八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

湖面1号橋の入札をめぐる動き

2010年2月5日

 群馬県が昨年11月30日に橋脚2本の入札実施を発表した八ッ場ダムの湖面1号橋の行方が注目を集めています。事業主体である群馬県は、2月1日に予定通り橋脚2本の入札を行い、2月4日に開札後、落札結果をホームページに掲載しました。
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http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet;jsessionid=0E0A116483AD50BE0BA2C8219DFF4FBD?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=89672&LANG_ID=8

〈群馬県ホームページより落札結果を転載〉
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補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋橋脚工事に係る条件付き一般競争入札(簡易型総合評価落札方式)の落札決定について

1 補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P4橋脚工事

(1)落札者
前田・東光補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P4橋脚特定建設工事共同企業体 代表者:前田建設工業株式会社 構成員:東光建設株式会社

(2)落札金額
金374,850,000円(消費税込み額)【落札率 90.3%】

(3)契約予定日
平成22年2月9日

(4)工期
平成22年2月~平成23年11月

(5)入札者

(1)戸田・南波補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P4橋脚特定建設工事共同企業体

(2)オリエンタル白石・千島工務店補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P4橋脚特定建設工事共同企業体

(3)大成・池原補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P4橋脚特定建設工事共同企業体

(4)佐田・吉澤補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P4橋脚工事特定建設工事共同企業体

(5)前田・東光補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P4橋脚特定建設工事共同企業体

2 補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P3橋脚工事

(1)落札者
大成・池原補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P3橋脚特定建設工事共同企業体 代表者:大成建設株式会社 構成員:池原工業株式会社

(2)落札金額
金479,850,000円(消費税込み額)【落札率 88.8%】

(3)仮契約予定日
平成22年2月9日

(4)契約予定日
2月議会議決後

(5)工期
平成22年3月~平成24年3月

(6)入札者

(1)戸田・南波補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P3橋脚特定建設工事共同企業体

(2)オリエンタル白石・千島工務店補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P3橋脚特定建設工事共同企業体

(3)大成・池原補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P3橋脚特定建設工事共同企業体

(4)佐田・吉澤補助公共道路改築事業(地方道)(仮称)湖面1号橋P3橋脚工事特定建設工事共同企業体

■2010年2月6日 朝日新聞群馬版より転載
ー2本の橋脚工事 二つのJVが落札ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581002060001

 八ツ場ダムのダム湖に架かる予定で、ダム反対派の市民団体などが建設中止を求めている「湖面1号橋」について、県は5日、2本の橋脚工事の入札結果を発表した。

 川原湯温泉街の入り口に建つP4橋脚は、大手と地元の建設会社でつくる五つの共同企業体(JV)が入札。前田建設工業(東京)と東光建設(長野原町)のJVが3億7485万円(落札率90・3%)で落札した。

 吾妻川べりのP3橋脚の入札には4JVが参加。大成建設(東京)と池原工業(東吾妻町)のJVが4億7985万円(同88・8%)で落札した。

 入札は簡易型総合評価落札方式で行われた。P4橋脚工事は9日に契約の予定で、P3は2月定例県議会での議決を経て正式に契約する。

 湖面1号橋についての詳細は、こちらをご覧下さい。
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 https://yamba-net.org/wp/modules/bridge/index.php?content_id=1

■2010年1月30日 読売新聞 一面より転載
ー八ッ場ダムの橋入札延期、国交相が群馬県に要請ー
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100130-OYT1T00072.htm

 群馬県長野原町の八ッ場(やんば)ダム建設計画を巡って、前原国土交通相が29日、ダムが完成した場合、ダム湖を横断する「湖面1号橋」(全長494メートル)について、2月1日から始まる橋脚工事の入札を延期するよう、事業主体の群馬県に要請したことがわかった。

