八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム本体工事着手に関する記事

 昨日、群馬県の名勝・吾妻渓谷において、八ッ場ダムの本体工事が着手されました。

 本体工事着工の号砲となった発破作業については、以下のページにまとめました。
 https://yamba-net.org/wp/?p=10320
 「八ッ場ダム本体工事22日突入(発破作業の開始)」

 当会と八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会による抗議文提出など現地行動については、こちらに掲載しました。
 https://yamba-net.org/wp/?p=10284
 「八ッ場ダム本体工事に抗議」

 その他の関連記事です。

◆2015年1月22日 時事通信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150122-00000058-jij-pol
ー根強い反対の声も=八ツ場ダム着工で地元―群馬ー

 群馬県長野原町の八ツ場ダムの建設現場では22日、ダムを設置する固い岩盤を露出させる発破作業が行われた。事業の一時中断など曲折を経て、63年かかって迎えた着工。地元では歓迎する住民がいる一方、建設への根強い反対の声もある。
 建設現場では、爆薬を用いて岩盤の上の土や岩を取り除く作業を実施。雪が降る中、ドンドンドンという音と共に土煙が上がった。今後、現れた岩盤の上に高さ116メートルのコンクリート製のダムが建設される。
 群馬県の古橋勉県土整備部長は「地元住民にとって将来を見据えた生活再建が現実になると感じられる大きな一歩」と歓迎。水没予定地から移転し温泉旅館を経営する樋田洋二さん(67)は「ダムを早く完成させてほしい。ダム湖を生かした観光につなげたい」と期待を寄せる。
 一方、建設の見直しを求めている市民団体「八ツ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「貴重な自然が破壊され、災害が起こりやすくなる危険性もある」と懸念。改めて建設に反対し、「ダムは将来世代の大きな負の遺産になる」と訴えている。 

◆2015年1月22日 朝日新聞1面
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11563456.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11563456
ー失速する「脱ダム」 八ツ場本体着工、計画浮上から63年ー

 国土交通省は21日、八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の本体工事に着手した。総事業費約4600億円は国内のダムで最大。一方、国交省は2010年に八ツ場を含む全国83のダムで必要性の再検証を事業主体に指示したが、これまでに55%が「復活」している。▼5面=今も賛否、33面=地元苦悩

 ダムの再検証は民主党政権時代に「『できるだけダムに頼らない治水』への政策転換」を掲げて始まった。だが「中止」は21カ所にとどまり、「建設継続」が46カ所。残り16カ所で検証作業が続く。政府は来年度当初予算案に前年度比9・1%増のダム事業費(国費)を計上。国土強靱(きょうじん)化を掲げる自民党政権のもと「脱ダム」は失速した。

 八ツ場ダムは利根川などの堤防が決壊し、関東だけで約1100人が死亡した1947年の「カスリーン台風」を機に、52年に計画が浮上。洪水や水不足の防止で恩恵があるとされる群馬、埼玉、東京、千葉、茨城、栃木の6都県などが総事業費の6割を、残りは国が負担する。ただし今後、地滑り対策などで、事業費がふくらむ可能性がある。

 国は72年以降に利根川で取水制限が必要な渇水が15回もあったとして、水源確保の重要性を強調。70~80年に1回の豪雨による洪水も想定し、利根川の最大流量を抑制できるとする。一方、首都圏の水需要は節水の影響で92年度をピークに減少しており、治水面でも河川改修や堤防強化の優先を求める専門家は多い。(小林誠一、井上怜)

◆2015年1月22日 朝日新聞5面
 http://digital.asahi.com/articles/DA3S11563341.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11563341
ー八ツ場ダム、今も賛否 治水、「堤防が優先」見方も 利水、需要減予測どう反映ー

