総選挙を前にして、八ッ場ダムに関する公開アンケートを以下の主要8政党に実施しました。回答〆切の12月8日となりましたので、結果をお伝えします。
自民党、公明党、民主党、維新の党、日本共産党、次世代の党、社会民主党、生活の党
選挙戦さなかのお忙しい中、公開アンケートにご協力いただき、ありがとうございます。
回答が届いた政党(到着順)
民主党、社民党、維新の党、日本共産党、自民党、生活の党
なお、次世代の党からは、12月2日、「本件は、党内で議論されておりませんので、無回答とさせていただきます。」とのファックスが届きました。
公明党からは、現時点で回答が届いていません。
1. 国土交通省関東地方整備局は11月20日、来年1月に本体工事に着手すると発表しました。
八ッ場ダムを建設するべきだと思いますか?
ア 建設するべき
自民党
イ 建設するべきでない
社民党、共産党、生活の党
ウ その他
民主党: 河川整備計画については、国土交通省が有識者会議にも諮らず原案を公表するなど、制定手続きに問題があると考えております。もう一度、科学的妥当性を様々な角度から検証し、結論を得るべきであると考えます。また、水需要についても水需給を客観的に評価し、本当に水系全体として水不足なのかを検証し、結論を得るべきであると考えます。
維新の党
2. 八ッ場ダム事業は62年前に初めてダム構想が発表されたのち、さまざまな問題により事業が長期化してきました。
八ッ場ダム基本計画は1986年の策定当初、完成2000年度とされましたが、2001年、2008年、2013年と三度の工期延長により2019年度完成予定となりました。
事業の長期化についてどう思いますか?
ア 問題がある
民主党、社民党、維新の党、共産党、生活の党
イ しかたがない
ウ その他
自民党:早期完成に向けて全力を傾注すべきです。
3. 八ッ場ダムの主目的は、「利水」(都市用水の供給)と「治水」(利根川の洪水調節)です。このうち「利水」については、八ッ場ダムに関わりのある利根川流域の都市用水の需要は、1990年代から減少の一途を辿っており、さらに国立社会保障・人口問題研究所は、利根川流域一都5県でも八ッ場ダムが完成する2020年代には人口減少が顕著になると推計しています。「利水」の観点から見て、八ッ場ダムは必要とされていると思いますか?
ア 必要とされている
自民党
イ 必要とされていない
社民党、共産党、生活の党
ウ その他
民主党:利水面からも十分に検証し、結論を得るべきであると考えます。
維新の党
4. 八ッ場ダムにおける「治水」面での必要性について、事業主体である国交省関東地方整備局は、「利根川の河川整備計画策定」(2012年~2013年)の作業過程で検証を行いました。検証過程では、八ッ場ダムの治水効果の科学的妥当性について、複数の有識者から根本的な疑問が提起されましたが、2013年3月、関東地方整備局は有識者会議を打ち切り、八ッ場ダムを利根川の河川整備計画に位置づけました。
こうした「検証」についてどう思いますか?
ア 妥当である
イ 事業主体による「八ッ場ダムありき」の検証は問題がある
民主党、社民党、維新の党、共産党、生活の党
ウ その他
自民党:河川整備計画は適正に策定されたものであると考えています。
5. 八ッ場ダム事業は、計画当初の事業費は2110億円でしたが、関連事業の肥大化などにより、2004年に事業費が4600億円に増額され、さらなる増額の可能性が指摘されています。一方、関係都県からは再増額は受け入れられないという意見も出されています。八ッ場ダム事業が今後も継続された場合、再増額について、どう考えますか?
ア これ以上増額すべきでない
社民党、共産党
イ 想定外のことが起これば、増額やむなし
ウ その他
民主党:増額する場合はB/Cを厳密に検証すべき。
維新の党
自民党:関係者間で協議されるべき事項であると考えています。
生活の党
6. 八ッ場ダム予定地は地質が脆弱です。2009年までの自公政権下では、地すべり対策費は6億円弱しかダム事業費に組み込まれていませんでしたが、その後、民主党政権下の2011年、国交省は追加の地すべり対策と代替地の安全対策に約150億円必要と試算しました。
関東地方整備局はその後、八ッ場ダム湖の湛水に備え、地すべり対策と代替地の安全対策のための地質ボーリング調査を実施してきました。しかし、調査結果は公表しておらず、増額の可能性も明らかにしないまま、本体工事に着手しようとしています。
本体工事着手前に安全対策の内容や費用が公表されていないことについて、どう思いますか?
ア 問題ある
民主党、社民党、維新の党、共産党、生活の党
イ 問題ない
ウ その他
自民党:対策の内容が決まれば、必要に応じて公表すべきと考えています
7、 地すべり対策と代替地の安全対策の費用について、どう思いますか?
ア 現事業費に組み込まれている約6億円弱の対策費用で問題ない。
イ 2011年に国交省が試算した約150億円の追加対策を実施する必要がある。
生活の党
ウ 150億円は試算であるので、今後、詳細な現地調査、湛水試験を行えば、安全を確保するためにさらに増額が必要になる可能性がある。
社民党、維新の党、共産党
エ その他
民主党:2011年の国交省の試算を踏まえて、これらの費用についてあらためて検討すべきである。
自民党:現地調査の結果を踏まえて決定されるものと考えています。
8. わが国では、ダム事業を中止した後、地元の生活再建、地域振興を図る法制度がありません。このため、地元住民はダム事業に依存せざるを得ず、ダム事業の見直しを困難にしています。
民主党政権下の2012年、政府はダム事業中止後の地域振興特別措置法案を国会に提出しましたが、自公政権の復活によりこの法案は廃案になりました。その後、現政権では、ダム中止後の法整備についての動きがみられません。
ダム中止後の地域振興等の法整備についてのご見解をお聞かせ下さい。
ア.ダム中止後の法整備に早急に取り組む必要がある。
民主党、社民党、共産党
イ.現在進められているダム事業は中止する必要がないので、法整備は不要である。
ウ.その他
維新の党
自民党:法整備ありきではなく、地域の実情に応じて対応することが望ましいと考えています。
生活の党
—–
《参考》前回の国政選挙における公開アンケートの結果は以下のページに掲載しています。
●2013年参院選 https://yamba-net.org/wp/?p=4963
●2012年衆院選 https://yamba-net.org/wp/old/modules/news/index.php?page=article&storyid=1791