八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

「ダム間連携洪水調節 利根川有効活用を重視 国交省が検討」(朝日新聞)

2005年12月14日 朝日新聞群馬版より転載

「ダム間連携洪水調節 利根川有効活用を重視 国交省が検討」

 国交省は、利根川上流の県内6ダムがもつ洪水調節機能を向上させるため、ダム間の連携運用などに乗り出す。同省では、新しい治水計画づくりにあたるなかで、これまでのダム依存から一定の脱却を進めているが、それでも新設できるダムには限りがあるとみて、いまあるダム群の有効活用を重視する。

■治水・利水容量振り替え

 新しい方針のポイントは(1)既存のダムの「かさ上げ」による治水容量の増加(2)複数のダム間の連携による洪水調節の効率化(3)気象予報などの技術進歩を応用したダム操作ルールの見直しなど。
 このうち、ダムのかさ上げについては、県南部の下久保ダムを対象に、具体案づくりに入る。ダムの堰堤(えん・てい)を工事して数メートル高くすることで、洪水調節容量を増やす。

 また、ダム群の連携では、県内にある南北のダム間で、治水容量と利水容量を振り替える運用をすることにより、効率的な洪水調節を図る。

 ここでも注目されるのは下久保ダムだ。北部の奥利根流域にある奈良俣ダムや矢木沢ダムなどは、冬季の降雪量が多いなどの特徴から、「渇水に強いダム」という特徴がある。一方、南部にある唯一のダムの下久保ダムは、雨水が流れ込む流域面積が広く、ダム位置も下流部に近いことから、「洪水調節に効率的なダム」だ。

 そこで、これらのダムの現在の治水容量と利水容量の設定値を変え、「下久保ダムの利水容量と、奥利根のダム群の治水容量を柔軟に交換する運用をすることで、洪水調節機能が高まる」と期待する。同様の振り替えを、奥利根のダム間についても検討する。

 現在の利根川の治水計画は80年に定められ、四半世紀が経過した。現在、新たな計画の基本方針が国交省内の小委員会で検討されており、ダム依存の見直し方針も打ち出されている。

 背景にあるのが、各地で進む「脱ダム」の動きだ。利根川上流のダムによる洪水調節能力は、建設中の八ツ場ダムを加えても目標値の3割に満たない。国交省幹部は「今後、新たに建設できるダム数は、せいぜい片手で数えられる程度」として、既存のダム群の連携などを重視する。

 気象予測やIT(情報技術)などで進んだ技術も、洪水に対する新たなダム操作ルールづくりに応用できるとしている。