模水害をめぐり、国の責任を一部認め、被災した住民のうち9人に対し計約3900万円を支払うよう国に命じた水戸地裁判決について、国土交通省関東地方整備局は4日、判決を不服として東京高裁に控訴した。

 一方、原告団も同日、賠償を認められなかった住民ら約20人が控訴したと明らかにした。
 水戸地裁は7月22日、水害があった茨城県常総市の一部地区で国が掘削などを制限する「河川区域」に指定する義務を怠ったと指摘。このため、治水上重要だった砂丘が民間業者に掘削されたとして、国の責任を一部認めた。

◆2022年8月4日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220804/k10013753821000.html?utm_int=nsear 
ー鬼怒川氾濫 賠償求めた裁判 1審判決不服で国と原告一部が控訴ー

 7年前の「関東・東北豪雨」で鬼怒川が氾濫し、大規模な浸水被害を受けた茨城県常総市の住民などが国を訴えた裁判で、国は、国の河川管理に問題があったとして原告の一部に賠償するよう命じた1審判決を不服として控訴しました。一方、原告側も一部が控訴し、東京高等裁判所で改めて審理されることなります。

 2015年9月の「関東・東北豪雨」で鬼怒川が氾濫し、大規模な浸水被害を受けた茨城県常総市の住民など、31人が国に賠償を求めた裁判では、先月、水戸地方裁判所が越水や決壊した2か所のうち、1か所について国の河川管理に問題があったと認めたうえ、9人に合わせて3900万円余りを賠償するよう命じました。

 この判決について、国は4日、不服として東京高等裁判所に控訴したことを明らかにしました。

 一方の原告側も、賠償が認められなかった原告や、判決の内容に不服があった原告、合わせて20人が控訴したということです。

 4日に会見を開いた原告団の片倉一美共同代表は「1審で国の責任が認められなかった地区についても、賠償が命じられるべきだという意見があった。常識的に考えて、おかしいということを訴えていきたい」と話しました。

◆2022年8月5日 茨城新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/beed8da6bb619bcb8b28d628d03b8ad77b8b7844
ー茨城・常総水害訴訟 住民と国側、双方控訴ー

 2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川の水害に遭ったのは国の河川管理に不備があったためとして、茨城県常総市の被災住民らが国に損害賠償を求めた訴訟で、住民側は4日、国の責任を一部認めて賠償を命じた水戸地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。国側も同日付で控訴した。

 原告団によると、控訴したのは提訴時の31人のうち20人。常総市上三坂地区の堤防決壊で被害を受けたものの国の責任が認められなかった住民16人に加え、若宮戸地区の溢水(いっすい)被害を受けて勝訴した住民9人のうち4人も「賠償額が十分でない」などの理由で控訴した。同地区で賠償が認められなかった1法人も控訴した。新たな請求額は計約2億3千万円。

 住民側はこの日、水戸市内で記者会見を開いた。上三坂地区について五来則男弁護士は「裁判所が無理して(国を)助けた印象。もう少し詰めていきたい」と話した。原告団の片倉一美共同代表は、各地で提訴されている水害訴訟を踏まえ「若宮戸も上三坂もまだまだ意見を言いたい。国の非常識をみんなで訴えれば、司法の考え方が変わる」と力を込めた。

 住民側は計約3億5千万円の賠償を求めて提訴。7月22日の判決は、「若宮戸地区で河川区域指定を怠った」として国の責任を認め、同地区の住民9人に計約3900万円の賠償を命じた。

◆2022年8月4日 NEWSつくば
https://newstsukuba.jp/39925/04/08/
ー原告住民21人が控訴 常総水害訴訟ー

 2015年9月の鬼怒川水害で、住民が甚大な浸水被害に遭ったのは国交省の河川管理に落ち度があったためだとして常総市などの住民が国を相手取って損害賠償を求めた裁判で、原告住民21人が4日、一審の水戸地裁判決を不服として、控訴した。

 7月22日に水戸地裁で出された一審判決(7月22日付)は、常総市若宮戸地区の鬼怒川河川敷で、砂丘林による自然堤防が掘削され太陽光発電パネルが設置された場所から水があふれ出たことに対し、国が砂丘林を河川区域に指定することを怠ったのは、国の河川管理の落ち度だと認定し、住民側の主張を認め、同地区住民10人の家屋や家財などの被害に対し約3900万円の損害賠償を認めた。

 一方、堤防が決壊した下流の同市上三坂地区については、堤防の高さが他地区に比べて低かったことは認めたものの、他地区に優先して堤防を改修しなかったことは、国の改修計画が格別不合理だとはいえないなどとして、国の落ち度を認めず、住民22人の損害賠償を認めなかった。

 4日は、原告住民32人のうち21人が、約2億3300万円の損害賠償を求めて控訴した。

 原告団共同代表の片倉一美さん(69)は控訴状提出後、水戸市内で記者会見し「(一審は)一部勝訴だったが、国を擁護する裁判所の体質は全く変わってない。水害は現実として堤防の低いところから水が浸水して決壊する。(上三坂地区で国の落ち度を認めない理由とされた堤防の計算方法の)スライドダウンは架空の経済的評価であり、まだまだ意見を言いたい」と控訴理由を話した。さらに「原告からは、水に色が付いている訳ではないので、若宮戸からの水による被害と、上三坂の決壊による被害がそれぞれどの程度だったか分からないという声がある」とし、「市民として国民として常識的に考えておかしいでしょう、ということを訴えていきたい。水害訴訟は日本全国で起きており、国の非常識を皆で訴えることで司法の考え方が変わっていけばと思っている」と語った。

 国も同日、控訴した。控訴審は東京高裁で行われる。(鈴木宏子)