「町営住宅応募ゼロ 長野原児童激減対策」(朝日新聞)

これまでテレビ、雑誌などで、八ッ場ダム関連事業のわかりやすい失敗例としてしばしば取り上げられてきた水没予定地の小学校に関するニュースです。計画の甘さが地元に大きな犠牲を強いてきた問題は、ますます矛盾があらわになっています。。

2009年2月8日 朝日新聞群馬版トップニュースより転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000000902090003
「町営住宅応募ゼロ 長野原児童激減対策 新築で格安 条件「小学生がいる」
園児や中学生可 検討」

写真=建設が進む町営「林住宅」。家賃のほかに必要な共益費は月額千円で、1戸2台までの駐車場(1台あたり月額1千円)も完備している=長野原

長野原町が、約9500万円を投じて新築中の町営住宅(2棟計10戸)の入居者を募っているが、締め切りを10日に控えた今も応募がない。2LDKで家賃は相場の半値の月額2万5千円という条件に魅力を感じながら、「小学生の子どもがいること」

という入居資格が満たせずに応募をあきらめる人もいるようだ。町は今後、要件の
緩和を検討する。(河井健)

町が入居者を募っているのは、町立第一小学校から徒歩約10分の距離にある町営「林住宅」。国営八ツ場ダムの建設などに伴い、減少を続ける児童の数を回復させる一助にとの狙いで計画された。町は八ツ場ダム周辺の振興を図るための基金から約9500万円を取り崩して建設中で、4月の入居開始を予定している。

募集を始めたのは昨年の12月。町のホームページや吾妻郡内への1万8千枚の新聞折り込み広告などで周知に努めた。しかし、当初予定の今年1月末の締め切りまでに応募がなかったことを受け、延長した期日が2月10日だ。
 高山欣也町長は「新学期を目指して募集をかけたが、まさか応募ゼロとは。入居すると子どもの転校が必要になることや、保護者の職場が町にないことがネックになっているのだろうか」と肩を落とす。

同住宅は「子どもが中学生だけになったら転居」が原則だが、町は要望があれば中学生1人あたり月額2千円のプラスで中学卒業までの入居を認める考えだ。あわせて、今後、特例として幼稚園児にまで要件を緩和することも検討する。入居者が足りない場合は4月以降も募集を続けるという。

「水没予定地から移転 町立第一小学校 相次ぐ住民の町外転出 止まらぬ児童減」
 
 町営林住宅の近くにある町立第一小学校はかつて、国が15年度の完成を目指す八ッ場ダムの水没予定地にあった。このため、02年度に直線で西に1㌔ほどの高台にある現在地に移転。屋内プールなども完備する鉄筋コンクリート造り3階建ての現在の校舎になった。
 総事業費は約12億2800万円。移転に伴う国の補償金から約8億2700万円を 町が支出したほか、国庫補助金約2億4500万円、ダムによる利水の受益がある下流1都4県の負担金約1億5600万円があてられた。
 ところが、ダム事業が遅れ、同小の学区で水没予定(一部含む)の4地区の代替地整備も進まなかったことなどから、住民の町外などへの流出が相次いだ。これに
折からの少子化が相まって、同小の児童数も、02年度の52人から08年度は27人へとほぼ半減した。
 「体育や音楽での集団的な指導が難しくなった」ことなどを理由に町はいったん、
07年度いっぱいで同校を廃止し、別の町立小に統合することを決めた。しかし、08年1月に一転、第一小を存続する方針に改めた。
 高山町長は「同小は最初の移転事業。住民らの移転がこれからという時に廃止するのは、いかがなものかと思った。また、(負担金を出した)下流都県に『無計画だ』と言われるのも困ると考えた」と話す。