 ダム本体の建設中止を表明している前原国交相が、周辺事業の見直しを打ち出したのは初めて。地元では1号橋の建設を望む声が強く、反発が一層強まるのは必至だ。

 入札延期の要請はこの日、三日月大造・国土交通政務官が群馬県庁を訪れ、大沢正明知事に伝えた。県は要請を拒否し、予定通り入札を行う方針を示した。

 1号橋は、事業費約52億円のうち96%を国が負担する。1号橋の橋脚は4本で、うち1本は政権交代前の昨年6月に着工しており、残る橋脚のうち2本は2月1~3日に入札が実施され、4日に落札業者が決まる。もう1本は2010年度末~11年度に入札予定。

 政府は10年度予算案に八ッ場ダムの生活再建事業費などとして約154億円を盛り込んだが、1号橋の工事費を支出しない場合、県が全額を負担するのは困難とみられる。

■2010年1月30日 上毛新聞一面より転載
ー1号橋の凍結検討 八ッ場で国交省ー
 
 八ッ場ダムで水没予定地区の生活再建事業として建設中の橋の凍結を、国土交通省が検討していることが29日、分かった。前原誠司国交相が水没を前提としたインフラ整備を見直し、雇用確保度などを最優先させる考えを国会で表明したことを受けた。
 前原氏は、昨年九月の八ッ場ダムの建設中止表明後、「生活再建事業は中断しない」と明言していただけに建設を求める地元住民や自治体の反発は必至。
 国交省が凍結を検討しているのは、水没予定地区の住民が移り住む代替地の間を結ぶ主要な三つの橋のうち2番目に長い「湖面1号橋」(長さ494㍍、橋脚の高さ約80㍍)。全長1.3㌔の県道(総事業費約52億円)の一部で、4本の橋脚のうち1本は既に着工。2本の橋脚について2月1日から3日までの入札が公告されている。
 国の委託で入札手続を行っている県は「1日の入札は実施する」(大沢正明知事)方針。しかし国交省は入札が実施された場合でも、今年夏以降の八ッ場ダム継続に関する検証を踏まえて新たな生活再建策をまとめるまでは、橋建設を凍結する方向性を模索している。

■2010年1月30日 上毛新聞二面より転載
ー八ッ場問題 再び住民対話を 国交省政務官 知事と会談、打診ー
http://www.raijin.com/news/a/30/news05.htm

 八ツ場ダム建設中止問題で、国土交通省の三日月大造政務官は29日、県庁で大沢正明知事と会談し、前原誠司国交相と長野原町の水没予定地住民との意見交換会を再び開催したい意向を伝えた。

 関係者によると、三日月氏は大沢知事、茂原璋男副知事らと約1時間にわたって会談した。

 昨年9月の同ダム建設中止表明後、初めて前原氏と住民側が直接対話した24日の意見交換会について「大変良かった」と述べ、さらに住民の生の声が聞ける場を設けたい意向を伝えた。

 また、前原氏は27日の参院予算委員会で「表面的にダム推進と言っている方々の中にも雇用につながるもの、月給が安定的に入るものを確保することが本当の生活再建だと言う方もいる」として「必ずしもダムを前提としたインフラ整備を続けることが真の生活再建ではない」と答弁した。この発言について、大沢知事は「地元の多くは従来通りの生活再建を望んでいる」との考えを伝え、けん制したという。

■2010年1月30日 日経新聞政治面より転載
ー八ツ場ダム橋脚、入札実施の考え 群馬知事ー
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100130ATFS3000230012010.html

 三日月大造国土交通政務官が29日、群馬県庁に大沢正明知事を訪ね、八ツ場ダム(同県長野原町)の建設中止方針に改めて理解を求めていたことが30日、分かった。三日月政務官がダムが完成した際にダム湖の両岸をつなぐ県道の「湖面1号橋」について、2月1日に迫った橋脚工事の入札を延期した場合の影響を尋ねると、大沢知事は「地元としては困る」と語り、予定通り入札を実施する考えを示した。

 湖面1号橋は事業費の大部分を国が負担している。国土交通省は10年度予算案に盛り込んだ生活再建経費154億円について、ダム完成を前提とした事業にも配分するかどうか今後検討する。

