八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

石木ダム建設地の反対住民に県が通知文「耕作など不法使用しないように」(テレビ長崎)

長崎県が今月22日、石木ダムの予定地に暮らす住民に対して、耕作などしないようにとの通知文を送ったと、地元のテレビ局が報道しており、Yahoo! ニュースでも伝えられています。

◆2024年3月25日 テレビ長崎
https://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20240325003
ー石木ダム建設地の反対住民に県が通知文「耕作など不法使用しないように」ー

 県と佐世保市が東彼・川棚町に建設を進める石木ダムをめぐり、県は予定地に住む住民13世帯に22日付で書面を送ったことを25日、明らかにしました。

 書面では土地の所有権は国交省に移っていて、明け渡し期限が過ぎていると指摘。 「早期にダムを完成させることが行政の責務であり、工事は工程に沿って進めていく必要がある」として、用地での耕作など「不法使用」をしないよう求めています。

 仮に耕作した場合でも権利がないため、県が工事をしても補償しないとしています。

—転載終わり—

 石木ダム事業では、長崎県がダムに反対する13世帯の住民の土地と家屋について強制収用の手続きを済ませています。明け渡し期限は2019年11月18日でしたから、それからもう4年以上たっています。しかし、住民らは立ち退かず、これまで毎年、強制収用された田畑で耕作を続け、全国の支援者が美味しいお米を購入して反対運動を応援してきました。石木ダムは現計画では2025年度完成予定とされていますが、いまだ本体工事に着手できず、今後順調に工事を進められたとしても、工期の大幅な遅れは必至です。
 こうした事態に苛立っている自民党の県議らは、今月22日、現地を訪れ、マスメディアに対して、「県が工事を進めれば反対する人たちもあきらめがつくのではないか。そういう決着を県に促している」と語ったということです。長崎県による同日の住民への通知文は、こうした推進派議員らの県への働きかけに応えたものです。

《関連ページ》「石木ダム 推進派県議ら視察 「建設工事進め、決着を」

 翌23日にはダム予定地のある川棚町で石木ダムを科学的に検証する集会が開かれており、前日の議員視察と通知は集会への牽制だったのでしょう。
 250人の聴衆が訪れたというこの集会では、治水の専門家である河川工学者と国土交通省OBが石木ダム計画の杜撰さ、非科学性を具体的に指摘し、大きな反響を呼びました。

《関連ページ》「治水計画はあまりにも杜撰」石木ダム反対集会で専門家ら指摘」

 不要なダムのために、なぜかけがえのない土地を湖底に沈めなければならないのかー地元住民ならずとも、誰もが抱く疑問について、ダム事業者である長崎県は何一つ反論できないままです。