「加藤登紀子さんコンサート 長野原川原湯」〈毎日・上毛・朝日・読売新聞)

2007年5月13日

●毎日新聞全国版より転載
「雑記帳」
◇大半の住民が代替地や町外に移っている群馬県長野原町川原湯の八ッ場ダム予定地で12日、加藤登紀子さんが「元気になってほしい」とコンサートを開いた=写真。
◇移転対象は計5地区(約340世帯)。01年からダム建設に向けた移転が始まり、コンサートをした地区(約200世帯)では住民の4分の1以下になっている。
◇会場は、かつてアパートが建っていた広場。加藤さんはステージから、約400人に「今日はお祭り。みんなで楽しくやりましょう」と呼びかけた。【杉山順平】

●上毛新聞
「ダム水没住民励ます 加藤登紀子さんコンサート 長野原・川原湯」
写真=ヒット曲を熱唱して地元住民を励ました加藤さん

 肝心なのは今日を生きていることー。歌手の加藤登紀子さんが12日、長野原町川原湯のお祭り広場で無料のコンサートを開き、八ッ場ダムの湖底に沈む地域住民を励ました。住民や温泉客ら五百人が詰めかけ、「ふるさと」などを合唱して心の交流を確かめ合った。
 「水没地区の住民といっしょに歌いたい」という加藤さんの申し入れに対し、地元の若者たちが実行委員会(樋田省三委員長)を結成して準備を進めてきた。
 加藤さんは「花」を歌いながら会場入り。歌の間にトークを交えながら、「この空を飛べたら」「檸檬」などのヒット曲を二時間にわたって熱唱した。コンサート終盤には「Never give up tomorrow」の合間に「元気でね。また、ここで会おう」とメッセージを送った。 
 実行委からバラの花束を贈られた加藤さんが「あすは母の日ですね」と、「百万本のバラ」を歌いながら一本ずつ地元の女性に手渡す場面もあった。 
 また、夜には加藤さんの講演と学習会も行われた。

●朝日新聞群馬版
「ダム建設で揺れた川原湯 歌で励ましたい 加藤登紀子さんコンサート」
写真=観光客に歩み寄って熱唱する加藤登紀子さん

 八ッ場ダム建設が進む長野原町の川原湯温泉で12日、歌手の加藤登紀子さんがコンサートを開いた。ダム建設をめぐり半世紀以上揺れてきた住民を「歌で励ましたい」と、加藤さんがコンサートを持ちかけて実現。約350人が集まった「ダムに沈む町」に加藤さんの澄んだ歌声が響き渡った。
 手作りのステージに、砂利の上に敷かれたござの客席。コンサートは日本酒の乾杯で始まった。
 加藤さんが「宴会の続き」と言うように、観客の隣に座って歌ったり、「百万本のバラ」に合わせて温泉街の女将さんらに真っ赤なバラをプレゼントしたり。美しいこの町をひとりで歩いているー川原湯のための歌という「そこには風が吹いていた」が流れると涙する人もいた。約2時間、「知床旅情」「この空を飛べたら」など計11曲を披露した。 
 加藤さんが川原湯にやって来たのは2年前。温泉街の女将さんの詩集を読んだことがきっかけだった。川原湯に足を運ぶたび「歌わない私は私じゃない」と感じ、地元に持ちかけたという。
 ここに50年近く暮らす金子ます子さん(73)は「最高だった。感激としか言いようがない」と話した。
 
●読売新聞群馬版
「加藤登紀子さんがコンサート『水没住民』 歌で励ましたい」
写真=住民らに囲まれて熱唱する加藤さん(12日午後)

 長野原町に建設中の八ッ場(やんば)ダムにより水没する川原湯温泉で12日、歌手・加藤登紀子さんのコンサートが開かれ、住民や観光客ら約500人が歌声に酔いしれた。
 ダム問題に関心が深い加藤さんは、これまで、建設に反対するグループの集会に参加する一方、同温泉にも2005年8月と今年1月に訪問。住民と意見交換をして交流する中で、加藤さんが「歌で住民を励ましたい」と申し出て、コンサートの構想が持ち上がった。主催する住民が「ダム建設賛成、反対の主張を超えて集い、歌という縁で結びついてよい方向に進めたい」との願いを込め、「縁日」がテーマとなった。
 この日は、加藤さんが、「川原湯のこの美しい新緑に、賛嘆の思いを込めて乾杯」とあいさつしたあと、約2時間にわたり12曲を熱唱。ヒット曲「百万本のバラ」を歌いながら、住民らにバラをプレゼントする場面もあり、最後はアンコールに応えて「故郷(ふるさと)」を会場全員で合唱した。
 実行委員長を務めた同温泉で旅館「やまきぼし」を経営する樋田省三さん(42)は「加藤さんの歌声を励みに、代替地での生活再建に励みたい。この企画を水没住民が結束するシンボルとして次につなげていければ」と話した。同ダムは1952年、首都圏への水供給を目的に計画された。2010年度の完成を目標に、水没住民の代替地造成や道路などの工事が進められている。