八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

民主党群馬県連、八ッ場生活再建について提言

 群馬県の民主党県連がこのほど八ッ場ダムの生活再建問題についての提言をまとめ、前原国交大臣に提出したとのニュースです。

◆2009年11月12日 読売新聞群馬版より転載
「生活再建 本格議論 民主議員、意向調査を国に提言」

 民主党県連会長の富岡参院議員(左から2人目)ら県選出の同党国会議員が、前原国交相(左から3人目)に提言書を手渡した(11日午前、国土交通省で) 前原国土交通相が中止表明した八ッ場ダム(長野原町)を巡り、宙に浮いた状態になっている地元住民の生活再建についての議論が活発化している。県関係の民主党国会議員7人は11日、ダム中止後の県・町への財政支援や住民の意向調査などを求める提言書を前原国交相に提出。一方、大沢知事は同日、国交省の来年度予算概算要求に生活再建関連費が明示されていないことに不満をあらわにした。

 民主党議員による提言書では、「将来の生活の見通しが一日も早く描けるよう、ダム中止を前提とした生活再建計画をすみやかにご提示いただきたい」と、ダム建設を前提とした現在の計画の代替案を要望。その上で、水没予定地の住民に対する意向調査の実施や、国と自治体、住民などによる協議機関の設置、水没予定地の川原湯温泉街の再建計画を現在地での営業継続を前提に策定することなど、12項目を提言した。

 民主党県連会長の富岡由紀夫参院議員によると、前原国交相は「内容をしっかり受け止めて真剣に検討する」と述べ、「年内をめどにぜひもう一度、地元と話をしたい」と、住民との協議に意欲を示したという。また、富岡氏は「7人それぞれが地元の人たちからいろいろな意見を集約した総意が盛り込まれている」と述べ、提言内容は首長も含めた地元の意向を踏まえたものであることを強調した。

 だが、長野原町の高山欣也町長は取材に対し、「提言書の内容は知らない。『町長に相談した』と言うなら、どういうものを出すのか事前に言うべき。相談されたとは思っていない」と述べた。また、大沢知事も同日の記者会見で、県関係の民主党国会議員との連携について「必要だと思う」とする一方、提言書について、「その生活再建案はどこまでできているのだろうか」と疑問を呈した。

 さらに、大沢知事は同日、来年度予算の概算要求について説明に訪れた関東地方整備局の菊川滋局長らに「直轄の生活関連ぐらいは、(概算要求に)乗せても良かったのではないか」と不満をぶちまけた。

 同省が先月発表した概算要求では、ダム本体工事費の計上を見送り、生活再建については、「今後、所要の検討を行い、必要な措置を講じる」として、内容や額については明確にしていない。大沢知事は「前原大臣は生活関連はやると言っているのだから、せめて道路や代替地について、しっかり予算付けができたということになれば、話し合いのテーブルに着く大きな(理由の)一つだ」とも述べた。

 生活再建を巡っては、ダム湖を前提とした観光振興などの計画を進めてきた地元住民の間では、「ダム完成であと6年で生活再建ができると思っていたのに」と、再建の遅れへの懸念が強まっている。

◆2009年11月13日 産経新聞より転載
「群馬・八ツ場ダム問題 民主党国会議員の生活再建策 地元温泉組合が異議」
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/091113/gnm0911130314000-n1.htm

 建設中止が明言された八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)問題で、川原湯温泉旅館組合(豊田明美組合長)は12日、民主党群馬県連所属の国会議員が前原誠司国土交通相に提出した、生活再建策の早期策定などを求める要望書に、異議を申し立てるコメントを発表した。

 要望書では、「川原湯温泉街は、原則として現在地での営業継続を前提に再建計画を策定すること」などとしているが、同組合は、組合員がこの提言に同意するような話をしたことはないと指摘。

 その上で、「具体的なことを提言書に盛り込むなら、温泉街の形成に直接関係のある旅館経営者の意見を聞いてもいいのではないか」と批判した。