「八ッ場ダム基金事業 生活再建策見直し」(毎日新聞)

2008年8月14日 毎日新聞群馬版より転載

「八ッ場ダム基金事業 生活再建策見直し 県 川原湯温泉活性化を柱に」

 県は八ッ場ダム(長野原町)建設に伴い水没する地区の住民に対する生活再建支援の柱となる「利根川・荒川水源対策基金事業」の見直し案を固めた。素案は92年度中に策定されたが、対象地区の人口が流出した現状に見合うよう見直しを進めていた。見直し案は基金を支出する下流都県の許可を得たうえで、水没地区住民にも理解を求め、正式採用する。

 県は川原湯温泉の活性化策を柱に据え、見直し案を策定した。若い女性客を呼び込もうと、まちづくりのコンセプトを吾妻渓谷とかけて「ダイエットバレー」とし、JR川原湯温泉の新駅近くに、足湯やダイエット施設を整備した「エクササイズセンター」の新設を提案している。

 見直しの背景には工事の遅れなどを原因とする人口の流出がある。事業地買収の補償基準が決まった01年に470世帯いた代替地への移転希望者は、現在3分の1に減った。代替地の規模縮小に加え、生活再建支援策も再検討が必要になった。
 
 県特定ダム対策課の坂尾博秋課長は「現地の実態に即して事業計画を見直した。これをもとに、住民が自分たちの手でまちづくりの方向性を定めてもらいたい」としている。

 同課によると、92年度案では代替地取得時の利子補給やダムサイト公園整備事業など30事業を提示。その後、95年度に東吾妻町内の2事業を追加した。このうち9事業は既に完了、16事業は未着手だった。今回の見直し案では、32事業を統廃合したうえで新規事業を盛り込み、計31事業とした。

 見直し案は既に長野原町議会に内示。1都4県にも概要を示し始めた。今後、水没する5地区の住民にも詳細を説明していく方針という。92年度案では249億円だった基金の全体額がどう変更されるかは未定だ。
                             
八ッ場ダム利根川・荒川水源地域対策基金
 ダム建設に伴う水没地区住民の生活再建支援に使われる基金。道路建設などが多い水源地域整備計画事業と比べ、地区活性化事業などよりソフト面の支援に充てられる。群馬のほか東京、千葉、埼玉、茨城の1都4県が支出。92年度の素案では全体で249億円で、今年度までに48億円が投じられている。