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スーパー堤防の効率的な整備を目的とした国交省の検討会

 さる5月18日(木)、国土交通省が「高規格堤防(スーパー堤防)の効率的な整備に関する検討~高規格堤防の効率的な整備に向けて~」の第1回検討会を開催しました。
 この検討会の議事要旨が国土交通省のホームページに掲載されました。

 配布資料はこちらです。
 http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai1kai/index.html

 高規格堤防、いわゆるスーパー堤防の整備は遅々として進んでいません。荒川、江戸川、多摩川、淀川、大和川の下流部、延べ119kmが対象になっていますが、現在までの進捗速度ですと、整備完了まで700~1000年以上かかると思われます。
 検討会は整備のスピードを上げることが目的ですが、配布資料と議事要旨を読む限りでは、スピードアップは難しいように思います。人の住んでいるところを堤防にするという考え方そのものが間違っているのです。

◆第1回 高規格堤防の効率的な整備に関する検討会(平成29年5月18日)の議事要旨
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/koukikaku_kentoukai/dai1kai/gy01.pdf

 平成29 年5 月18 日(木)10:00~12:00
 中央合同庁舎3 号館 1 階 水管理・国土保全局A 会議室

【方策の検討における配慮事項】
○ 高層ビルを建設する時に、ビルの下の階は危険だという自覚がでれば、高層ビルの事業者が、せめて盛土の部分だけでも高規格堤防と調整して河川管理者に施工してもらえないかという考えになるのではないか。

○ スケジュールが不明確だと事業者や住民あるいは周辺の方々が不安になり、結局、関心が薄れたりして事業が進みにくくなるのではないか。河川管理者が大まかなスケジュールを示すことで、共同事業者等に安心感を与えることが重要。

○ 約 120km に絞り込んだ中で、どうやればもう少し早く進められるのかを検討し、そのために何らかの打開策を示すということは良いが、具体的にどういう打開策なのかを明確にすべき。

○ 共同事業者のメリットについて川裏法面の敷地の分だけ広くなることは示しているが、それ以外についても明らかにすべきではないか。

○ 約 120km の沿川の都市計画審議会の委員や自治体の首長に対し、ゼロメートル地帯等の水害の危険性等について、しっかりと伝えるべきではないか。

【高規格堤防の整備に対する河川管理者の姿勢】
○ 高規格堤防の整備について、緊急を要する区間として約 120km に絞り込んだことをしっかり示すべき。

○ 河川管理者が前面にでて高規格堤防を強力に進めていくという姿勢を示す必要がある。このため、広報はこれまで以上にしっかり実施すべき。

○ 河川管理者がまちづくりと連携して高規格堤防の整備が実施できる可能性があるところを積極的に拾い出し、高規格堤防を進めることを意思表示すべき。

○ 共同事業者が手を挙げるのを待つ体制だけでは、整備は進まない。

○ 治水安全度をはじめとした安全性は、住環境の根本を為すもので、他の公共事業とは 1 ランク違う。まずは河川管理者が突っ走るくらいの勢いで頑張るべき。

○ 暫定的な断面形状の高規格堤防のあり方について、考え方を整理する必要がある。

○ 暫定的な断面形状でも効果があるとした上で、どのように進捗を評価するのかということが重要である。

【高規格堤防の予定区域、自治体の将来の計画等】
○ 都市計画審議会に諮った上で策定している江戸川区のスーパー堤防整備方針は、高規格堤防とまちづくりが一体となった特殊な例として説明があったが、むしろ正しい例なのではないか。

○ 高規格堤防の予定区域を明示するということがどういうことを意味しているのか、また、計画づくりの内容やメリットについて自治体にも分かるように整理していく必要がある。

【土地の取得による高規格堤防の整備】
○ 一度移転を玉突きのように実施するためには土地を誰かが所有しないといけない。これを解決する制度ができれば効率的に高規格堤防を進めるにあたってのブレークスルーになるのではないか。例えば、用地を先行的に確保して、10 年 20 年スパンで運用してはどうか。

○ 国が土地を買収し、高規格堤防の整備後に売却という仕組みが考えられないか。