八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

吾妻の紅葉、名残の人出 国道通行止めへ

 八ッ場ダム予定地の国道閉鎖についての記事を転載します。
 
2014年11月17日 朝日新聞群馬版
http://digital.asahi.com/articles/ASGCJ6VHPGCJUHNB00F.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGCJ6VHPGCJUHNB00F
ー吾妻の紅葉、名残の人出 国道通行止めへー

 八ツ場ダム(長野原町)建設のため、吾妻渓谷や本体予定地周辺を通る国道145号(旧道)の一部が18日正午から通行できなくなる。紅葉シーズンで多くの観光客が訪れる一方、本体工事は遅れており、なお残る住民たちはこの段階での通行止めに反発している。

 国交省によると、本体建設の本格工事となる「基礎掘削」は、準備工事の遅れで当初予定の11月から、来年1~3月にずれ込む見通しだ。ただ、基本計画の2019年度完成には影響しないとしている。

 16日、東吾妻、長野原両町境近くの渓谷沿いにある駐車スペースは20台ほどの車で埋まっていた。横浜や熊谷、品川など県外ナンバーも多い。落ち葉を踏みしめながら散策し、本体予定地の工事現場をのぞきこむ人の姿も見られた。

 道路を管理する県はここから吾妻川上流方向の3・6キロを「廃道」とする。18日正午以降、この区間は公道ではなくなる。下流3キロ区間も同時刻から車両が通行止めになり、12月1日からは歩行者も立ち入り禁止になるという。掘った土をダンプで運ぶ工事専用道路とする。

 埼玉県から来た樋口仁久さん(76)は通行止めについて「こんなきれいな景色が見られなくなるなんて」と残念がる。東京都の内堀満さん(75)は「工業用水も飲み水もこれ以上は必要ない。無理にダムを造らなくても」と話した。渋川市の会社員女性(28)は「ダムに沈むまで間があると思ったけど、入れなくなると聞いて見納めに来ました」と風景を写真に収めていた。

 上流に走ると、「歓迎 川原湯温泉」の看板。かつての駐在所や、ダム計画や生活再建が話し合われた川原湯総合相談センターも、9月に営業を終えた旧川原湯温泉駅とともに間近で見ることができなくなる。

 145号は水没する5地区を貫くように走る中心道路だった。代替地に移った住民は早期完成のために受け入れる声が多かったが、生活の足として使っている住民は不便を強いられる。

 県と国交省は14日、通行止め撤回を求める住民向けの説明会を開いた。複数の出席者によると、県と国は18日以降、25トンダンプが行き交えるように拡幅することなどを説明し、理解を求めた。住民側は「住民が通れるようにしてもいいのでは」「迂回(うかい)の不便に対して配慮を」と求めたが、平行線だったという。

 住民のひとりは「すべてが決まった後の、後付けの説明。県はもっと住民に寄り添ってほしい」と反発する。「ダムのためなら多少の犠牲もやむを得ないという態度はひどい」と話した。(井上怜)

—転載終わり—

 関連ページ
★「八ッ場ダム予定地の国道封鎖、地元住民の理解得られず」 
 https://yamba-net.org/wp/?p=9557

★「名勝・吾妻渓谷の国道、八ッ場ダム事業により18日から全区間車両通行止め」
 https://yamba-net.org/wp/?p=9527