「国交省、五木村再建予算を凍結 知事のダム反対表明受け」(熊本日日新聞)

 ダムを中止すると、ダムに関連する生活再建や地域整備もストップしてしまうのではないかーダムの犠牲となる地元がダム推進を最も強く要望するのは、この不安があるからです。
 実際、国は過去も、そして現在でも、「脅し」ともとれるこの手法を使っています。

2008年12月16日 熊本日日新聞 より転載
「国交省、五木村再建予算を凍結 知事のダム反対表明受け」

 蒲島郁夫知事が川辺川ダム建設への反対を表明した九月以降、国土交通省が同ダム事業の一環で進めている五木村の生活再建関連事業の予算執行を凍結していることが十五日、分かった。

 同省川辺川ダム砂防事務所(相良村)の豊口佳之所長は「国として知事表明を重く受け止めており、水没を前提にした事業の実施は予算の性格上、できないと判断している」と説明。予算凍結の理由が知事の反対表明にあることを認めている。

 同事務所によると、二〇〇八年度の同ダム事業費三十四億円のうち未執行分は約十億円。これに伴い、年度内の実施を予定していた▽頭地大橋(県道)の橋脚基礎▽代替地水源(元井谷)-などの工事発注を見合わせている。村内ではこのほか国道445号付け替えや代替農地造成などが残っている。

 知事は、ダム建設が中止の場合でも五木村の生活再建対策は「国の責任で続けるべきだ」と主張しているが、同省は「ダム事業での実施は困難」との立場を崩していない。

 知事はこれまでに五木村振興について「国、県による協議の場を設ける」と言明している。しかし、豊口所長によると、ダム事業以外での村の生活再建の進め方を含めた協議を県に再三申し入れてきたが、県側が応じなかったという。

 同省は来年度政府予算にも三十四億円を概算要求していることについて、金子恭之・国交副大臣(衆院熊本5区)は知事表明による影響を念頭に「要求通りの予算確保は厳しい」との見方を示している。

 一方、県は五木村振興に関し、「県がかかわるのは産業育成などのソフト対策であり、ダム計画に基づく道路や橋などの基盤整備は国の役割」(県川辺川ダム総合対策課)との認識。国が働き掛けている協議に乗らないのも、「本来、基盤整備は国が進めるべき事業だけに、県のかかわり方は慎重に検討する必要があった」と説明している。

 現在は県も協議自体には同意している。ただ、同課の古里政信課長は「国が知事表明を重く受け止めたとする点は理解するが、村の基盤整備はダム本体建設の有無にかかわらず計画通り進めてほしい」と国に求めている。(川崎浩平、小多崇)

●強い怒り覚える 和田拓也五木村長の話
 ダム中止が決まったわけではないのに、なぜ予算を凍結するのか。強い怒りを覚えている。国と県の駆け引きによって翻弄[ほんろう]され、困るのは五木村だ。知事だけでなく、ダムに反対した人吉市、相良村の両首長も、五木の振興に協力すると言うのであれば、村の基盤整備がこれまで通りダム事業で推進されるよう国に働き掛けてほしい。