東日本大震災、被災地では復興事業と称して住民の望まない公共事業が次々と行われ、”ショックドクトリン”という言葉が知られるようになりました。
2020年の九州豪雨で大水害となった球磨川流域でも、最大支流の川辺川ダムに巨大ダム計画が復活するなど、同様の問題が渦巻いています。流域最大の町である人吉市では、浸水が想定される土地に災害公営住宅の建設計画が進められており、被災住民が反対運動に取り組んでいます。このほど、住民監査請求が行われたことが報道されましたので、お伝えします。
反対運動に取り組んでいる団体のアカウントはこちらです。
https://twitter.com/hantainokai2023
なお、問題となっている災害公営住宅とは別に、隣町でも人吉市の災害公営住宅(120戸)の建設が計画されていました。こちらは今月10日に完成しています。そのニュースも転載します。
◆2023年12月8日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20231208/5000020828.html
ー人吉市の災害公営住宅 予定地が浸水のおそれ 住民監査請求ー
人吉市が3年前の豪雨の被災地で計画している災害公営住宅をめぐって、建設予定地が今後も浸水するおそれがあるなどとして、計画の撤回を求める市民らが、建物の購入費用の差し止めなどを求めて2度目の住民監査請求を行いました。
住民監査請求を行ったのは、人吉市が3年前の7月の豪雨で浸水した市の中心部の2か所で建設を予定している災害公営住宅について、計画の撤回を求めている住民グループで、8日は代表者らが、市の監査委員に宛てた書類を提出しました。
この計画について、人吉市はことし10月、土地の所有者から建設予定地を購入する契約を結んだほか、今月5日には、災害公営住宅の完成後に業者側から建物などを10億8000万円あまりで購入するとした議案を、市議会に提出しています。
請求によりますと、建設予定地は国の想定で今後も浸水が生じる可能性があるとされていて、災害公営住宅を含む市営住宅などの整備基準を定めた市の条例に違反するとして、建物の購入費用の差し止めなどを求めています。
同様の住民監査請求はことし9月にも行われましたが、「予算の執行段階に至っていない」などとして、却下されていました。
住民グループの1人は「災害公営住宅を作ってほしい思いは私たちも同じです。誰もが納得できる計画に見直してほしい」と話していました。
◆2023年12月10日 NHK熊本放送局
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20231211/5000020838.html
ー3年前の豪雨で被害受けた人吉市に災害公営住宅が完成ー
3年前の豪雨で大きな被害を受けた人吉市に災害公営住宅が完成し、10日、落成式が行われました。
人吉市では、3年前の7月の豪雨で2300戸あまりの住宅が全壊や半壊する被害を受け、先月末の時点で、297世帯、545人が仮設住宅などで暮らしています。
完成したのは、相良町に完成した災害公営住宅「市営相良団地」で、10日、松岡隼人市長や工事関係者などおよそ60人が出席して落成式が行われ、豪雨災害の犠牲者に黙とうしたあと、入居する予定の代表者に大きな鍵が渡されました。
完成した住宅は、鉄筋コンクリート造りの5階建てと6階建ての3棟で、1LDKから3LDKまで120戸となっていて、災害時に避難所として利用できる集会室が設置されています。
家族3人で入居する予定の原口由美子さんは「収納するスペースもたくさんあって便利そうです。新しい住まいで、気持ちを切り替えて頑張ります」と話していました。
市営相良団地の入居は、来月から始まるということです。
人吉市の災害公営住宅については、これとは別に市の中心部の2か所で建設計画が進められています。