八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム事業2013年度末の進捗状況をアップ

 国土交通省による昨年度末(2014年3月末)における八ッ場ダム事業の進捗状況をアップしました。
 https://yamba-net.org/wp/genjou/shinchoku/shinchoku-201403/

 資料は以下の6点です。
・八ッ場ダム予定地の用地取得・移転状況
・代替地分譲・面積状況
・基幹施設進捗状況
・八ッ場ダムの工事の進捗状況
・代替地の進捗状況
・代替地の分譲状況

 「八ッ場ダムの工事の進捗状況」を見ると、付け替え国道は100%完成=供用済み、付け替え県道は86%供用済み、付け替え鉄道は概成99%・供用0%(今年10月1日供用開始予定)、本体工事は未着工であることがわかります。。

 道路整備などの関連工事が進んでいる一方で、水没予定地住民の生活再建の場となる筈の代替地の進捗率、分譲状況は、依然として低い水準にあります。
 「代替地分譲・面積状況」を見ると、分譲予定面積34.2ヘクタールのうち、分譲済みは予定面積の半分以下の16.4ヘクタールです。
 水没340世帯のうち補償済みは331世帯。当初は集落全体が代替地へ移転するはずでしたが、これまでに代替地へ移転したのは、わずか53世帯です。
 非水没予定地を含めた補償対象世帯は420世帯に上ります。2005年に国交省は代替地への移転希望を問う意向調査を行っており、この時点では代替地希望が134世帯ありました。しかし、移転したのは非水没予定地を含めても84世帯にすぎません。残存戸数は14世帯ですから、2005年の意向調査の時より実際に移転する世帯数は大幅に減少することになります。
 
 八ッ場ダム事業は生活再建関連事業が全事業費の9割以上を占める特異な事業です。代替地計画は事業を肥大化させる大きな要因となっています。地元住民は代替地計画が実現するという国と群馬県の約束により、押し切られて仕方なくダム計画を受け入れたという経緯があります。
 しかし、実際に事業が進むにつれ、代替地計画は住民を失望させ、住民の多くがそれぞれ自主的に再建地をみつけて地区外に転出していかなければなりませんでした。

 住民の多くが代替地をあきらめた主な要因は、以下の通りです。
1)代替地の整備が大幅に遅れていること 
2)代替地の分譲地価が周辺地価よりはるかに高額であること
3)川原湯温泉の衰退
4)人工造成地の安全性への不安