 21日、群馬県長野原町で始まった八ツ場(やんば)ダムの本体工事。計画浮上から63年たつが、国が建設の目的に挙げる治水・利水の効果には、今も賛否両論がある。

 「時代に合わない国の大型直轄事業」。2009年に政権交代を果たした民主党は公約通り、八ツ場ダムの建設中止に突き進んだ。しかし、国土交通省関東地方整備局は、ダムの必要性を他の治水策と比べて再検証。11年に出した結論は「建設継続」だった。
 根拠の一つに挙げたのが、ダムで防げる洪水の被害額を、治水にかかる事業費で割った「費用便益比」だ。1倍以上であれば、効果が費用を上回ることになり、八ツ場は6・3倍だった。07年は2・9倍、09年は3・4倍で、13年には6・5倍に上昇している。
 地方整備局は「利根川下流の堤防が未整備な現状を考慮するなど最新データで見直している」とするが、会計検査院は10年に「想定が過去の水害の被害額を上回っているものが多い」と指摘。「算定方法を合理的に」と改善を求めた。

 有識者の見解も割れる。
 大熊孝・新潟大名誉教授(河川工学)は「八ツ場の予定地は地すべり地帯で砂がたまりやすく、ダムの適地ではない。利根川水系では河川改修や堤防強化を優先すべきだ」と話す。一方、宮村忠・関東学院大名誉教授(同)は「大きな支川が多いのが利根川の特徴。堤防を造り続けるのは非現実的で、八ツ場は必要だ」と訴える。

 利水面でも論争がある。日本水道協会によると、利根川流域6都県の1日最大給水量は92年度の1418万立方メートルがピークで、12年度には1190万立方メートルと16%減った。「節水の機器普及と意識向上」が要因だ。人口減も予想される。しかし東京都水道局は「施設の老朽化や政策転換の可能性」を理由に12年度の469万立方メートルから、30年度には582万立方メートルへ増加すると予測。市民団体は「ダムを造るための方便だ」と批判している。
 宮村名誉教授は「利根川水系は取水制限を伴う渇水が全国で最も多く起きている。様々な産業基盤が集まる首都圏では水資源の安定的確保が必要だ」と話す。

 ■建設継続46カ所、中止21 全国83計画、ダム脱却進まず

 国交省の有識者会議(座長=中川博次・京大名誉教授)は民主党政権下の10年に「『できるだけダムに頼らない治水』への政策転換」を提言。全国83ダムについて必要性の再検証が始まった。安全性や費用面で他の治水策と比べ、住民の意見も聴いて判断するもので、「ダムありき」からの脱却かと注目された。
 中川座長は「財政状況が悪化する中、治水も利水も財源は限られる。緊急性があり、効果がある方法は、地域で暮らす人だからわかると考えた」と振り返る。

 だが全国では今、ダム計画が続々と息を吹き返す。83ダム計画のうち、建設継続は46カ所(55%)で、中止は21カ所(25%)。残る16カ所で検証が続く。大規模な国直轄の25カ所に限ると中止は5カ所だけだ。
 再検証は国交省の出先機関である地方整備局や都道府県といったダム計画の事業主体が担った。中川座長は「客観的なデータに基づいて行われている」と評価するが、省内からは「民主党政権時代の精神論では命は守れない。必要なダムは造る」と本音も漏れる。
 政府が来年度当初予算案に計上したダム事業費(国費)は1616億円。今年度当初より9・1%増えた。国交省治水課は「再検証で『建設継続』となったものが多いだけ。5年前よりは約4割減っている」と、“ダム復活”との見方にはくぎを刺す。

 危機感を抱く全国の学者約140人は「ダム検証のあり方を問う科学者の会」を結成し、国交省に見直しを求める。共同代表の今本博健・京大名誉教授(河川工学)は「事業主体による再検証を認めたところから問題があった。有識者会議の委員もダム推進派が大半。今からでも市民団体や流域住民も交えて公開で議論すべきだ」と訴える。(小林誠一)

 ◆キーワード
 <八ツ場ダム> 利根川の堤防が決壊し約1100人が死亡した1947年のカスリーン台風を受け、52年に計画が浮上した。
 総貯水量1億750万立方メートルは東京ドーム87杯分。水没予定地は316ヘクタールに上る。移転対象の470世帯のうち、昨年10月までに456世帯が転居した。

◆2015年1月22日 朝日新聞 社会面
 http://digital.asahi.com/articles/DA3S11563447.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11563447
ーダムの町、63年の曲折 八ツ場、本体工事に着手ー

