湖面1号橋の契約をめぐって

 川原湯温泉駅前に建設が予定されている湖面1号橋について、事業主体の群馬県は入札、契約の手続きを進めています。前原国土交通大臣はダム事業を前提としたインフラ整備にのみ税金を投入することが本当の生活再建につながるのかと疑問を呈しており、ダムを前提とした工事を進めるとしている群馬県との見解の相違が顕著になってきています。関連記事を転載します。

◆東京新聞群馬版2010年2月10日
ー湖面1号橋 『P4橋脚』県が工事契約ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100210/CK2010021002000073.html

八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の生活再建事業で建設の是非が焦点となっている付け替え県道の「湖面1号橋」について、県は九日、入札を行った橋脚二基のうち「P4橋脚」の落札業者と予定通り工事契約を結んだ。もう一基の「P3橋脚」も同日、落札業者と仮契約を締結した。本契約の承認を求める議案を二月定例県議会に提出する。 (中根政人)

 湖面1号橋は現在、橋脚一基の基礎工事が着手されているだけで大部分が未着工。前原誠司国土交通相は先月末に建設見直しの可能性を示唆したが、県は前原氏の意向に反発。当初の予定通り今月一~三日に橋脚二基の入札を“強行”した。

 落札業者は五日に決定し、P3は大成建設と池原工業の共同企業体が四億七千九百八十五万円(落札率88・8%)で、P4は前田建設工業と東光建設の共同企業体が三億七千四百八十五万円(同90・3%)で落札した。

 P3は三月から二〇一二年三月、P4は今月から来年十一月までが工期で、県は「当初の計画通り工事に着手する」としている。だが、橋全体の建設費の96%は国のダム事業費から支出されるため、建設凍結も視野に入れる国が建設費を支出するかは不透明だ。

 1号橋については民主党県連が建設凍結を主張。ダム建設中止を求める市民団体も「建設を既成事実化することで、ダム事業を後戻りできない状態にしようとしている」と県の対応を批判している。

◆2010年2月10日 上毛新聞より転載
ー1号橋橋脚落札の2JVと県が契約ー

 県は9日、八ッ場ダムの生活再建事業として長野原町に建設する「湖面1号橋」の橋脚2本の工事について、一般競争入札で落札した2つの共同事業体(JV)と同日付で契約または仮契約したことを明らかにした。

 県特定ダム対策課によると、2本のうち「P4橋脚」は前田建設工業(東京都)と東光建設(長野原町)で構成するJVと契約。「P3橋脚」は大成建設(東京都)と池原工業(東吾妻町)でつくるJVと仮契約した。

 P3橋脚は予定価格が県議会の承認が必要となる5億円を超えたため、県議会2月定例会での議決を経て本契約となる。

 1号橋は市民団体や民主党県連などが建設見直しを訴え、国土交通省が凍結を検討する一方、地元住民は「必要な橋」として建設を求めている。

◆2010年2月11日 朝日新聞群馬版より転載
ー八ッ場 1号橋着工へ 事業費不透明のままー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581002120001

 八ッ場ダム(長野原町)のダム湖に架かる計画の湖面1号橋で、県発注の橋脚工事2本の受注業者が決まり、1本は2月中に着工する見通しになった。
1号橋の総事業費52億円の96%を握る国の動向が不透明なまま、県は新年度当初予算案にも事業費を組み込んでおり、「見切り発車」となった。

 1号橋の橋脚は4本あり、P2はすでに着工済み。P4は9月、県が工事の契約を済ませ、2月中に着工する予定。P3も県議会の議決を経て3月には契約。着工を予定している。橋を通る県道は2013年度に開通予定だ。

 国が新年度政府予算案で示した八ッ場ダム関連の155億円を、3月末の個所付けで予定通り1号端にも振り分けることが建設を続ける前提になる。住民は1号橋は生活に欠かせない道路だと主張している。
 ただ、前原誠司国土交通相が「ダムを前提としたインフラ整備を続けることが必ずしも生活再建ではない」と述べるなど、今後の行方ははっきりしない。

 受注したゼネコンの関係者は取材に対し、全国的にダム事業の凍結が相次ぐなど、業界の厳しい経営環境を説明。
 「実力を発揮でき、利益の出る工事だと考えた。中止や延期はないと踏んだから、他社も入札に参加したはず」と話す。

 「湖面1号橋」について、建設中止を訴えている市民団体「八ツ場あしたの会」は、建設費用を1とした場合の効果は0・76に過ぎないとする独自の試算結果を公表した。これに対し、県は「誤った解釈に基づく計算」と反論している。

 1号橋は、吾妻川の栄橋(長さ約50メートル、幅約5メートル)がダム湖に水没する補償として、長さ494メートル、幅13・5メートルで計画されている。県は橋の拡幅で、より早く目的地に到着することやそれに伴い車の燃費も減ることで、拡幅しない場合よりも1・7倍の効果があると算出している。

 あしたの会は、この積算根拠をもとに橋全体での費用対効果を計算した結果、逆の結果になったという。

 県道路整備課では「橋全体の費用対効果を出すにはもっと複雑な要因を考慮する必要があり、単純に試算はできない」と反論している。