■2010年1月30日 共同通信47ニュースより転載
ー八ツ場ダムの橋、凍結検討 国交省、水没前提を見直しー
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012901001212.html

 八ツ場ダム(群馬県長野原町)で水没予定地区の生活再建事業として建設中の橋の凍結を、国土交通省が検討していることが29日、分かった。前原誠司国交相が水没を前提としたインフラ整備を見直し、雇用確保などを優先させる考えを国会で表明したことを受けた。

 前原氏は、昨年9月の八ツ場ダムの建設中止表明後、「生活再建事業は中断しない」と明言していただけに建設を求める地元住民や自治体の反発は必至。八ツ場を含め建設継続の是非を検討している89ダムの多くでは生活再建事業を実施中で、凍結検討は波紋を広げそうだ。

 国交省が凍結を検討しているのは、水没予定地区の住民が移り住む代替地の間を結ぶ主要な三つの橋のうち2番目に長い「湖面1号橋」(長さ494メートル、橋脚の高さ約80メートル)。全長1・3キロの県道(総事業費約52億円)の一部で、4本の橋脚のうち1本は既に着工。2本の橋脚について2月1日から3日までの入札が公告されている。

 国の委託で入札手続きを行っている群馬県は「1日の入札は実施する」(大沢正明知事)方針。しかし国交省は入札が実施された場合でも、今年夏以降の八ツ場ダム継続に関する検証を踏まえて新たな生活再建策をまとめるまでは、橋建設を凍結する方向性を模索している。

■2010年1月31日 東京新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダム関連事業で国交相 『1号橋』見直し示唆 県『入札、予定通り行う』ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100131/CK2010013102000114.html

 写真=橋脚2基の工事が新たに入札される「湖面1号橋」の建設現場=昨年12月、長野原町で

 八ッ場(やんば)ダム(長野原町)建設に伴う生活再建事業の一環として計画された「湖面1号橋」について、前原誠司国土交通相が建設見直しの可能性を県側に示唆していたことが30日、分かった。ダム本体の建設中止を表明した前原氏が生活再建事業の見直しに言及するのは初めて。 (中根政人)

 1号橋については、昨年十一月末の段階で橋脚二基の工事入札を二月一日から実施することが決まっていた。事業を担当する県は「前原氏の考えは容認できない。入札は予定通り行う」としている。

 県によると、二十九日に県庁を訪問した国交省の三日月大造政務官が大沢正明知事ら県側に前原氏の意向を伝えた。県側は「1号橋は(ダム完成を前提とした)住民の生活にとって不可欠な道路。入札の延期や中止は絶対にできない」と反論したという。

 1号橋は、長野原町の川原湯地区と川原畑地区の代替地を結ぶ目的でダム湖に架ける計画の橋で、全長は四百九十四メートル。事業費は約五十二億円で、96%は国のダム事業費から支出される。大部分は未着工で、現在は橋脚一基の基礎工事が始まっているのみだ。

 地元のダム水没関係五地区連合対策委員会は、1号橋の建設を強く求めているが、民主党県連や市民団体は「ダムが中止された場合、橋は存在意義を失う」として建設凍結を主張。二十四日に開かれた国と地元住民との意見交換会で、前原氏は「生活再建事業については三月末までに詳細を決める」として、建設の可否を明らかにしなかった。

 県幹部の一人は「落札業者が決定した後に橋の建設を凍結した場合、現場が混乱に陥る」とした上で「落札業者と工事の正式な契約を結ばないよう、前原氏が新たな働きかけを行ってくる可能性もある」と今後の見通しを語る。

 長野原町の高山欣也町長は「(1号橋建設見直しの可能性について)なぜ意見交換会の場で公式に説明しないのか。前原氏に対する不信感は増すばかりだ。今夏以降の再検証後にダム中止と言われても断固拒否する」と怒りをあらわにした。

