都政新報に八ッ場ダムの記事

 紅葉の季節、八ッ場ダム周辺には多くの観光客が訪れますが、ダム湖畔の造成地に移転した川原湯温泉は閑散とした状態が続いています。
 八ッ場ダム事業では1千億円を超える地域振興・生活再建事業が進められましたが、ダム完成後、ハコモノの維持管理は地元の肩にのしかかっています。
 事業に参画した東京都から見た、八ッ場ダムの現地リポートが都政新報に掲載されていましたので、お知らせします。

 
 上記の記事には次のように書かれています。
 「国は住民に対する補償を実施。水源対策特別措置法に基づき、公民館や保育園、公園、道路を整備するなど、主にハード事業を後押ししてきた。併せて都県が設置した利根川荒川水源地域対策基金により道の駅を整備するなど、生活再建を支援している。とはいえ生活が軌道に乗っているわけではない。」

 川原湯温泉協会の担当者の言葉も紹介されています。
 「残っている住民のほとんどが高齢者。どこの旅館も家族経営で、従業員を新たに雇うことは難しい。地域を活性化するには、移住する人が増えてほしい」

 記事は「首都圏の治水・利水に寄与するインフラの陰で、人口減少に直面している地元の苦悩を感じた。」と結ばれており、八ッ場ダムは必要悪だと言っているようです。
 ダムの治水効果はダムから離れれば離れるほど減衰します。利根川支流の吾妻川に建設された八ッ場ダムが東京都の治水に役立つという考えが当たり前のように受け入れられているのですが、果たしてそうでしょうか。
 記事には、「利水面では(利根川水系ダムの)有効貯水量が約2割増しになり、利根川水系の水源開発はおおむね完了したことになる」とありますが、「有効貯水量が約2割増し」とは冬季を含めた数字です。渇水が起きるとすれば夏季ですが、夏季だけでは八ッ場ダムによる利水容量の増加はわずか5.6%にすぎません。東京都は多摩川水系、利根川水系、荒川水系の数多くのダム建設に支出してきた結果、現在、ありあまる水源を抱えており、給水量は年々減少しています。
 八ッ場ダム水没住民の悲劇は、利水・治水上役に立つならまだしも、不要なダムの犠牲になったことです。

◆2022年10月14日 都政新報
https://www.toseishimpo.co.jp/modules/news_detail/index.php?id=9477
ー八ッ場ダム、運用開始から2年 真新しい建物、人影はまばらー

 「コンクリートから人へ」─こんなスローガンの下で一時、建設事業がストップした八ツ場ダム(群馬県吾妻郡)は2020年4月に運用を開始し、2年余りが経過した。地元では当初、「首都圏のために故郷が水没する」として反対運動が根強く、賛否が分かれた公共事業。政治に翻弄された町は今、どうなっているのか。現地を訪ねた。