八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

ダム中止地に「再生交付金」 民主が法案骨子案(東京新聞)

 民主党がダム中止後の「地域再生・生活再建支援法案骨子」をとりまとめたことについての記事を転載します。

2009年6月7日 東京新聞「こちら特報部」より転載

ダム中止地に「再生交付金」 民主が法案骨子案 生活支援が先の声も

 水没予定地にある住民の生活を壊すダム計画。民主党はダム事業が廃止された地域の再生を目指す特別措置法案の骨子案を作った。地元から「ダムNO」の声を上げやすくする狙いもある。大規模公共事業の象徴であるダム建設の歴史を変えるのか。(関口克己)

 「現状ではダム計画が中止になった後、地域再生を図る法的な仕組みがない。ダムができないと、地域活性化も望めないといった現状は改めないといけない」
 同党の公共事業検討小委員会事務局長代理の大河原雅子参院議員は今回の骨子案の意義をこう強調する。

 群馬県長野原町が現場の八ッ場ダム建設計画は計画から半世紀以上たった現在も、宙に浮いたまま。大河原氏は東京都議時代から、このダム計画の見直しを国に求めてきた。名湯・川原湯温泉のある川原湯地区などの水没予定地では多くの住民が移転、地域は寂れた。残った住民も家の建て替えなどがままならない生活を強いられている。

 八ッ場ダムをめぐっては、目的とする治水と利水の両面で不要との批判が高まり、民主党など野党は国政選挙で中止を公約にしてきた。だが、地域再生などの事業費がダム事業費に含まれるため、ダムの地元には「ダムが中止になると、生活もできなくなる」という不安から、中止を求める声が上げにくい。

 ダム建設は生活再建などを”人質”に推し進められる。実際、熊本県の蒲島郁夫知事が昨年九月、川辺川ダムに反対を表明するや、国は水没予定地に計画していた橋の建設などを凍結した。

 民主党の「ダム事業の廃止に伴う特定地域の振興に関する特措法案」(仮称)の骨子案は、そうした構造を転換させることが狙い。国などがダム事業を中止した場合、影響を受ける地域を「特定地域」に定め、国や関係自治体、地域住民らでつくる地域振興協議会がまとめる公共施設整備や産業振興策に、国が交付金を出す仕組みだ。

 大河原氏は「ダムが計画されると、水没予定地は時間が止まったように放置される。新法によって、その地域に住み続ける人が希望を持て、人口を取り戻すビジョンを持てるような街づくりを後押ししたい」と話す。

 国直轄と道府県営を含めたダム計画は八ッ場や川辺川を含め、全国で百四十一もある(昨年十二月現在)。「全国各地でダム計画の見直し機運をこの新法で高められれば」と大河原氏。

 骨子案は二十日までパブリックコメントを募集。その後に最終案をまとめ、今国会提出を目指す。次期衆院選マニフェスト(政権公約)に八ッ場ダム中止を盛り込むのに加え、ダム中止後の水没予定地支援策を掲げることで、政権交代を引き寄せたい考えだ。

 ただ、八ッ場ダムの地元では地域振興より個々の住民の生活再建を求める声が強いのも事実。
 民主党関係者は「地域振興を先行させ、住民の生活向上へと波及させたい」と説明するが、同ダム計画の見直しを求める市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「生活再建への道筋をより鮮明にした方が予定地住民は安心でき、法案への理解も広がるのでは」と話している。