1/24の「八ッ場ダム建設工事の事業認定申請に向けた説明会」における、参加者と国交省の質疑の内容をまとめましたので、お伝えします。
質問=参加者、回答=国土交通省 コメント=八ッ場あしたの会
説明会の様子や関連記事はこちらのページに掲載しています。
https://yamba-net.org/wp/?p=10380
質問 東京電力の松谷発電所(ダム予定地下流、吾妻渓谷入口付近)の水利権は、2012年3月までとなっており、その水利権更新に伴って発電ガイドラインにより、維持流量の放流が義務付けられ、八ッ場ダムで2.4㎥/秒の流量が確保されるようになる。その結果、八ッ場ダム建設の目的の一つである「流水の正常な機能の維持」という目的が失われることになる。そうすると、八ッ場ダムの基本計画の変更が必要になるが、基本計画の変更をいつ行うのか?
答 維持流量の放流量は発電ガイドラインでは100km2当たり0.1~0.3㎥/秒が目安となるが、義務付けではなく、合意が必要である。上限の0.3㎥/秒を使うと、八ッ場ダムで2.4㎥/秒が確保されるが、合意が必要なので、必ずしも確保されるわけではない。
〔コメント〕この答えは事実を偽っています。2.4㎥/秒を確保する旨の回答がすでに東電から関東地方整備局に提出されています。
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質問 八ッ場ダムの検証で地すべり対策等のために153億円の増額が必要との試算結果が示された。実際の増額幅はもっと大きくなると考えられ、八ッ場ダムの事業費が4600億円の枠に収まらないことは明らかである。事業費増額のための八ッ場ダム基本計画の変更をいつ行うのか?
答 八ッ場ダムの検証で153億円の増額という試算結果が示されたが、コスト縮減に努めていく。4600億円の基本計画に沿って取り組む。
〔コメント〕実際は事業費の増額は避けられませんが、増額に対して下流都県の反発があるので、曖昧な回答をしました。
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質問 鉄鋼スラグの問題をどうするのか。
答 昨年12月26日に鉄鋼スラグの使用箇所の分析結果を発表した。環境基準を超えたところは撤去の検討を進めている。
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質問 収用裁決まで進んだ場合は、明け渡しの期限はいつになるのか?
答 現時点では期限は言えない。
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質問 予定地に土地を持っている人でダムに反対する人はいるのか?
答 個別の質問には答えられない。
〔コメント〕この質問者にあとで質問の真意を聞いたところ、反対している住民がいないのに、なぜ、土地収用法をかけようとするのか。なぜ話し合いをとことんしないのか、怒りの気持ちで質問したようでした。
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質問 補償金額はどうなるのか。
答 事業認定告示後に土地価格の評価額がどうなるのかは分からない。
〔コメント〕実際は分かりませんが、事業認定後まで頑張ると、買収の土地単価が下がるような噂が流れています。国交省は残っている人に対して、経済的な面でも揺さぶりをかけようとしています。
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質問 事業認定申請をいつ行うのか。
答 適切な時期に事業認定申請を行う。
〔コメント〕「適切な時期に」は役人が使う常套句であって、近日中に事業認定申請を行うことが予想されます。
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質問 鉄鋼スラグについての答が不十分なので、再度質問する。撤去のための掘り起こしを行うのか。
答 平成3年からの大同特殊鋼の出荷記録によって調査したので、被覆されたところも調査対象に含まれている。しかし、被覆されたところは有害物質の基準を超えなかった。
〔コメント〕昨年秋に行われた鉄鋼スラグの調査は、表面的なところが大半を占めています。基準を超えたのは表面部分だけということで、国交省は基準超過箇所の表面のスラグを撤去するだけで、この問題を終わらせようとしています。
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質問 地割れが起き、鉄鋼スラグが埋まっているような代替地に移れと言われても、移れるものではない。安全で安心できる場所を用意してほしい。今のところ(水没予定地)に60年住んでいる。今のようによいところを他にみつけてほしい。みつけてもらえれば、明日にでも移転する。
答 今日は個別のことには答えられない。
(写真下=今月22日に報道陣の前で八ッ場ダムの本体工事突入を意味する発破作業が行われた場所。岩盤が砕けてガサガサになっているのが見える。2015年1月24日撮影)