 計画浮上から63年。21日、八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の本体工事が始まった。水没予定地にいまもとどまる人、新たな事業に乗り出した人。さまざまな生活をのみ込み、ダムは完成へと動き出した。
 「1軒また1軒と引っ越していき、うちだけになってしまった」
 元長野原町議会議長の冨沢吉太郎さん(74)は寂しげに語った。

 全世帯がダム湖に沈む川原湯(かわらゆ)地区。移転対象の176世帯中、水没予定地にとどまっているのは冨沢さんを含め3世帯だけだ。谷あいに立つ築100年を超す自宅の周囲には、撤去された家々の土台が目に付く。
 代々農家で、約2ヘクタールの畑で桑やこんにゃくいもを栽培してきた。ダム計画が持ち上がると反対運動に加わり、国や県に陳情を繰り返した。その行動力を買われ、30代で町議になった。

 だが町は1992年、生活再建と引き換えに計画を受け入れる。「道路一つ直すにも、国や県からカネが出ない。追い込まれた末の苦渋の決断だった」
 2001年に立ち退きの補償交渉が始まったが、代替地の整備が進まない。しびれを切らして町外へ出る住民が相次いだ。分譲は07年から進められた。だが、冨沢さんに提示された土地では小規模な農業しかできない。盛り土をした宅地の安全性も不安だった。
 昨秋、自宅近くの国道145号が工事車両専用に。買い物や通院に遠回りを強いられ、精神的にも追い詰められた。年が明け、別の代替地への移転を決めた。「自分の生活を守りたいだけなのに、悪者扱いされた。ダムなど造らず、そっとしておいてほしかった」
     ◇
 国道のバイパス沿いにある道の駅「八ツ場ふるさと館」。ダム建設に伴う地域振興施設として13年4月にオープンした。「反対してもダムはできる。だったらダムを再生の起爆剤に」と、地区のダム対策委員長だった篠原茂さん(64)らが立ち上げた。ダムの受益者である利根川流域6都県の負担で整備。住民が起こした株式会社で運営する。

 150戸の契約農家が栽培した野菜や果物の直売が人気で、行楽シーズンには首都圏からの車で駐車場は満杯になる。開業1年の売り上げは約3億円と目標を25%上回った。「何といっても八ツ場の知名度のお陰」と篠原さん。「品ぞろえやサービスをもっと充実させ、ダム湖観光のお客さんを迎えたい」と意気込む。(土屋弘)

 ■建設でも中止でも、地元に影
 ダム建設は継続か中止かを問わず、地域住民の生活再建に暗い影を落とす。

 設楽(したら)ダム(愛知県設楽町)は民主党政権下で必要性の再検証が始まったが、昨年4月に継続となった。総事業費は約3千億円。
 人口約5400人の町は道路整備などダム建設に伴う開発に期待する。だが、水没する124戸の半数ほどは町外へ移転。73年の計画浮上時に見込んだ水需要もすでにない。町外の息子との同居をあきらめた90代女性は「早く決まっていれば」と嘆く。立ち木トラストなどでの反対運動も続く。

 近畿最大級の多目的ダムとして計画された丹生(にう)ダム(滋賀県長浜市)は事実上中止された。近畿地方整備局などが昨年1月、「コストや治水能力などを総合評価すると有利ではない」とし、国の決定を待つ。住民が移転を終えた後に中止と判断された初のケースだ。
 水需要が減り、大阪府が03年、京都府が04年に利水事業から撤退を表明。滋賀県で06~14年に知事を務めた嘉田由紀子氏も建設に慎重な構えだった。地整などは昨夏、移転住民らでつくる対策委員会に、跡地の整備や地域振興策で意見を求めた。委員長の丹生(にゅう)善喜さん(67)は「ダム建設を見越した道路や河川の整備は止まり、路肩が崩れて通れない県道がある。ダム建設を求める住民もいる」と悩む。

 再検証前に中止が決まった川辺川ダム(熊本県五木村)。当初は、ダム予定地を村が使えるよう、生活再建の特別措置法を成立させて、地域振興につなげるシナリオだった。しかし、民主党政権時代に国会へ提出された法案は廃案となり、自民党政権が復活した。土地は今も国が所有。企業も誘致できない。和田拓也村長は「村はダム計画のため、強制的に過疎にさせられた」と話す。(伊藤智章、坂田達郎、知覧哲郎)

