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学習会「ダム予定地の現状と長野原町の将来」(4)

現状レポート

現地の状況

(更新日:2009年3月29日)

学習会「ダム予定地の現状と長野原町の将来」(4)

(2008/12/13、於:エコとしま)

[スライド 論点4] 2005(H17)年度性質別歳出入について

[スライド 論点4]
2005(H17)年度性質別歳出入について

大和田:  これらをまとめてみると、性質別歳出では各項目が異常に高い。ただし福祉分野では低い。それに、外部誘致型の開発は全く何もないんです。本来ならば大きなパイで財政運営をやるから、パイの分け前が福祉のところに来てもいい。でも致命的なことに、そうはならない。だから扶助費以外の分野では、もう考えられない数字になってくるんです。
 知らないところで積立金はこんなにある。一人当たりの積立金が長野原では24万8,000円、わりと豊かな草津で20,000円。しかしこれは右から左へいくお金だから、豊かさという実感は持ちえるはずがない、一時預かりみたいなもんです。そしてつまらないお金で出て行くのが繰出金です。
 要するにやらなくてもいい建設をやってしまうために、下水とか広域的なごみ処理の問題とか、みんな一緒になっている。操出金は終わらないですから、ダムが終わっても永遠に続いていくわけです。だからこれはもう、将来大変なことになるわけです。


[スライド10] 経常収支比率の推移

[スライド10]
経常収支比率の推移

 経常収支比率は自治体の財政の弾力性を示すものです。経常収支比率80%以下は「適正」、80~90%は「やや弾力性に欠く」となり、やりくりの度合いを指すんです。90~100%になると「弾力性に欠く」。そして100%を超えると「硬直化している」。
 今の長野原の財政は、100%を超えているんです。経常的に自由に使えるお金に対して経常的にかかったお金の方が上回っている。では、経常収支比率を引き上げた原因は一体どこにあるのか。「経常収支比率は地方財政のエンゲル係数ともいえる」と教科書にはあります。その数字が高まると財政が窮屈だということです。


[スライド11] 経常収支比率の構成比の推移(1)

[スライド11]
経常収支比率の構成比の推移(1)

 こちらのグラフの一番下が1985年、戦後の歴史の中でわりと行政改革が進んだ時期です。それで1985年の指数を100ととりました。86年になるとバブル経済が始まります。バブルが始まってくると一つは税収が豊かになる、要するに経常収支比率が全体的により多くなってくる。そしてバブルがはじけてからは、どこもそうですがこんなふうに下がってくる。


[スライド12] 経常収支比率の構成比の推移(2)

[スライド12]
経常収支比率の構成比の推移(2)

 これは経常収支比率の構成比をもう少しわかりやすいグラフにしたものです。経常収支比率が長野原でもっとも低かったのは、ダムの工事が本格化する直前で、大体60%強くらいです。ところが最近では100%をはるかに超えている。主要な原因は、補助費等の伸びが非常に大きいことです。これが長野原の財政運営を非常に窮屈にしています。
 そのほか、以前なかった操出金が出てきている。大きいのは下水関係で、収支が合わないからと一般会計から持ち出す。いずれにしても、集落下水、公共下水のお金の持ち出しが非常に大きいウェイトを占めるということです。そして国民健康保険が赤字である。物件費も若干、それから交際費ですね、借金もそれなりに増やして給付させている。
 それから人件費もこんなに高くなるっているのは、本来ならやらなくていい仕事を長野原でやるわけです。ダムがなければもっと人件費が少なくて済むものを、仕事をたくさんやらされる。必然的に人件費の類も多くなる。減らそうと努力はしていますが、限度があるということです。
 こんなふうに物件費も少し上がっている。基盤整備をはじめとするハコモノをつくれば維持管理費がかかる。非常に財政に弾力性を欠くような欠陥があって、その原因はそういうところにあるということです。

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