国土交通省より平成27年度末時点での全国のダムの堆砂データが開示されましたので、掲載します。
以下の文字列、または右の表をクリックすると、データ(全11ページ)が表示されます。
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H27年度全国ダム堆砂調査
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ダムは100年分の堆砂容量を見込んでおり、少なくとも100年はダムが使えることになっています。しかし、想定よりはるかに早く堆砂が進んでいるダムが少なくありません。堆砂容量を超えたダムは、貯まり続ける土砂によって利水容量、治水容量を食われ、ダムの機能を果たすことができなくなります。また、流入する土砂は、川の流れが緩やかになるダム湖の上流側から貯まっていきますので、ダム湖の上流では氾濫が起きる危険性が生じます。
ダムに貯まった土砂を浚渫することにより、ダムの寿命を多少先延ばしすることは可能ですが、浚渫費用、浚渫土砂の捨て場が必要となり、ダムの維持管理費が嵩みます。
八ッ場ダムには100年分の堆砂容量として1,750万立方メートルが見込まれていますが、既存の多くのダムと同様、見込みが過小であるという問題が指摘されています。この問題については、以下のページで詳しく解説しています。
「完成後の八ッ場ダムはどうなるのか 八ッ場ダムの堆砂見込みは過小」
今回開示された最新データを見ると、わが国の巨大ダムの代表ともいえる黒部ダム(1960年竣工、関西電力、黒部川水系)、佐久間ダム(1956年、電源開発、天竜川)、相模ダム(1947年、神奈川県、相模川)、早明浦ダム(1975年、水資源機構、吉野川)の堆砂量が100年で貯まると想定されている堆砂容量を超えています。
また、地すべり対策によって完成が大幅に遅れた大滝ダム(2013年、近畿地方整備局、紀の川)と滝沢ダム(2008年、水資源機構、荒川)は、完成後まだ10年経過していませんが、堆砂量がすでに堆砂容量の1/2~1/3に達しており、ダム建設事業費が八ッ場ダムの次に高額であった宮ヶ瀬ダム(平成13年、国交省関東地方整備局、相模川)も、堆砂量が堆砂容量の1/3近くになっています。