◆2014年1月22日 朝日新聞群馬版
 http://www.asahi.com/articles/ASH1P6R01H1PUHNB01F.html
ー群馬)地元「ここから正念場」 八ツ場ダム着工ー

 山あいに響くドリルの音に、安堵(あんど)と決意、抗議の声が交錯した。国土交通省が21日、八ツ場ダム(長野原町)の本体工事に着手し、堤体の基礎部分を露出させる「基礎掘削」の作業が始まった。地元からは完成への期待とともに、「ここからが正念場」と、ふるさと再生への決意の声が聞かれた。完成予定まで5年。人口流出や生活再建など課題は多く、事業目的にも疑問の声が残る中、計画浮上から63年になるダム建設は、最終段階に入った。

 「やっと八ッ場ダム建設が始まるんだな」。川原湯地区のダム対策委員長、豊田幹雄さん(48)は21日、思いを口にした。国は完成予定を2019年度とし、地元はダム湖観光に期待する。「インフラやお客様の受け入れ態勢を整え、新生・川原湯温泉をちゃんとつくらなきゃいけない」
 川原湯温泉の旅館は最盛期には20軒以上あったが、計画の長期化で廃業や休業が相次いだ。代替地で営業を再開したのは4軒にとどまる。国による代替地造成も遅れ、経営していた旅館「柏屋」もまだ休業中だ。

 豊田さんは「街をにぎわせたいという思いはある。60年以上の年月を取り戻したい」と語る。20日には代替地で初めての「湯かけまつり」を無事終わらせた。水没予定地にあった川原湯温泉駅や郵便局。駐在所など生活施設も昨年、相次いで代替地に移った。「ここからが正念場だ」と決意を新たにした。

 住民の生活再建を担う県や町は着工を歓迎した。県土木整備部の古橋勉部長は「地元の方々にとって、ダム湖を前提とした生活再建が現実となってくると感じられる大きな一歩。一日も早くダムが完成することを引き続き国に要求していきたい」との談話を出した。

 長野原町の萩原睦男町長は「ここまで来て、本当に良かった。あとは工事を着々と進めてほしい」これからは住民の生活再建が一番大事だ。ダム完成後も考えて取り組みたい」と話した。
 本体の現場から2キロほどの道の駅「八ッ場ふるさと館」は21日も観光客でにぎわった。道の駅は下流都県の基金を使い、林地区で13年4月にオープンした。川原畑地区には滞在型の農園「クラインガルテンやんば」が昨年開園するなど、「水没5地区」はそれぞれに生活再建事業に取り組んでいる。(井上怜、土屋弘)

◆2015年1月22日 東京新聞群馬版
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20150122/CK2015012202000169.html
ー八ッ場ダム本体着工 「最後までいたい」水没予定地に数世帯ー

 長野原町の八ッ場(やんば)ダムの計画が浮上してから六十三年。ダム本体工事が二十一日、いよいよ始まった。かつて地元では激しい反対運動が起こった。次第に建設容認が大勢を占めるようになったが、いまでもダムを受け入れていない人はいる。同日、工事現場近くで「八ッ場ダムNO!」の横断幕を掲げた一団の中にも地元住民の姿があった。 (伊藤弘喜)

 「本体工事、反対!」
 「美しい吾妻渓谷を守れ!」。建設に適した岩盤を露出させるために爆薬で発破する作業を二十二日に控え、作業員が準備する工事現場。その近くで市民グループ「八ッ場あしたの会」などの十数人が声を張り上げた。町民の男性(61)も控えめに交じっていた。市民グループが去った後、男性は「反対といっても、もうどうにもならない」と無念そうにつぶやいた。

