治水対策としてのダム建設の欠点の一つは、ダム完成までに時間がかかりすぎるという問題があります。ダムの治水効果はダム事業の起業者がアピールするほど大きくありませんが、たとえ効果があるとしても、それはダム完成後です。ダム事業が何十年も続く場合、その間の治水効果は言うまでもなくゼロです。
八ッ場ダムは1952年の計画発表から完成までに68年かかりましたが、球磨川水系の川辺川ダムの場合は、1966年に最初の計画が発表され、現段階での完成予定は2035年度です。つまり、八ッ場ダムより時間がかかることになります。
ダム事業には様々な障害があり、川辺川ダムの完成が更に遅れるのは必至です。その原因の一つは、ダムの犠牲になる水没地域に対して、生活再建事業や地域振興事業が必要になることです。
◆2023年3月22日 熊本県民テレビ
https://www.kkt.jp/nnn/news10055ly0teasqkgx3vg.html
ー五木村の流水型ダム 今年度中の合意困難にー
熊本県・川辺川に建設予定の流水型ダムにより、一部の地域が水没予定の五木村。県は村に振興計画案を示していたが「今年度中の合意は困難」であることを明らかにした。
これは22日に行われた熊本豪雨の復旧復興本部会議で県が明らかにしたもの。五木村の振興をめぐっては、流水型ダム建設により一部の地域が水没する村に対し県が2022年10月、観光振興策や移住・定住対策などを盛り込んだ計画案を提示。2023年度から約20年間で100億円規模の財政支援を行う方針で、2022年度中に村との合意を目指していた。
県によると村側はダムの賛否を保留。現段階で振興計画に理解を得られていないとして、県は今年度中の合意は困難と判断した。
■熊本県・蒲島郁夫知事
「金額の問題とかは聞いていない。丁寧にこれからもお話をしていきたい。どこが足りなかったのか、そういうことを踏まえながら振興計画をつくっていきたい」
県は引き続き村との合意に向けた協議を続けるとしている。
◆2023年3月23日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASR3Q6V6VR3QTLVB00H.html
ー五木村の振興計画、今月中の合意は「困難」 村側「ダムの判断まだ」ー
川辺川への流水型ダム整備で一部が水没する熊本県五木村の振興計画について、県は22日、「3月中」としていた国、県、村の三者合意について、「今年度中は困難な状況」と明らかにした。県によると、村側から、ダム受け入れの是非について「村として判断していない」と説明があったという。(以下略)