八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

建設中の湖面1号橋 名称は「八ッ場大橋」

 八ッ場ダムによってつくられるダム湖には湖面橋が4本かかる予定です。上流からめがね橋、丸岩大橋、不動大橋と建設が進み、現在、最下流のJR川原湯温泉駅前で湖面1号橋を建設中です。

 2009年の民主党政権発足当時、湖面1号橋建設の是非が問題となりましたが、当時の前原国交大臣は、ダム事業の推進を掲げる群馬県の強い要望におされるかたちで2010年3月にゴーサインを出しました。

 当時の状況については、以下のページに掲載しています。
 https://yamba-net.org/wp/genjou/genchi/genchi-20091209/

 湖面1号橋は来秋には完成の予定です。
 今朝の群馬版各紙は、この湖面1号橋の名称が「八ッ場大橋」と決定したと報じています。

 八ッ場ダムで水没する吾妻渓谷の最上流部に現在の八ッ場大橋があります。八ッ場大橋は川原湯温泉駅の上流にある千歳新橋と共に、永久橋として昭和8年に架橋されました。その理由について長野原町誌(上巻770~771ページ)は、昭和5年に両大橋の間に位置する川原畑地区の穴山沢で地すべり崩壊が発生して道路が狭隘となった為、対岸の川原湯地区に道路が迂回したと説明し、「吾妻渓谷四季の風光によくマッチして渓谷美に一段と光彩を添えている」と記しています。
 JR川原湯温泉駅の対岸にある川原畑地区の穴山沢は、八ッ場ダム事業によって埋め立てられ、盛り土の上に現在、町営住宅、地域振興施設(クラインガルテン)などを建設中です。

 ダム事業によって新たに造られた付け替え国道は、川原湯地区ではなく川原畑地区を通ることになりました。湖面1号橋は付け替え国道から川原湯温泉の代替地へ行くためのアクセス道ですから、川原湯大橋という名称にすることも考えられたのではないでしょうか。上毛新聞の記事によれば、名称の公募には22種類の候補が寄せられたとのことです。

 今朝の新聞では、八ッ場ダム湖を桜の名所にするための試験植樹が行われたことも取り上げられています。八ッ場ダムの桜1万本プロジェクトについては、構想が発表された今春以降、何度か新聞で取り上げられています。ダム湖に桜を植える事例は全国に見られます。桜の名所にするためには、ダム湖の安全性や水質がよいことが前提条件となります。

◆2013年12月19日 上毛新聞

ー名称は「八ッ場大橋」 建設中の湖面1号橋ー

 八ッ場ダム生活再建事業の一環で、県が長野原町に建設中の仮称・湖面1号橋の正式名称が18日、「八ッ場大橋」に決まった。同日、町内で開かれた八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会で了承された。供用開始は来年秋の予定。
 橋が架かる川原畑、川原湯両地区の住民から募り、全世帯数のおよそ6割に当たる38通、22種類の名称候補が寄せられた。八ッ場大橋は地名に由来するほか、インパクトが強いなどの理由から最多の6通を集めた。ほかにも「やんば大橋」「新八ッ場大橋」など名称に八ッ場(やんば)が入ったものが9種類あり、応募総数の半数以上を占めた。
 すでに開通している湖面2号橋は「不動大橋」、湖面3号橋は「丸岩大橋」の名称が付いている。
 同委員会では、JR吾妻線が来年秋に付け替え予定であることが報告された。

