八ッ場問題で副知事 「ダム湖前提で生活再建」

 八ッ場ダム事業における生活再建事業は、国の意向を受けた群馬県が1980年に提示した生活再建案を叩き台とし、5年間の地元との交渉を経て1985年にとりまとめた再建プランが基になっています。このプランは、「現地再建ずり上がり方式」による「代替地計画」が核となっていますが、1985年から24年を経た今日、全水没予定地では住民の四分の三の世帯が代替地を諦めて転出し、計画そのものが破綻していると言わざるをえない状況にあります。
 バブル崩壊前、リゾート法の指定を受け、ダム湖観光による湖畔のリゾートをアピールしてきた群馬県は、いまだに「ダム湖を前提とした生活再建」を訴え続けています。八ッ場ダムは観光シーズンの夏場、洪水調節により水位を28メートル低下させ、渇水期にはさらに10メートル低下させるダムです。盛土によって造成される代替地についても、国土交通省は安全性を説明する資料を公表していません。

◆2009年10月1日 上毛新聞一面トップ記事より転載
ー「ダム湖前提で生活再建」八ツ場問題で副知事 県議会一般質問 観光振興に重点強調ー

 県八ツ場ダム地域生活再建推進連絡会の全体会議委員長を務める茂原璋男副知事は30日、県議会一般質問で、前原誠司国土交通相が同ダムの本体工事を中止した上で生活再建関連事業を継続する方針であることについて「ダム湖なしでの生活再建は困難」との見解を示し、中止撤回を求めた。現在の生活再建事業がダム湖を前提とした観光振興に重点を置いているのが理由。また、自民・ポラリスの議員3人が提案した建設推進の意見書提出案は、同日の産経土木常任委員会で可決された。

◎産経土木常任委 推進の意見書可決
 同ダム推進の立場から福重隆浩氏(公明)が今後の生活再建について見解をただすと、茂原副知事は「現在の生活再建はダムサイト公園やダム湖周遊バスなど、ダム湖を前提とした内容。地元もダム湖と新緑、紅葉など四季の変化が一体となった川原湯温泉の再生を描いており、それを簡単に変えることはできないと思う」と答弁した。

 その上で、前原国交相が来年度予算の概算要求に本体工事費を盛り込まないと表明したことについて「非常に遺憾」と述べた。

 また、今後の県の対応に関する福重氏の質問に対し、大沢正明知事は「関係知事や地元と連携して中止撤回と協議の場の設置を求める。中止と言うならダムの効果や必要性を再検証し、結果を公開するべきだ。代替案を準備するのも大臣の最低限の仕事ではないか」との考えを強調した。

 鳩山由紀夫首相らに建設推進を求める意見書の提出案は本会議終了後、同常任委で審議され、自民・ポラリス、公明の5人が賛成、リベラル群馬、民主改革クラブの各1人が反対し、賛成多数で可決された。1日の本会議で審議され、可決される見通し。

 常任委での意見書可決後、後藤克己氏(リベラル群馬)が同ダム事業の必要性の再検証や生活再建推進を求める別の意見書提出を提案したが、「建設推進が明記されていない」(公明議員)などとする自民、公明5人の反対で否決された。