荒川源流の大滝村(現埼玉県秩父市)に40年の歳月をかけて建設された滝沢ダムで、土砂崩落が続いています。
滝沢ダムは地質がひどく悪いけれども、「技術のありたっけをつくした」から大丈夫だとされてきたダムですが、地質調査が甘く、技術を過信したツケは、将来世代に大きな負担を与えます。
2005年に本体工事が完了した滝沢ダムでは、10月1日に試験湛水(ダムに水をためること)が開始されましたが、1ヶ月後の11月2日、斜面にクラックが4箇所発見され、直ちに試験たん水中止。その後39億円の費用をかけて、地すべり防止工事が行われました。
この時実施された「押え盛土工 」は、地すべり塊の最下部に大量の土を置いて地すべりを防止するもので、ダム湖予定地周辺に地すべり危険地が点在する八ッ場ダム計画でも実施される予定です。
●2007年5月3日 埼玉新聞より転載
「ダム斜面に亀裂 たん水一時停止 秩父の滝沢ダム」
独立行政法人水資源機構は二日、秩父市大滝で試験たん水中の滝沢ダム左岸斜面で亀裂を二本確認したと発表した。三日に専門家による現地確認を行い、今後の対策を検討する。
同機構によると、一日に調査員が堤体から約一キロの斜面に幅一センチ、長さ三メートルの亀裂二本を確認。一日午後十一時四十分から、貯水位の水位上昇を止めている。現在の貯水率は67・3%。貯水池周辺の国道140号の通行には、現時点では支障はない。
同ダムでは二〇〇五年十一月にも左岸四カ所で亀裂を発見。対策を講じて昨年八月から試験たん水を再開している。
●2007年5月14日 朝日新聞西埼玉版より転載
「秩父の滝沢ダム貯水池斜面崩落」
秩父市大滝の滝沢ダムの貯水池斜面で13日朝、土砂が崩落した。ダム堤体から上流に約1㌔離れており、ダム本体への影響はないという。
独立行政法人水資源機構が試験たん水中で、崩落したのは水面から約40メートルの斜面で幅、長さとも約90メートル、最大深度は約15メートル。1日に亀裂が見つかり、水位を下げていた。同機構は、亀裂から水がしみこんで地盤が緩んだとみている。今後、ボーリング調査をして対策工事を行う。崩落箇所の上を通る国道140号とは30メートル離れ、道路の観測機器に異常がないため、通行に支障はないという。