■2010年1月31日 毎日新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダム・流転の行方:県、湖面1号橋の橋脚工事あす入札 /群馬ー
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20100131ddlk10010082000c.html

 ◇「生活再建に必要」
 八ッ場ダム問題を巡り、県は2月1日、ダム湖予定地にかける「湖面1号橋」の橋脚工事の入札を始める。地元の長野原町は「生活再建に必要な橋だ」と主張する一方、前原誠司国土交通相は27日の参院予算委で「必ずしもダムを前提にインフラ整備を続けることが真の生活再建ではない」と述べ、軸足を雇用対策などに移す姿勢を示した。湖面1号橋は県道だが、事業費の大半は国からの補助金でまかなわれるため、着工できるか行方は不透明だ。

 29日、国土交通省の三日月大造政務官が県庁を訪れた。国と地元が今後、ダム問題についてどのように話し合いを進めていくか協議するためだ。県側は大澤正明知事、茂原璋男副知事らが出席。その中で三日月政務官が「湖面1号橋は地元要望が強いが、やめたらどういう影響が出るのか」と切り出した。

 県側は「住民の生活再建道路として絶対必要。県はダム湖の完成を前提としており、1都5県と一緒にやっている」と従来通りの考えを伝えた。三日月政務官は「予定通り、入札は来週ですよね」と尋ね、この話題は打ち切られた。出席した県幹部は「政務官から入札延期を求める要請はなく、むしろ進めても構わないという感触を得た」と話す。

 しかし、前原国交相は参院予算委で「地元の方々に知恵をいただき(生活再建)案を作っていくことが本来のあるべき姿」と対話継続の姿勢を示す一方、湖面1号橋やその他のインフラ整備について「近々態度を決めないといけない。ダムがない場合に持続的に生活できるものを考えていくことが、真の生活再建だと思っている」とも述べた。

 湖面1号橋は、ダム建設に伴う生活再建事業の一つとして、水没した場合にダム両側の移住地間を結ぶ。4本の橋脚のうち1本は既に着工しており、今回の入札は2本分。民主党県連が昨年12月、国交省に入札中止を要望し、長野原町の高山欣也町長が県連に抗議文を出した経緯がある。

 総事業費52億円のうち、96%は国費のため、国が支出を凍結すれば計画は立ち行かなくなる。入札は3日に締め切られ、4日に開札される。【沢田石洋史、奥山はるな】

■2010年2月1日 朝日新聞群馬版より転載
ー橋の入札延期 国交省が示唆ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581002010001

 八ツ場ダム(長野原町)の建設中止問題で、国土交通省の三日月大造政務官が29日、大沢正明知事らと会談し、今後も地元住民との意見交換会を開きたいとの意向を示した。関係者によると、その場で三日月政務官は、週明けに入札が予定されている「湖面1号橋」の橋脚工事の入札延期の打診を示唆したが、県側は「そんなことをしたら大変なことになる」と応じ、湖面1号橋を含め、ダム建設を前提に進めているインフラ整備の継続を求めたという。

 湖面1号橋はダム湖にかかる3本の橋の一つで、川原畑地区と川原湯地区の移転代替地を結ぶ。事業主体は県だが、約52億円の事業費の96%は国費が占める。地元は「住民の生活再建に不可欠」として建設を求めている。

 関係者によると、県庁で1時間ほど行われた会談で、三日月政務官が地元との対話を進める上での条件整備について大沢知事らに尋ねた際、「湖面1号橋の入札延期をお願いしたらどうなるか」などと発言した。県側は、24日の意見交換会から1週間もたたずに地元の要望と反対のことになれば対話は困難になると指摘。三日月政務官は、今後も(ダム建設中止への)地元の理解を得るよう努力するとの姿勢を示したという。

 長野原町の高山欣也町長は「県の方からは何も聞いていない。こういう動きに出てくると、国交相は住民の意見を聞く耳を持っていない、と受け止めざるを得ない」と話し、「こんなことでは今後、話し合いなどできるはずがない」と語気を強めた。

