八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

湖面一号橋をめぐって

 政権交代により、にわかに脚光を浴びたのが八ッ場ダム予定地に聳える建設中の付け替え県道の一部、湖面二号橋でした。ダム湖を前提とした巨大な十字架上の橋脚がテレビにたびたび取り上げられた橋脚工事現場では、12月18日に痛ましい死亡事故が発生していますが、八ッ場ダム事業ではさらにもう一つの湖面橋-湖面一号橋の計画が進んでいます。
 湖面一号橋は現在のJR川原湯温泉駅付近が建設予定地で、町道川原湯久森線の栄橋の「水没機能補償」として計画されたものです。

 湖面一号橋については、こちらに詳しい解説を掲載しています。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/genchi/index.php?content_id=17

■2009年12月1日 東京新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダム中止問題 関連工事 入札実施へー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20091201/CK2009120102000112.html

 県は三十日、八ッ場(やんば)ダム(長野原町)建設に伴う生活再建事業の一環として、同町川原畑地区と川原湯地区の代替地を結ぶ「湖面1号橋」の橋脚二基の工事の入札を来年二月に実施すると発表した。鳩山政権のダム中止方針によって、1号橋の建設をめぐる情勢は不透明だが、県は「国から入札の中止や延期などの指示は受けていない」として予定通り行う方針だ。 (中根政人)

 県特定ダム対策課によると、入札対象となる工事は、計画されている橋脚四基のうち「P3」「P4」の両橋脚。工事の実績などの評価で応募企業を絞り込む「条件付き一般競争入札」で実施される。入札予定日は来年二月一~三日で、電子入札を採用する。

 工期はP3橋脚が来年三月~二〇一二年三月、P4橋脚は来年二月~一一年十二月の予定。湖面1号橋全体では、この後、残る橋脚や橋台、道路部分を建設し、一三年度完成を目標としている。

 湖面1号橋は十一月末現在で大部分が未着工で橋脚一基の工事が着手されているのみ。民主党の県関係国会議員は「ダムなし」を想定した生活再建事業について「未着工の橋の建設凍結」を要望。国土交通省も来年度以降の建設事業の取り扱いを明確にしていない。

 県は「1号橋を建設しないという決定はされていない。本来の事業計画が変更されたわけでもなく、入札やその後の工事はスケジュール通りに対応する」としている。

■2009年12月2日 朝日新聞群馬版より転載
ー湖面1号橋の入札公告ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000580912020001

 八ツ場ダム建設で全戸水没予定だった長野原町の川原畑地区と川原湯地区の移転代替地を結ぶ「湖面1号橋」について、県は1日、4本の橋脚のうち2本の工事の入札を公告した。ダム建設中止後の生活再建事業がどうなるか不透明だが、県特定ダム対策課は「ダムそのものの中止も決まっておらず、当初の予定通りに実施した」としている。

 1号橋は県道川原畑―大戸線の一部で、長さ494メートル、高さ73・5メートル。総事業費は52億円で、2014年3月までの完成を見込む。今回の2本の橋脚は条件付き一般競争入札で、来年2月1~3日の入札を予定している。

 民主党の地元国会議員7人は11月、前原誠司国土交通相に対し、ダム中止後の生活再建事業について提言したなかで、「未着工の橋梁(きょう・りょう)の建設凍結」として1号橋の計画見直しを求めていた。前原国交相は「生活再建事業は今まで通り続ける」と明言しているが、具体的な今後の計画は決まっていない。

 すでに橋脚1本は今年6月に発注済みだが、大部分は未着工。

 ダム湖の両岸を結ぶ3本の橋のうち、上流の林地区と川原湯地区を結ぶ2号橋は来年3月までに完成予定で、林地区と横壁地区を結ぶ3号橋はほぼ完成している。

■2009年12月2日 産経新聞群馬版より転載
ー八ツ場ダム問題 群馬県、生活関連事業の一部の工事入札を公告ー
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/091202/gnm0912020220002-n1.htm

 建設中止が明言された八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)問題で、県は1日、同ダムの生活再建事業の一つとして計画されている「湖面1号橋」(川原湯地区~川原畑地区)の橋脚2基の工事の入札を公告した。生活再建事業については、平成22年度の国の概算要求で詳細が明示されなかったが、県特定ダム対策課は「国も生活再建事業は推進すると言っており、これまでの方針に基づいて実施した」としている。

 同課によると、入札が公告されたのは、同橋の橋脚4基のうち規模の大きい「P3」(高さ73・5メートル)と「P4」(高さ65・5メートル)の両橋脚で、工期は、P3が来年3月~24年3月、P4が来年2月~23年12月の予定。入札予定日は来年2月1~3日で、県内での工事の実績などの評価を基に企業を選定する「条件付き一般競争入札」で実施する。

 湖面1号橋は、総事業費約52億円のうち、橋脚1基約5億7千万円が着工されているが、大部分が未着工。25年度の完成を目指している。

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 群馬県が湖面一号橋の入札日程を公表したことに対し、八ッ場ダムをストップさせる各都県の会では、入札中止を求める要請書を民主党群馬県連に提出しました。

◆2009年12月4日 東京新聞群馬版より転載
ー『八ッ場ダム事業進行を危ぐ』 『湖面1号橋』入札中止をー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20091204/CK2009120402000117.html

 八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の建設中止を求める市民団体「八ッ場ダムをストップさせる群馬の会」などは三日、同町川原畑地区と川原湯地区の代替地を結ぶ「湖面1号橋」の橋脚工事で、県が実施を決めた入札の中止を求める要請書を前原誠司国土交通相と民主党県連あてに提出した。

 要請書では「(県は)八ッ場ダム建設中止に反対する立場から、湖面1号橋など関連工事の建設を急ぐことで(ダム建設を前提とした)事業が後戻りできない状態をつくろうとしている」と強く批判。前原国交相と民主党県連に、国や政権与党の立場で県に入札中止を指導するよう求めている。

 県は先月三十日に、湖面1号橋の橋脚二基の工事入札を来年二月に行うと発表した。だが、民主党の県関係国会議員は“ダムなし”を前提に提案した地元の生活再建案で、湖面1号橋を念頭に「未着工の橋の建設凍結」を要望している。八ッ場ダムをストップさせる群馬の会も「橋の建設をめぐる情勢は極めて流動的だ」と指摘している。 (中根政人)

◆2009年12月4日 朝日新聞群馬版より転載
ー1号橋入札中止 国交相らに要請ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000580912040001

 八ツ場ダム(長野原町)の建設に絡み、「湖面1号橋」の工事の入札を県が公告したことを受け、市民団体「八ツ場ダムをストップさせる群馬の会」は3日、「ダムが中止になれば必要性が低い」として、前原誠司国土交通相と民主党県連に対し県に中止を求めるよう要請した。

 1号橋は、水没予定地だった長野原町の川原畑地区と川原湯地区の移転代替地同士を結ぶ橋で、総事業費は52億円。「群馬の会」は、入札は県がダム建設を求めるため、建設を前提とした関連工事を急いだ結果だ▽川原湯温泉の入り口に橋脚が立ち、景観が損なわれる▽建設予定地に地滑りなどの危険性がある、と訴える。

 工事主体は県だが、費用の96%は国が負担するため、国から県に入札中止を求めるよう要請するという。

 浦野稔会長は、1号橋は代替地同士を結ぶアクセス道路であるとしたうえで、ダムが中止になれば代替地に移る住民が減ると予測し、「1号橋を使う人も減るため影響は小さいはずだ」と話した。