八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

新緑に彩られる八ッ場ダム予定地

 八ッ場ダム予定地の名勝・吾妻渓谷は、淡い新緑が断崖絶壁をおおい、山桜と紫ツツジが点々と咲いて、一番の見頃を迎えています。
 林の中では、ヒトリシズカ、ハシリドコロがひっそりと咲き、夏鳥のオオルリも姿を見せるようになりました。

 八ッ場ダムによって渓谷沿いの国道が沈むことから、ダム事業では両岸の山腹を貫くトンネルが掘削され、左岸の付け替え国道が暫定開通したことから、これまで国道を走っていた多くの車が今ではトンネルを走るようになりましたが
 おかげで、これまで車の騒音と排気ガスでかなりのダメージを受けいていた吾妻渓谷の観光は、静寂の中で自然を満喫できるようになりました。けれども東京方面から走ると、国道は付け替え国道に繋がるように造られている為、ほとんどの観光客は素晴らしい景観がすぐそばにあることを知らずに、トンネルを通り過ぎてゆきます。
 吾妻渓谷には国道と並んでJR吾妻線も走っています。渓谷の下流部には全国一短いトンネルがあり、間もなくトンネルに蔓を巻きつけている藤が満開となります。
 吾妻渓谷はJR吾妻線の「川原湯温泉」駅から下流側に歩いて5分ほどのところから始まります。車での東京方面からのアクセスは、下流側で付け替え国道と二股に分かれる道を左側にお進みください。分岐点に「吾妻渓谷」の表示版があります。
 森林浴を楽しみ、美味しい手打ちそばをいただけば、日頃の疲れが吹き飛びます。 

 JR吾妻線のトンネルについての記事を転載します。

◆2012年4月28日 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120428-00000559-san-soci

 ー見納めに…わずか7メートルの鉄道トンネル JR吾妻線「樽沢トンネル」ー

 【ニッポンイチ紀行】

 関東の耶馬溪と称される吾妻渓谷にあるJR吾妻線の樽沢(たるさわ)トンネル(群馬県東吾妻町)は、全長7・2メートルと鉄道トンネルとしては日本一の短さを誇る。岩島駅-川原湯温泉駅間にあるわずかな山の出っ張りをくりぬいただけのトンネルだ。

 開通したのは戦時中。吾妻線は渓谷からさらに山間部にあった群馬鉄山(旧六合(くに)村)で採掘された鉄鉱石を運ぶために昭和20年に開業したが、渓谷沿いに突き出した出っ張り部分をくりぬく工事は「戦時中ということで重機や工作機など調達できず、全部人力で掘られたといわれてます」(同町産業課)。

 トンネルの歴史はかなりの難工事から始まったようだ。

 このトンネル、政府の八ツ場(やんば)ダム建設再開決定でその命運が定まる可能性大だ。

 建設計画では吾妻線はルート変更し、列車は別ルートを走ることに。

 渓谷の出っ張りをあっという間に列車が通り抜ける光景はいつか、見納めとなる。