八ッ場ダム 『最大流量は過大』 反対訴訟原告団調査 前提の工事未完成(東京新聞)

2009年11月27日 東京新聞朝刊より転載

 一九四七年のカスリーン台風並みの雨で、利根川治水基準点の八斗島(やったじま)(群馬県伊勢崎市)に、最大毎秒二万二千立方メートルの水が流れるとの国の試算について、算出の前提とされた基準点上流部や支流の堤防改修工事が、計画策定から約三十年たっても、ほとんどの地域で未完成であることが二十六日、分かった。 

 八ッ場(やんば)ダム(同県長野原町)建設反対訴訟の原告団の現地調査で明らかになった。国の「堤防改修工事で上流域の雨水がはんらんせず、すべて川を流れる」とした最大流量の前提の一つが崩れ、治水目的の八ッ場ダムの必要性も問われそうだ。

 訴訟を通じ、国が八〇年に策定した「利根川工事実施基本計画」で示した毎秒二万二千立方メートルの最大流量は、八斗島上流や支流の将来的な大改修が前提であることが、国の資料などから判明。

 原告団が今年六月から十月にかけ、国が堤防かさ上げ工事を行うとした七カ所を調査したところ、六カ所で計画通りの工事が行われていなかった。

 群馬県によると、八〇年以降、県内の利根川中流圏域で床上浸水被害が出た豪雨は四回、計三十七戸。国が計画した堤防かさ上げが行われなくても甚大な被害は出ていない。

 原告団は「国はダム建設を正当化するため実現可能性の薄い堤防改修工事を前提に過大な最大流量をはじき出した」と指摘。国が主張するほど水は流れず、治水上不要だとする報告書を、三十日にも東京高裁に提出する。

 八ッ場ダムをめぐっては、一都五県の住民が二〇〇四年、治水や利水に効果がないとして事業負担金の差し止めを求めて各都県を提訴。東京、前橋、水戸各地裁では住民側が敗訴し、それぞれ東京高裁に控訴した。