八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

関係6都県、来年度の八ッ場予算計上

■2010年2月18日 NIKKEI NET 地域経済 関東面より転載
ー6都県、八ツ場予算に計211億円 建設推進改めて強調 国から譲歩には力不足ー
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20100217cfb1701j17.html

 前原誠司国土交通相が建設中止を表明している八ツ場ダム(群馬県長野原町)を巡り、流域など1都5県は17日までに2010年度予算案に合計で約211億円に上る関連費用を計上した。群馬県や埼玉県などが、国が10年度の予算化を見送った本体工事費を盛り込むなど、国と地方の「ねじれ」も鮮明になった。自治体側は財政難のなか予算を盛ることで建設推進の立場を改めて強調したい考えだが、国への対抗手段も限られてきた。

 建設にかかわる都県はおひざ元群馬のほか、東京、埼玉、千葉、茨城、栃木。17日に各10年度予算案が出そろった。利水権の比率などに応じた関連予算はいずれも09年度当初比11~42%減だが、付け替え道路といった関連工事の進ちょくや、事務費、営繕費の除外などが理由。42億円を充当した東京都は「昨年と同規模の予算を計上し、国に事業再開を求める姿勢を明らかにした」。

 群馬県は本体工事に伴う建設負担金として試算した2億円弱を予算に計上。地元の生活再建に向けたインフラ整備費などと合わせ約96億円を盛り込んだ。

大沢正明知事は「(ダムの)基本計画は何ら変更されていない。必要額はすべて計上し、国に対して協力に工事促進を求める」と話す。

 群馬県に次ぐ約56億円もの関連予算を計上した埼玉県は、本体工事分として8億5000万円を見積もる。上田清司知事は「(国から)正式な中止要請がない。中止される場合を考える必要がない」と強調する。

 千葉県は約6億2000万円を充てた。うち本体分は4800万円。森田健作知事は利水、治水の両面で八ッ場ダムが不可欠としたうえで「淡々と予算を計上していく」と話す。茨城県の関連予算は約10億5000万円となった。

 一方、栃木県は計上した3500万円に、他県のように本体工事としての予算は盛り込まなかった。東京都は本体分については明かしていない。

 国が10年度予算に盛り込んだ八ッ場ダムの生活再建事業費154億5000万円は、3月末までに策定する実施計画で詳細な使い道が明らかになる。ダムの両岸をつなぐ「湖面1号橋」など、地元が強く要望する工事が凍結されれば自治体の反発は必至。国と地方の関係がさらに悪化しかねない。

 ただ、国の直轄事業で関係都県の予算をいくらかき集めても「到底ダムは造れない」(群馬県幹部)。関連予算の計上だけでは、国から代替案や譲歩を引き出すにも、力不足は否めない。

6都県思惑に違いも 直轄事業への影響懸念

 国の八ッ場ダム中止方針に反対する6都県は必ずしも一枚岩とは限らない。東京都の関連予算は本体工事などの直轄事業負担金が36億円で、残る6億円は生活再建事業の負担額。国が本体工事に入らず生活再建だけを進めた場合は6億円のみを執行する形になるが、水を確保できないまま生活再建費を出すことに批判が出る可能性もある。こうした事情は群馬県以外の多くの都県に共通する。

 各都県とも国の方針に左右される直轄事業は八ッ場ダムだけではない。東京都では石原慎太郎知事が重視する東京外郭環状道路(外環道)がまだ「検討中」で事業費は未確定だ。

 「八ッ場ダムで強硬に出過ぎると他の事業に影響が出るのではないか」(都庁幹部)との懸念もくすぶっている。八ッ場ダム問題の決着が見え始めれば、優先順位を巡り各都県の足並みが乱れる可能性も否定できない。

関係都県の八ッ場ダム関連予算(単位:百万円)

     2010年度案   09年度

群馬県 9,618     13,270

埼玉県 5,581      6,296

東京都 4,200      4,700

茨城県 1,047      1,295

千葉県   623        739

栃木県    35         60

■2010年2月18日共同通信47news より転載
 ー6都県、八ツ場に229億円計上 10年度予算案ー
http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010021801000612.html

 八ツ場ダム(群馬県長野原町)の事業費を負担する6都県の10年度予算案が18日までに出そろい、同ダムの関連予算に一般会計や特別会計で総額約229億円を計上したことが分かった。

 国が中止方針を示しているにもかかわらず予算計上した理由を、埼玉県の上田清司知事は「(事業継続を求める)意志を示すためにも予算組みをした」と解説。「正式な中止要請はなく、法的には継続しているとみるのが筋。国は本当に中止したいなら手続きをすればいい」と話した。千葉県の森田健作知事は「基本計画はまだ何ら変更されていない。淡々と予算を計上していく」としている。

 都県別では、地元群馬の96億円を筆頭に茨城13億円▽栃木3500万円▽埼玉56億円▽千葉21億円▽東京42億円。それぞれ治水分の直轄負担金や、利水分の負担金、水源地域対策特別措置法に基づく事業の負担金などを計上した。ただ09年度当初予算より約2割減となっている。

■2010年2月17日 読売新聞政治面より転載

ー「八ッ場」工事費、4県が新年度予算に計上ー
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100217-OYT1T00735.htm

 前原国土交通相が本体工事中止を表明している八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)について、建設費を負担する1都5県のうち群馬、埼玉、千葉、茨城の4県が、2010年度の県予算案に本体工事費を計上していることが読売新聞の集計で分かった。

 4県は「建設推進の立場は変わらない」としている。

 政府は10年度予算案に八ッ場ダム関連で154億円を計上したが、この中に本体工事費は含まれておらず、道路の付け替えなど生活再建関連事業に充てる方針だ。

 4県は自公政権時代の概算要求額を基に建設負担金として計80億7000万円を計上、うち約20億円が本体工事費とみられる。4県の担当者は「本体工事はあくまで凍結。ダム建設が必要になれば、いつでも予算執行できるように準備した」としている。

 一方、建設負担金36億円を計上する東京都は「現段階では具体的な事業内容を想定した予算ではない」と、本体工事費が含まれているかどうか明らかにしていない。