前原大臣に要請書提出

 八ッ場あしたの会では、さる12月21日に前原国土交通大臣に要請書を提出しました。この要請書は、八ッ場ダム水没予定地の生活再建・地域振興を目的とした予算付けを求める内容です。
 従来、国土交通省では、ダム本体工事以外のすべての付帯工事を「生活再建関連事業」と位置づけてきており、地元の長野原町長からは、住民と国土交通大臣との意見交換会受け入れの条件として「生活再建関連事業の満額計上」が求められています。
 しかし、「生活再建関連事業」はダム事業を前提としたものであり、名称とは裏腹に、必ずしも地元の方々の「生活再建」の役に立たない事業も含まれているのが実状です。これまで長い歳月、ダム計画の下で「生活再建関連事業」が進められてきた結果、ダム予定地では生活破壊が進行し、人口減少により地域は衰退の一途を辿ってきました。特に全水没予定地では、山の中腹に造成中の代替地にのみ予算が集中し、半世紀以上のダム計画で放置されてきた水没予定地に対しては、どうせダムに沈むのだからと、何の手当ても予定されていません。
 このまま「生活再建関連事業」に多額の税金が投入され続け、しかもダム事業が中止になった場合、国の財政事情からして、これ以上、八ッ場ダム予定地に税金を投入することに対して、国民一般は厳しい目を向けることになるでしょう。ダム事業を中止するのであれば、大幅に遅れている代替地計画のためにいまだに補償を受けていない住民への対策を早急に講じ、中止を前提とした生活再建・地域振興のあり方を住民と話し合い、住民の要望に沿った事業への組み換えを行う必要があるのではないでしょうか。

 以下に要望書を転載します。

 2009年12月21日
 国土交通大臣 前原 誠司 様

 八ッ場あしたの会 

 日々のご政務、ご苦労様でございます。
 八ッ場ダム予定地住民との意見交換会について、その受け入れと引き換えに、「生活再建関連の予算の満額回答」を求める要請文が地元より前原大臣に提出されたと聞いております。

 八ッ場ダムの完成を前提とした「生活再建関連事業」
 国土交通省は八ッ場ダム事業における本体工事以外の事業はすべて「生活再建関連事業」と位置付けていますが、「生活再建関連事業」は八ッ場ダムの完成を前提とした事業であり、ダムが中止になれば不要となる事業も含まれています。
 「生活再建関連事業」を旧政権下と同様に続行することは、来年度以後、ダム本体工事を開始できる準備が徐々になされ、本体工事を進めるための外堀が埋められていくことを意味します

「生活再建関連事業」の続行による弊害
 「生活再建関連事業」の工事によって水没予定地の改変が進んできており、このまま湖面1号橋などの関連事業が続けられれば、水没予定地における居住、営業はきわめて困難となります。その結果、住民の多くは、代替地への移転あるいは地区外への転出を余儀なくされることになります。特に湖面1号橋は橋脚が川原湯温泉街の入口に設置されますので、現温泉街での営業に大きな影響を与えるものと懸念されます。
 こうした状況が続きながらダム中止方針が揺るがないことになれば、地元住民の苦悩はいっそう増すことになります。

 真の生活再建・地域再生に資する予算付けを
 地元の方々の真の願いは、生活再建、地域の再生にあります。限られた予算枠の中で、ダムの完成を前提とした関連事業にのみ予算が投じられれば、ダム中止後の生活再建のために必要な事業が実施されず、地域の再生が困難になってしまいます。
 八ッ場ダム中止後、ダム予定地では水没予定地と代替地とを一体化した地域の再生が必要となります。57年間のダム計画の中で放置されてきた水没予定地のライフラインの整備、ダム湖を前提としない代替地の活用策などが早急に講じられなければなりません。

 多くの国民が八ッ場ダム予定地に注目し、旧政権下で犠牲となってきた地元の方々が長年の苦悩から解放されることを願っています。限られた予算額の中で、人道的な見地から、ダム中止後の住民の生活再建・地域の再生に資する事業を最優先とした予算措置をご検討くださることを要望いたします。