ーやんば1万本桜プロジェクト 満開夢見て試験植樹ー

 八ッ場ダムのダム湖畔を桜の名所にする「やんば1万本桜プロジェクト」を進めるため、長野原町と県、国は18日、同町川原畑の代替地で桜の試験植樹をした。地区住民や行政関係者ら約50人が参加し、2種類の桜の苗木40本を植えた。生育状況を調べて今後の植樹計画に生かし、将来的に多くの観光客が訪れる「桜の里」を目指す。
 コンビニチェーンのセーブオン(前橋市亀里町)が寄贈したオオヤマザクラ37本とシダレザクラ3本を、川原畑地区住民センターやダム湖畔となるのり面など3カ所に分けて植えた。苗木は高さ3~4㍍で花芽の付いているものもあり、来年4月下旬ごろ花を咲かせる見込み。
 高山欣也町長は「木が大きく育って満開の花を咲かせ、地域住民が花見をしたり、多くの観光客が訪れて活性化につながればいい」とあいさつ。川原畑八ッ場ダム現地再建対策委員会の野口貞夫委員長は「殺風景な代替地の景観が良くなるほか、ダム湖ができれば対岸から見てもきれい。水没地区全体がにぎやかになるといい」と話し、桜色に染まる地域を思い描いた。
 プロジェクトは、ダム湖畔を中心とした水没五地区に1万本の桜を植える計画。できるだけ桜の見頃が長く続くように、地域に適した複数の品種を植える。多くの人に出資してもらうオーナー制度など、苗木を確保する方法も検討中で、ダム本体完成までに1万本の植樹を目指している。

◆2013年12月19日 朝日新聞群馬版
 http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20131219100580001.html

ー長野原の移転地で桜の試験植樹ー

 長野原町川原畑の八ツ場ダム移転代替地で18日、桜の苗木40本の試験植樹があった。現地では、水没5地区の住民が観光誘客や景観保護などを目的とした「やんば1万本桜プロジェクト」を計画。町、県、国土交通省などが支援し、広げていく予定だ。

 プロジェクトは「多くの人が訪れる桜の郷(さと)」「滞在型観光の仕組みづくり」「桜守・ボランティアガイドの育成」が基本方針。国は八ツ場ダムの本体工事を来秋に着工し、2019年度に完成させる方針。地元住民らは植樹する桜を「観光の目玉に」と期待する。

 ただ、国や下流都県による生活再建事業には含まれず、苗木の購入に活用できる助成制度を探すなど、町、県、国交省が側面支援している。地元住民による検討では、滞在型の仕組みづくり▽散策コース紹介▽里親制度▽関連商品の開発、などがプロジェクトの候補に挙がっている。

 18日の試験植樹は、県と地域活性化包括連携協定を結ぶ「セーブオン」(前橋市)がオオヤマザクラとシダレザクラの苗木を提供。住民代表ら約30人が参加して贈呈式を開いた後、川原畑地区住民センターの敷地内などに植えた。

 行政との交渉役の地区ダム対策委員長を長年務める野口貞夫さん(70)は「山を切り開いて造った代替地は殺風景なので良かった」とプロジェクトに期待をかける。補償交渉は他地区よりは順調だが、ダム問題の長期化で、高台の代替地に移転したのは16世帯。地区を去った人も多い。「みんなが満開の桜を見に来てくれたらうれしい」と願う。

 自らもダムができれば水没する川原湯地区で生まれ育った高山欣也町長(70)は「観光振興として地域住民の期待は大きい。ダム湖畔が桜で満開になるよう、引き続き関係者の協力をお願いする」と話した。(小林誠一)

◆2013年12月19日 産経新聞群馬版
 http://sankei.jp.msn.com/region/news/131219/gnm13121902090002-n1.htm

ー八ツ場を桜の名所に 1万本プロジェクト 地元住民らが試験植樹 群馬ー

 八ツ場(やんば)ダム(長野原町)予定地周辺に桜を1万本植え、将来的に花見の観光名所にする計画を、地元住民、国、県、同町が連携して進めている。18日には試験植樹として、桜の苗木40本が周辺3カ所に植えられた。八ツ場ダム工事をめぐり翻弄され続けた地元住民も、「桜とともに新しい街を作っていきたい」と大きな期待を寄せている。(浜田慎太郎、橋爪一彦)
                   ◇
 水没予定地ではもともと「川原湯温泉」が栄えていたが、ダム建設に伴い、代替地への移転が進んでいる。住民らは代替地で温泉以外にも観光の目玉を作ろうと、昨年12月に国などに桜の植樹を提案。5月には「やんば1万本桜憲章」が示され、“1万本桜プロジェクト”が実質的にスタートした。