■2010年2月1日 共同通信47ニュース
ー八ツ場、湖面橋脚の入札始まる 群馬県が“強行”ー
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020101000203.html

 群馬県は1日、八ツ場ダム(同県長野原町)の水没予定地区の生活再建事業である「湖面1号橋」の橋脚2本の一般競争入札を始めた。入札は電子入札で3日まで行われ4日に開札、5日に業者を決定する予定。

 前原誠司国土交通相は水没を前提としたインフラ整備を見直し、雇用確保などを優先させる考えを国会で表明。国交省は同橋建設事業の凍結を検討しており、県が“強行”した形となった。

 県によると、湖面1号橋(約494メートル)は県道だが、総工費約52億円のうち96%を国が負担する。橋脚4本のうち1本は着工済み。

■2010年2月2日 産経新聞群馬版より転載
ー【八ツ場ダム】1号橋工事の入札開始 地元に安堵の声 群馬ー
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/100202/gnm1002020205002-n1.htm

 八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の生活再建事業の一つとして、「湖面1号橋」(同町川原湯地区~川原畑地区)工事の入札が1日、始まった。国土交通省が、同橋事業の入札見直しを示唆するなか、群馬県は入札を“強行”。同橋を生活道路として必要とする地元住民からは、県の対応に安堵(あんど)の声が上がった。だが、今後の動向は不透明で、入札後に建設中止が決まれば、さらなる混乱が生じる可能性もある。(楠城泰介、本間英士)

 県特定ダム対策課などによると、湖面1号橋は、代替地間を結ぶアクセス道路で、国道145号バイパスと、代替地に計画されている「新川原湯温泉街」を直結させる目的もあるという。

 前原誠司国土交通相はダム本体工事の中止を表明した後も、生活関連事業は実施する方針を打ち出しているが、昨年12月には民主党県連が、1号橋建設中止を求める要望書を提出。今年1月の参院予算委員会では、前原国交相が「ダム前提ではなく、持続的な生活につながるものが真の生活再建」などと発言。

 1月29日には、群馬県庁を訪れた同省の三日月大造政務官が、入札見直しを示唆したが、大沢正明知事は「橋も生活再建の一部。建設中止はとても考えられない」と拒否していた。

 入札開始を受け、川原畑地区に住む男性(80)は「無事決まってほっとした。橋が完成しないと、特に火事が起きたときに大変」と胸をなで下ろした。同地区の別の男性(68)は「1号橋は、生活に必要な道路。(建設見直し示唆の情報を聞いたときは)耳を疑った。もし(建設)凍結を主張するなら、せめて何らかの対案を出してからにしてほしい」と憤りをあらわにした。

 だが、不安は残る。茂原璋男副知事は「入札はしたが、落札後の県と業者の事業契約の延期や中止を求めてくることがあるかもしれない」と厳しい表情をみせた。

■2010年2月2日 上毛新聞より転載
ー八ツ場で県、1号橋の入札開始ー
http://www.raijin.com/news/a/02/news02.htm

 県は1日、八ツ場ダムの水没予定地区の生活再建事業である「湖面1号橋」の橋脚2本の一般競争入札を始めた。前原誠司国土交通相が国会答弁で水没を前提としたインフラ整備の見直しを示唆したことを受け、国交省が橋の建設凍結を検討しているが、県は「国から入札の中止要請などはない」などとして実施した。

 入札は3日まで受け付け4日に開札、5日に業者が決まる予定。大沢正明知事は一日、入札開始について取材に「国からは何も連絡はない。普通に(入札を)やって契約、着工する」と話した。

 長野原町の高山欣也町長は「先日の(前原氏との)意見交換会で住民が建設を要望していただけにほっとしている」とコメント。川原湯温泉観光協会の樋田省三会長は「代替地を結ぶ絶対必要な橋。地元の実情が分かっていれば入札は当然」と語った。

