熊本県を流れる球磨川の瀬戸石ダム(1958年完成)について、国土交通省が10/31付けでダムを管理する電源開発に対し、堆砂の進行について直ちに措置を講ずる必要があるとの通知を行いました。
流域の市民団体「瀬戸石ダムを撤去する会」は11月17日、国交省に対して、電源開発への指導を強化するよう求める要望書を提出しました。
建設から60年近くたつ瀬戸石ダムは、堆砂がかなり進行しています。
国交省の平成27年度堆砂状況調査(平成27年度末の堆砂量)(9ページ、下から16番目)を見ると、次のように、瀬戸石ダムは堆砂量がすでに100年で貯まると想定されている堆砂容量を上回っており、総貯水容量の1割を超えています。
★瀬戸石ダム 球磨川 電源開発(株) 昭和33年9月 総貯水容量 9,930 千m3 堆砂容量 769千m3 堆砂量 1,020千m3
国交省の堆砂状況調査を見ると、瀬戸石ダムだけではなく、堆砂が計画よりかなり速いスピードで進行しているダムが全国に少なからずあります。
堆砂容量を超えたダムは、貯まり続ける土砂によって利水容量、治水容量を食われ、ダムの機能を果たすことができなくなります。また、流入する土砂は、川の流れが緩やかになるダム湖の上流側から貯まっていきますので、ダム湖の上流では氾濫が起きる危険性が生じます。
ダムに貯まった土砂を浚渫することにより、ダムの寿命を多少先延ばしすることは可能ですが、浚渫費用、浚渫土砂の捨て場が必要となり、ダムの維持管理費が嵩みます。
◆2017年11月18日 毎日新聞熊本版
https://mainichi.jp/articles/20171118/ddl/k43/040/327000c
ー瀬戸石ダム 「電源開発へ指導強化を」 市民団体が要望書 /熊本ー
球磨川中流にある瀬戸石ダム(芦北町、球磨村)が、国土交通省の定期検査で8回続けて「ダム湖の堆積(たいせき)土砂で洪水被害が発生する恐れがある」と判定された問題で、市民団体「瀬戸石ダムを撤去する会」は17日、国交省九州地方整備局に対して、ダムを管理運営する電源開発への指導を強化するよう求める要望書を提出した。
要望書では(1)球磨川の洪水被害を受けてきた流域住民の意見を十分に反映した堆積土砂の対応を取るよう指導する(2)堆積土砂問題を電源開発が流域住民に直接説明し、意見を聞く場を設ける--ことを求めている。【笠井光俊】
◆2017年11月8日 毎日新聞熊本版
https://yamba-net.org/wp/?p=23203
「瀬戸石ダム 洪水被害の恐れ 国交省定期検査 8回連続A判定」
国土交通省は、2年に1度実施している球磨川の瀬戸石ダム(芦北町、球磨村)の定期検査の結果をダムを所有する電源開発(東京)に通知した。10月31日付。
現行の定期検査が始まった2002年から8回連続で「安全性及び機能への影響が認められ、直ちに措置を講じる必要がある」とされるA判定だった。
同省九州地方整備局八代河川国道事務所によると、A判定の理由は、計画より堆砂が進んで洪水被害が発生する恐れがあるため。電源開発は非出水期の毎年11月~翌2月、ダム湖を空にしてたまった土砂を掘削除去している。
2年前のA判定を受けて同省に提出した堆砂処理計画によると、9年間で必要な量を処理するとしている。
判定はA(直ちに措置が必要)、B1(速やかな措置が必要)、B2(必要に応じて措置が必要)、C(監視の継続)の4段階。【福岡賢正】
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【関連ページ】全国のダム堆砂データの最新情報(平成27年度)を国交省が情報開示
https://yamba-net.org/wp/?p=22766