 現場周辺は、ダムによって水没する地域から代替地に移転した住民たちの新築住宅が建ち並び、真新しい道路が縦横に走る。ダムを地元が受け入れる代わりに国などが進めてきた「生活再建事業」の一環だ。
 水没予定地にはいまだ数世帯が暮らす。男性はその一人だ。国土交通省の職員が時々、移転を促しに自宅を訪れる。「生まれ育ったふるさと以上の代替地があるなら、いつでも移るよ」。いつもそう伝えている。
 辺りの風景は激変したが、愛着は変わらない。「六十歳を過ぎて、よそに移るのは大変だよ。愛着は切り替えがきかない。ふるさとには最後までいたいじゃない」。男性は取材に、問い掛けるように語った。

 この日、八ッ場あしたの会と「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」は、八ッ場ダムが必要性に乏しく、地滑り災害を誘発しかねないなどとして、抗議書を国交省八ッ場ダム工事事務所に提出。国が工事を発注した移転代替地で、建設資材として使われた鉄鋼スラグから基準値を超える有害物質が検出されたことについてもただしている。
 市民連絡会の嶋津暉之(てるゆき)代表(71)は「問題を抱えたままの着工は非常に残念。これからも注視していく」と話した。

◆2015年1月22日 毎日新聞群馬版
 http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150122ddlk10010188000c.html
ー八ッ場ダム:本体工事着工 地元「ようやくここまで」 5年後の生活に期待と不安 /群馬ー

 キャプチャ毎日 長野原町の八ッ場ダムで21日、本体工事がついに始まった。60年以上にわたりダム計画に翻弄(ほんろう)されてきた地元からは「ようやくここまで来た」との声が上がった。一方で、故郷を離れられずに今も水没予定地に住み続けている人もいる。ダムが完成予定の5年後には、どのような生活を送っているのか。期待や不安が交錯する中、八ッ場は大きな節目を迎えた。【角田直哉】

 本体工事は早ければ22日から、爆薬を使って硬い岩盤を壊す発破作業に入る。その後、露出させた地盤の上にコンクリートを流し込む。試験貯水を経てダムが完成するのは2019年度の予定。

 八ッ場ダムは、2000人近い死者・行方不明者を出した1947年の「カスリーン台風」をきっかけに52年に計画が浮上した。住民の反対運動があったほか、09年には民主党政権が一時、建設中止を表明したこともあり、基本計画は4度変更され、完成は00年度から大幅にずれ込んだ。

 水没する川原畑地区のダム対策委員長、野口貞夫さん(71)は「多くの住民が下流都県のためと、何とか自分に言い聞かせて計画を受け入れた。移転した住民の願いは、一日も早いダムの完成。順調に工事が進み、完成に向かっていってほしい」と話した。

 国土交通省によると、昨年12月末までに取得済みの用地は92%。残り8%は地権者不明の場所が多いという。一方、長野原町川原畑の無職、高山彰さん(61)は、家族が水没予定地で暮らし、自らも隣町に住む親の面倒を見ながら、行き来する生活を送る。高山さんは「いつかは移転しなければならないと理解はしているが、まだ気持ちの整理がついていない。水没地で暮らしている人がいるのに、本体工事を始めてしまう国の対応は納得できない」と憤った。

 国交省は24日、土地収用法の適用を視野に入れた説明会を開催し、強制収用につながる手続きをスタートさせる。2月7日には地元から要望が出ていた起工式を開催する。

—転載終わり—

 八ッ場ダム事業で造成中の代替地へ移転した住民の心情を取り上げた以下の記事も読みごたえがあります。
 https://yamba-net.org/wp/?p=10257
 「受け入れるしかない八ッ場ダム本体工事」(共同通信)

 写真下=1月21日、八ッ場ダムの本体工事中止を求める抗議行動の際に撮影。
 1月22日に本体工事開始の合図である発破作業が報道陣を前にデモンストレーションされた現場のすぐそばを、草津温泉へ向かうこの国道が走っています。この道路は、八ッ場ダムによって水没する吾妻川沿いの国道145号の代替として造られ、2010年から供用が開始されましたが、すでに地すべりが発生しており、群馬県が地すべり調査を東京の建設コンサルタント会社に発注しているということです。
 道路ののり面は熱水変質帯の土壌の影響で赤茶けており、道路の縁石が持ち上がって、亀裂が走っています。
地すべり地shuku