「若者と団塊、出会えば力に 加藤登紀子さん、池田理代子さん対談」(毎日新聞)

”ライブ&トーク 八ッ場いのちの輝き”が無事、終了しました。当日、毎日新聞朝刊に、イベント出演者の加藤登紀子さん、池田理代子さんの対談が掲載されました。

2006年10月9日 毎日新聞より転載

「MOTTAINAI:若者と団塊、出会えば力に 加藤登紀子さん、池田理代子さん対談」
 ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんが提唱し、世界に広がりを見せているMOTTAINAIキャンペーン。趣旨に賛同する歌手の加藤登紀子さんは9日、東京でダム問題を考えるトーク&ライブ「八ッ場(やんば) いのちの輝き」を開く。このイベントを前に、ゲスト出演する劇画家で声楽家の池田理代子さんと対談。日ごろの実践の中で感じる環境保護の難しさや、それでもなお次世代に期待する思いなどを語り合った。

 ◇心を再生できれば--環境配慮、バランスが重要

 --「もったいない」の精神で、お二人が実践されていることはありますか。

 加藤 例えばお皿を洗う洗剤は、スポンジに1滴たらすだけで、だいたい洗えるんですよ。でも最近の若い子を見ていると、泡だらけにして洗ってますよね。泡をたくさん付ければ流すのにたくさんの水が必要になる。それよりも、洗剤をどれくらい減らせるか、楽しみながらできるといいんですけどね。

 池田 皆さんが挫折するのは大抵の場合、「私がちょこっとこんなことをして何になるのか」という無力感からですよね。

 加藤 そう。でもただ量を減らしたり、環境にいいと言われているものを使えばOKということではなくてね。私は一時期、玄米を精米した後に出るヌカでふき掃除をしていたんです。でも、ヌカを使いすぎると今度は排水に有機物が増えすぎてしまう。一つ一つはいいことでも、皆で一斉にやればいいとは限らない。バランスが重要なんですね。

 池田 だからといって、掃除のプロの人にお願いすると化学物質だらけの洗剤でそこらじゅうピカピカにする。私のポリシーには合わないので、その方をお断りしました。今、学校など公共の建物は、そういう洗剤を大量に使う業者が掃除しているんでしょ。公的なところから見直していけば、人々の意識への影響も大きいと思います。

 加藤 今の子供たちは教室を自分たちでふき掃除しないそうですね。そうやって自分たちがかかわれない社会で、疎外感を覚えている若者が増えているように思います。自分たちで何もできないから、夢は「自分で作った家に住みたい」「自分で作った野菜を食べたい」と言うんですよ。

 池田 すべて自分で選び取れない生活なんですね。

 ◇八ッ場ダム反対運動、再出発への想像を

 --孤立した若者たちは具体的にどうしたらいいですか。

 加藤 そういう疎外感を持っているニートなどの都会の若者と、今私が支援している八ッ場ダムの建設によって退去を迫られている地元の川原湯温泉の人たちが出会ったら、どんなにいいだろうと思うんですよ。再生したい、再出発したいグループが出会って、心を再生できればいいですね。

 池田 確かに今の若者は精神的に追い詰められていると感じますね。その追い詰められた若者と、定年退職間近の団塊の世代が出会ったら、大きな力になりそうですが。

 加藤 ジョン・レノンの「イマジン」の世界です。想像してごらん、素晴らしい世界を、と。ダムを造るのがもったいないから反対でなく、建設が中止になったあと、その場所をどう使うか、再出発グループで考えていくと、いいアイデアが生まれるかもしれません。

 --もったいないキャンペーンは「Reduce(ごみの減量)」「Reuse(再使用)」「Recycle(再利用)」の三つの言葉を提唱していますが、マータイさんはこれに「生命を大切にする、自然に敬意を払う、平和への取り組み」という意味で「Respect(敬意を払う)」を加えています。

 加藤 私はもういちど生まれ変わろうという意味で「Reborn(再生)」を付け加えたいですね。

 池田 今日の加藤さんのお話を聞いてその考えに賛成です。

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 ■ことば

 ◇八ッ場ダム

 治水、利水などの多目的ダムとして52年に群馬県の吾妻川中流に計画が浮上。住民の反対運動などで50年以上を費やす。政府は07年度の本体着工を目指すが、見直しを求める声は根強い。9日には加藤登紀子さんのコンサート「八ッ場 いのちの輝き」が東京都新宿区の日本青年館で開かれる。

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 ■人物略歴

 ◇加藤登紀子

 歌手。「ひとり寝の子守唄」「知床旅情」などがヒット。環境保護活動にもかかわり、97年に世界自然保護基金(WWF)ジャパンの評議員に就任、「パンダ大使」として活動。2000年には国連環境計画(UNEP)の親善大使に任命され、環境問題のメッセージを発信している。

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 ■人物略歴

 ◇池田理代子

 劇画家・声楽家。72年から連載を始めた「ベルサイユのばら」は1500万部を売り上げる。その他「女帝エカテリーナ」など歴史を扱った数々の作品は、ヨーロッパをはじめアジア各国でも翻訳された。99年、東京音大声楽科卒業。ソプラノ歌手としても活躍中。