2020年の球磨川水害を機に球磨川の最大支流である川辺川ダムに復活した巨大ダム計画は、治水専用の流水型(穴あき)が採用されました。しかし、ダム建設は水質日本一と言われる川辺川の環境への影響必至とされ、流域住民や河川環境の保全を求める人々はその行方を大変心配しています。
熊本県は昨日25日に、こうした懸念を受ける形で国に意見書を提出したことが報道されています。
国は(ダム計画の策定が環境影響評価法が整備される前だったので)「環境影響評価(アセスメント)法の対象外だが、同等の調査をする」としていますが、そもそもわが国の環境影響評価は客観的な第三者機関による科学的な評価とはなっておらず、環境影響調査そのものが国交省などダム起業者の天下り先の組織によって実施されるなど、ダム事業の利権構造に組み込まれているのが実態です。
国と共に川辺川ダム計画を推進する熊本県の今回の意見書提出も、形式的なものと考えられます。
以下の朝日新聞の記事によれば、熊本県は意見書の中で、「水の透明度をはかる調査や魚道の設置の検討などを要望」し、「水没予定地となっている五木村の洞窟「九折瀬洞(つづらせどう)」について、現在の浸水の範囲や土砂の堆積状況を詳細に調査してダム建設による影響を予測・評価することを求めた」ということです。
◆2023年4月26日 熊本日日新聞
https://kumanichi.com/articles/1027192
ー川辺川流水型ダム「環境に極限まで配慮を」 熊本県知事、国の「アセス方法」に意見ー
熊本県は25日、国土交通省が球磨川支流の川辺川に建設する流水型ダムが環境に与える影響を調べる項目や手法をまとめた「環境影響評価方法レポート」に対する蒲島郁夫知事の意見を国に提出したと発表した。知事意見は26項目にわたり、最新の知見や技術を取り入れて環境に極限まで配慮するよう求めた。
国交省は、2020年熊本豪雨で氾濫した球磨川の治水対策として流水型ダムの建設を計画。「環境影響評価(アセスメント)法の対象外だが、同等の調査をする」として、法に準じた4段階の手続きを予定している。方法レポートは第2段階で、国交省は今回の知事意見を踏まえ、第3段階に当たる「準備レポート」を作成する。(臼杵大介)
◆2023年4月26日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASR4T6T7PR4TTLVB00M.html
ー流水型ダムめぐり県が国に意見書、水の透明度の調査要望ー