「無駄の横綱 見直し再燃 群馬の八ッ場ダム 50年たっても未完成」(中国新聞)

2008年3月31日 中国新聞より転載

「無駄の横綱 見直し再燃 群馬の八ッ場ダム 50年たっても未完成 工期延長 地元うんざり」

 計画から50年以上たっても完成せず、「無駄な公共事業の横綱」とも言われる八ッ場ダム(群馬県長野原町)。国土交通省は昨年、工期を二〇一五年まで五年延長すると発表、三度目の計画変更に事業の見直しを求める声が再び高まる中、費用を負担する首都圏の一都五県では変更に同意する手続きが進む。将来の生活設計が立たない地元では、「政争の具にされるのはうんざり」とへきえきしている。
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 三月七日の群馬県議会本会議。野党議員が「国の事業評価監視委員会の審議はかたちだけ。工事は見直すべきだ」と声を張り上げた。計画変更で完成は当初から十五年延び、総事業費は二倍以上の約四千六百億円に膨れ上がった。
 群馬県のかかわる支出は約二百三十四億円と見込まれる。県議会は結局、自民党などの賛成多数で変更への同意を可決した。
 費用を一部負担する首都圏の他の一都四県も、今春の議会で変更に同意。約八百七十一億円を支出する東京都は、都議会が新銀行東京への四百億円の追加出資をめぐり混乱する陰で同意した。
 だが、埼玉県の上田清司知事が定例会見で「(延長は)基本的には不愉快。(国に)ずっとだまされている感じがする」と述べるなど、波紋は広がっている。
 国政では、大河原雅子氏(民主)が一月の参院本会議で、福田康夫首相のひざ元・群馬県にあることから、「『福田ダム』とやゆされている」と指摘。「無駄な事業」と批判した。
 昨年末にダム建設予定地を視察した、超党派の国会議員でつくる「公共事業チェック議員の会」事務局長の保坂展人衆院議員(社民)は、「目的を失った横綱級の公共工事。無理があるから五十年かけてもできない。中止して、住民の生活を立て直さなくてはいけない」としている。
 一方で「反対しても状況は変わらない」と水没予定地区に住む男性(五十六)。「谷のあちこちは壊されていくし、人はどんどん減っているのが現実だ」と無力感が漂う。
 代替地への転居を希望する水没地区の世帯は〇一年の四百七十から、百三十余りに激減。長引く工事で移転のめどが立たず、国交省との個別交渉を早々に済ませ、都市部に移住した住民も少なくない。男性は「建て替えも移転もできない仮の生活から早く抜け出し、近所と仲良く暮らせる生活がほしい」と漏らした。