八ッ場本体工事 概算要求盛らず

◆2009年9月30日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000600909300001
ー八ツ場ダム本体 概算要求盛らず 知事ら落胆の声ー

 前原誠司国土交通相は29日の記者会見で、八ツ場ダム(長野原町)の本体工事について、事業費を来年度予算の概算要求に盛り込まない考えを示した。中止の白紙撤回を求めている大沢正明知事らダム推進派からは「がっかり」といった声が上がった一方、ダム見直し派からは生活再建関連事業に期待する声も出た。

 本体工事は13年度までの工期で予定され、国交省は8月の概算要求で本体工事費を含む194億円を盛り込んでいた。だが、政権交代前の9月3日に国交省が入札を延期。前原国交相は就任直後の17日未明、ダム建設事業の中止を明言していた。

 本体事業費を概算要求に盛り込まない方針について、長野原町の高山欣也町長は「予想していたが、強引に進めていく姿勢を改めて感じた。がっかり、の一語に尽きる」と取材に述べた。大沢知事は「地元住民や、共同事業者である関係1都5県にも意見を聞くことなく、一方的だ。極めて遺憾」とコメントした。

 一方、前原国交相はダムの関連工事として進められてきた生活再建事業は続けるとの考えを改めて強調した。建設見直しを求めてきた市民団体「八ツ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「地元の方々は不安と焦燥の中にいる。(国には)ダムがなくても生活再建はきちんとできることを示してほしい。地元の意見を丁寧に聞き取って、不安を払うことも大切」と話した。

◆2009年9月30日 東京新聞群馬版より転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20090930/CK2009093002000100.html
ー八ッ場ダム 概算要求見送り表明『先見えないのが困る』 怒り、不安…思い交錯ー

 前原誠司国土交通相が来年度予算の概算要求に八ッ場(やんば)ダム(長野原町)本体工事費を計上しないことを明らかにした二十九日、長野原町や県の関係者らは「国の意思だけで工事予算凍結を決めるのか」と強く反発した。ただ、本体工事の「ゼロ予算」が正式決定すれば鳩山政権が公約する「八ッ場ダム中止」が既成事実となるため、関係者の中には国との“緊張状態”の早期打開を求める意見も出ている。 (中根政人、山岸隆)

 二十八日の県議会で、就任直後にダム中止を表明した前原国交相を「独裁者」と形容した大沢正明知事は「地元住民やダムの共同事業者である一都五県に意見を聞くことなく、一方的に本体工事費を盛り込まない決定をしたことは極めて遺憾」と連日の批判を展開。

 県特定ダム対策課の坂井賢一課長は、住民が国との意見交換を拒否し、膠着(こうちゃく)状態が続く現状に「このままの状況は好ましくない。『結果的にダム中止』となる事態を避ける努力をしなければならない」と話す。

 生活再建関連事業に必要な予算は盛り込まれる見通しだが、具体的な内容が分からず、住民のいら立ちも募る一方だ。

 川原湯温泉旅館組合長の豊田明美さん(44)は「やっぱりかという感じ。先が見えないのが一番困る。精神的に疲れるし、仕事が手につかない。生活再建の具体案を提示してほしい」と憤る。

 八ッ場ダム推進吾妻住民協議会長で、水没関係五地区連合対策委員長の萩原昭朗さん(77)も「建設中の橋は継続して造るのか、代替地の整備はするのか、具体案がなければコメントのしようがない」と困惑。

 長野原町に隣接する東吾妻町の茂木伸一町長は「概算要求しないのは想定内だが、事業の先送りはダムの早期完成を求める住民にとってむごい話だ」とあらためて中止の撤回を求めた。

 一方、ダム見直しを求めてきた市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「本体工事の凍結が確定的になり、ダム完成を信じていた住民の苦悩はさらに深まるだろう。地域の未来につながる生活再建事業を実現するため、国には住民の声を丁寧に拾い上げる責任がある」と訴えた。