東京都では現在、23区の水道ではほとんど地下水を利用していませんが、多摩地域の水道では地下水が利用されてきました。
右の円グラフは東京都水道局のホームページに掲載されている水道水源のグラフです。グラフ内の3%は杉並浄水場と多摩地区の地下水です。
〔注〕杉並浄水場の地下水は令和2年度はわずか一日平均3㎥でした。
最近、その地下水が有機フッ素化合物によって汚染されてきた問題がクローズアップされています。
〈参考記事〉東京新聞サイトより
2023年1月31日 「多摩地域のPFAS血液検査、85%の人が「健康被害の恐れ」米国の指標値超える 市民団体が中間報告」 https://www.tokyo-np.co.jp/article/228317
2022年11月13日「発がん性疑い「PFAS」多摩地域で大規模血液検査 市民団体が23日から 米軍横田基地の周辺井戸水から検出」 https://www.tokyo-np.co.jp/article/213646
東京都の水道の地下水使用状況はどうなっているのでしょうか。
この問題に関する嶋津暉之さん(元東京都環境科学研究所研究員)のレポートをお送りします。
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以下の表の出典は「東京都の水道」(東京都福祉保健局)です。最新版が2021年度です。
東京都(水道局)(区部を含む)の地下水には多摩地域の他に杉並浄水場(通常ろ過水量6,500㎥/日)も含まれています。
この表を見ると、水道の独自経営を行っている武蔵野市、昭島市、羽村市は地下水取水量がほとんど変わっていませんが、東京都水道局が経営している多摩地域水道の地下水取水量(杉並浄水場を含む)は2009年度の約25万㎥/日から2021年度の約11万㎥/日)へと、大幅に減少してきています。
ただし、近年の有機フッ素化合物汚染問題以前から、東京都水道局は多摩地域の地下水の削減を進めてきていますので、有機フッ素化合物汚染問題がどの程度、影響しているのかは分かりません。
なお、武蔵野市、昭島市、羽村市は、水道水の有機フッ素化合物を市のホームページで下記の通り公表しています。
3市の水道水の有機フッ素化合物
〇武蔵野市 「水道水に含まれる有機フッ素化合物への対応について」 2023年1月
https://www.city.musashino.lg.jp/kurashi_tetsuzuki/jogesuido/suido/1041353.html
〇昭島市 「水道だより」 2020年3月
https://www.city.akishima.lg.jp/s104/010/010/020/010/suidou-dayori-vol44.pdf
〇羽村市 「水道原水における有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)の水質検査結果について」 2023年2月
https://www.city.hamura.tokyo.jp/0000012977.html