 憲章には、多くの人が訪れる桜の郷▽滞在型観光の仕組みづくり▽桜守・ボランティアガイドの育成-の3つの基本方針を明記。いつまでに1万本植えるかなどの具体的なスケジュールは決まっていないが、町の担当者は「試験植樹した桜をモニタリングし、植える時期や樹種などを考えていきたい」と話す。

 この日、ダム予定地近くの代替地で開かれた試験植樹のセレモニーでは、同町の高山欣也町長が「いつの日か、桜の下で地元住民と観光客が語り合えるような街にしたい」と期待を込めた。

 代替地の住民で、川原畑八ツ場ダム現地再建対策委員会の野口貞夫委員長(70)は「多くの住人がこの地区から離れていった。もう振り返ることなく再スタートを切っていくしかない」と語気を強めた。同じく代替地で生活している自動車修理工場経営、森田英男さん(69)も「残った住民で協力して頑張っていきたい」と話していた。

◆2013年12月19日 読売新聞群馬版
 http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20131219100580001.html

ー八ッ場ダム 桜を試験植樹ー

 長野原町の八ッ場ダム周辺で進められている1万本の桜植樹プロジェクトで、国土交通省と県、同町は18日、40本を試験植樹した。

 植樹場所は、川原畑地区住民センターの広場やダム湖予定地の崖上など3地点。桜の苗木はコンビニチェーン「セーブオン」(前橋市)が寄付した。

 試験植樹には高山欣也町長と住民約15人が参加。野口貞夫・川原畑八ッ場ダム現地再建対策委員長(70)は「ダムの湖面に桜が映ればとても奇麗だと思う」と話した。

 真冬は植樹に適さないため、国などは来年度に試験植樹を再開するという。

 八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会は18日夜、長野原町内で会合を開き、川原湯と川原畑地区の代替地同士を結ぶ湖面1号橋の名称を「八ッ場大橋」に決定した。県は来年度中の開通を目指している。

◆2013年12月19日 毎日新聞群馬版
 http://mainichi.jp/area/gunma/news/20131219ddlk10040186000c.html

ーやんば1万本桜プロジェクト:八ッ場ダム代替地「観光の目玉に」 住民ら試験植樹 /群馬ー

 八ッ場ダムの建設工事が進む長野原町で18日、「やんば1万本桜プロジェクト」の試験植樹が初めて行われた。

 植樹には水没予定地区の一つ川原畑地区の住民や高山欣也町長らが参加した。住民らは移転先の代替地にシダレザクラとオオヤマザクラ計40本を植樹し、「観光の柱として大切に育てたい」と期待を込めた。

 「桜プロジェクト」は、造成された代替地に樹木が少なく殺風景だったため、同地区の住民が提案。他の水没予定地区の住民のほか、町や県、国が参加してプロジェクト準備室を設立した。ダム湖畔を中心に1万本のサクラの植樹を目指し、今後、サクラの管理や関連商品開発など、具体的な計画を策定する。

 代替地では温泉街や観光施設の整備を進め生活再建を図るが、生活の先行きが見通せず、すでに多くの住民が町を出た。国土交通省八ッ場ダム工事事務所によると、川原畑地区も1979年当時は79世帯が暮らしていたが、現在は15世帯だという。

 同地区の同ダム現地再建対策委員長、野口貞夫さん(70)は「湖面にサクラの花が映る景観をつくり観光客を呼べば、地域全体ににぎわいが出る」と話す。

 シャベルで黒土をすくい、苗木の根元を埋めていた同地区の中島泰さん(64)は、「外に出て行った若い人たちが戻ってこられるよう、ダムができて良かったと言えるように、みんなで力を合わせてサクラを守っていきたい」と話した。【塩田彩】