さる2月4日、埼玉県の三郷市文化会館(視聴覚室)で17回目総会を行いました。
コロナ感染拡大により総会をオンラインで開催する年が続きましたが、今年は2年ぶりに会場での開催となりました。
総会終了後、八ッ場ダム現地の映像(スライド映写)を見た後、ダム湖周辺の地盤の全性の問題について、国交省の開示資料(観測データ)の分析結果を当会の技術顧問が報告、最後に河川行政の現状について、当会運営委員の嶋津暉之さんが報告しました。
嶋津さんのスライドを掲載します。
河川行政の転換を求める市民運動の理論的支柱として闘ってきた嶋津さんの見解が簡潔にまとめられています。
◆「八ッ場あしたの会」総会 2023年2月4日(土)
スライド「八ツ場ダム問題と全国のダム問題」
https://onl.tw/JmpU9vf(←クリック)
〈目次〉
Ⅰ これからの八ツ場ダムで危惧されること スライド№2~5
Ⅱ 利根川の治水対策として、八ツ場ダムは意味があるのか。
むしろ、有害な存在になるのではないか。 スライド№6~19
Ⅲ 水道等の需要が一層縮小していく時代において
八ツ場ダムは利水面でも無用の存在である。 スライド№20~25
Ⅳ ダム問題の経過 スライド26~44
Ⅴ 国交省の「流域治水の推進」(2021年度から)のまやかし スライド№45~54
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スライドの一部を紹介します。
スライド4、5=八ッ場ダムが建設された地域では、ダム事業者が犠牲となる水没住民に対して、ダム湖観光が地域振興になると説明してきましたが、洪水調節を目的として水位を上下させるダムの貯水池は、季節によって姿を変えます。また、これまでのダムでは、年数がたつにつれ、藻類の増殖などによるダム湖の水質悪化が顕在化してきました。八ッ場ダムの貯水池では、すでに計画を大幅に上回る堆砂が進行しています。
スライド8、19=2019年秋、試験湛水を開始したばかりだった八ッ場ダムの貯水池は、東日本台風の豪雨により一気に水位が上がりました。安倍首相(当時)をはじめ、政府首脳は八ッ場ダムの治水効果を礼賛し、「八ッ場ダムが利根川を救った」などの言説がマスコミで盛んに取り上げられましたが、実態は大きく異なるものでした。
スライド21~24=「洪水調節(治水)」とともに八ッ場ダムの主目的であるのが「都市用水の供給(利水)」です。しかし、水需要の減少は加速する一方であり、利水面からみても八ッ場ダムは不要でした。
スライド27~43=1990年代後半からダム事業が中止に至るケースが見られるようになりましたが、民主党政権の失敗により、ダム見直しが目的だった「ダム検証」が逆にダム事業にお墨付きを与えてきました。長崎県では13世帯の住民の反対運動を無視して暮らしを踏みにじる石木ダム事業が強行されていますが、この利水、治水両面で不要な事業にも、国がお墨付きを与えています。
スライド54=河川行政は最近、「流域治水」をキャッチフレーズとして、あたかも新たな治水対策が展開されるようなイメージを振りまいていますが、ダム重視の姿勢は変わっていません。その典型例が「球磨川流域治水プロジェクト」です。球磨川水系では半世紀以上前に計画された川辺川ダム計画が2008年に熊本県により白紙撤回されましたが、2020年の球磨川水害を機に「流水型」として復活し、国と熊本県が手を携えて推進しています。