吾妻川・利根川関連事業凍結へ

2009年10月10日

 前原国土交通大臣が48ダム事業の一時凍結を表明しました。この中には、群馬県の吾妻川上流総合開発事業と利根川上流ダム群再編事業が含まれています。読売新聞の記事を転載します。

読売新聞群馬版 2009年10月10日

ー吾妻川、利根川関連も凍結 既に計52億円投入ー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20091010-OYT8T00166.htm

 前原国土交通相が9日に一時凍結を表明した48のダム関連事業のうち、県内では、八ッ場ダム以外にも、「吾妻川上流総合開発」と「利根川上流ダム群再編」の水資源関連2事業が対象となった。

 吾妻川上流総合開発は、同川に流れ込む酸性河川を中和する目的で、1992年に事業開始、これまでに25億円が投じられた。中和工場の建設や小規模ダムを造って石灰を投入することなどが選択肢にあるが、現在は規模や個所などを決めるための調査段階だ。県河川課は「強酸性の川が中和されて魚が住めるようになれば地元にも恩恵がある。続けられるなら続けてもらいたい」と話している。

 また、利根川上流ダム群再編は、矢木沢ダム(みなかみ町)や奈良俣ダム(同)など、既存の6ダムの機能向上を図るのが目的。2002年に事業開始し、これまでに27億円が投じられた。気象条件などに応じた貯水容量の振り替えや、既存ダムのかさ上げなどの選択肢があるが、具体的な手法を調査している段階だ。

 一方、前原国交相が「知事の判断を尊重する」とした、道府県が主体で国が補助金を支出している全国の87ダムには、県営倉渕ダム(高崎市)と、同増田川ダム(安中市)も含まれた。

 倉渕ダムは県が03年12月に事業を凍結、地元と中止に向けた協議を行っている。増田川ダムは、大沢知事が今年2月、県公共事業再評価委員会に再評価を求めて凍結に向けた具体的手続きに入る考えを表明している。前原国交相が補助金凍結に含みを持たせていることもあり、県は「国の動向を見守る」としている。

転載終わり
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 吾妻川上流総合開発事業はダム事業そのものではなく、草津温泉の下流等で行われている中和事業(川に石灰乳を注入して、その中和生成物を品木ダムに沈殿させる)を工場のようなプラント方式に変えることを目指した事業です。
 八ッ場ダムの建設予定地を流れる吾妻川は”死の川”と呼ばれ、ダム建設のために中和事業が始まったという経緯があります。
*参照→「死の川だった吾妻川」 https://yamba-net.org/wp/modules/problem/index.php?content_id=17

 品木ダムは中和生成物と流入土砂で満杯になりつつあり、その延命策として堆積土を浚渫して脱水し、流域内の処分場に捨てていますが、これも限界になりつつあります。そこで、プラント方式に変えて、土砂が混ざらない中和生成物(おもに石膏)を取り出してセメント工場の原料に使おうというのが吾妻川上流総合開発事業です。実験施設での実験が行われてきていますが、まだ実用化の目処は立っていないようです。

 利根川上流ダム群再編事業は利根川の治水基準点「八斗島」に近い下久保ダムの利水容量の大半を奥利根のダム群に移して、下久保ダムの治水容量を増やすことなどを行う事業です。この下久保ダムの治水容量の増強は、現状でも夏季には治水容量の分を空にするため、満水位から13m水位を下げているのに、水位をさらに25mも下げるものです。環境や観光などlに悪影響を及ぼしかねないとして、藤岡市や神流町などから強い反対の声が出ています。