 1号橋は長野原町の水没予定地の川原湯、川原畑両地区の住民が移り住む代替地を結ぶ約494メートルの橋。橋脚4本のうち1本は着工済み。総工費約52億円のうち約4割が国費で、残りが本県など1都5県の治・利水面の建設負担金などで賄われる。

 同橋をめぐっては民主党県連や市民団体が「景観を破壊し、ダム中止後の生活再建に影響を与える」との考えから見直しを要望。一方、地元側は「必要な橋だ」と反発していた。

■2010年2月2日 朝日新聞群馬版より転載
ー橋脚工事 知事「予定通り入札、着工」ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581002020001

 八ツ場ダム(長野原町)のダム湖に架かる予定の「湖面1号橋」の橋脚工事について国土交通省の三日月大造政務官が県に入札延期を打診したことを受け、大沢正明知事は1日、朝日新聞の取材に「予定通り入札するし、着工する」と述べ、計画通り建設を進める姿勢を示した。

 湖面1号橋の橋脚4本のうち2本の一般競争入札は1~3日に行われ、5日に落札業者が決まる見通し。3月までに着工し、工期は約2年を見込んでいる。事業主体は県だが、約52億円の事業費の96%は国費が占める。

 1月29日に県庁を訪れた三日月政務官は大沢知事らに対し、「湖面1号橋の入札延期をお願いしたらどうなるか」などと発言したとされる。三日月政務官との会談について、大沢知事は「いろいろ話はした」と述べたが、湖面1号橋の今後については「何も聞いていない」とし、新年度政府予算の八ツ場ダム関連事業費約155億円に1号橋の関連事業費が盛り込まれる前提で、計画を進めていく考えを改めて強調した。

■2010年2月4日 東京新聞群馬版
ー湖面1号橋、費用対効果計算に疑義ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100204/CK2010020402000138.html

八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の建設中止を求める市民団体「八ッ場あしたの会」は三日、ダムの生活再建事業で建設の是非が焦点となっている付け替え県道の「湖面1号橋」について、「県が公表した橋建設の費用対効果の計算結果は疑問」とする声明を発表した。
 湖面1号橋について、県は橋を通る県道を片側二車線に拡幅した場合の費用対効果を算出。計画交通量を一日千九百台として計算した結果、費用対効果を表す「B/C」の値が1・7となり、一定の建設効果がある、との判断を示している。

 だが、あしたの会は「(橋が建設される)川原湯温泉の過去の観光客数は、最多の時でも一日平均約八百人。県が計算で使用した計画交通量は過大」などとして建設の効果は薄いと主張。「県は橋全体の費用対効果を計算しておらず、橋建設の是非を判断するための客観的な指標が存在しない」と訴えている。

 湖面1号橋をめぐっては、前原誠司国土交通相が県に建設事業見直しの可能性を示唆したが、地元住民らが猛反発している。 (中根政人)

■2010年2月4日 上毛新聞二面より転載
ー1号橋の費用対効果に疑問 八ッ場の見直し市民団体ー

 八ッ場ダム建設の見直しを求める市民団体、「八ッ場あしたの会」は3日、長野原町の水没予定地の生活再建事業として建設中の「湖面1号橋」について、県が計算した費用対効果に疑問があるとの声明を出した。
 1号橋建設は現在の橋を1車線から歩道付きの2車線道路に拡幅し、ダム湖を想定した高さに付け替える内容。声明では県が拡幅効果を計算した際の
交通量推計などについて「現実離れしている」と批判、工事費を住民への補償などに回すよう求めている。県は「一般的な方法で推計しており、問題ない」としている。
 1号橋は市民団体や民主党県連が「景観を破壊し、ダム中止後の生活再建に影響を与える」との考えから見直しを求め、地元側は「必要な橋」と反発。国土交通省が建設凍結を検討する中、県が橋脚2本の入札を開始した。

 湖面1号橋についてのこれまでの記事はこちらに転載しています。
*湖面1号橋をめぐって(2009/12/1~4)
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=771

*湖面1号橋についての記事(東京新聞2010/1/8)
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=798