八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

長野原町長、湖面1号橋凍結なら法的措置も

 ダム湖が前提で計画されてきた湖面1号橋の建設が生活再建のシンボルに祭り上げられる一方で、本当の生活再建は見通しが立っていません。ダム事業を前提とした生活再建・地域づくりはとっくに破綻しています。
 「生活再建事業」の名の下に、土建業→自民党後援会に税金が還流するシステムが維持される今の状況が続くかぎり、地元の人々は世論から孤立するばかりです。
 関連事業を推進する官僚体制は、シナリオどおりに民主党政権を追い詰めているように見えますが、本当に追い詰められているのは地元の人々です。生活の破壊を食い止めるための”政治主導”が今ほど求められているときはありません。

◆2010年3月16日 朝日新聞群馬版より転載
ー県に不満の声 「代案の話ない」ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581003160001

 八ツ場ダム(長野原町)の中止問題で、県議会八ツ場ダム対策特別委員会は15日、ダム予定地を訪れ、地元側との意見交換会に臨んだ。地元の雇用対策と地域振興の柱として県が取りまとめている「利根川・荒川水源地域対策基金事業」について、地元側は「政権交代後、県から一切基金の話はなく、先に進んでいない」「何も事業として成案になっていない。大変苦慮している」などと、県の対応に不満の声を上げた。

 基金事業は1992年の当初案では総額246億円で、各種施設の管理・運営は県が設置する水源地域振興公社が担うとされていた。だが県公社案が消え、2008年になって健康増進をテーマにまちづくりを目指す「ダイエットバレー構想」を盛り込んだ案に変わった。09年には総額178億円に3割カットし、公社設置は認めず地元出資の株式会社が担うとの案が県から示されていた。

 ダイエットバレー構想の中核施設「エクササイズセンター」についても、「検証の結果、難しいとの話を県から聞いたが、駄目なら駄目で代案の説明がないことへの不満の声が多い」と市村忠三・ダム担当副町長が地元の声を紹介した。

 地元側が建設を求めている「湖面1号橋」について、高山欣也町長は「(国が新年度予算に事業費を盛り込まなかった場合)法的手段もあり得る」と述べ、1号橋建設に消極的とされる前原誠司国土交通相を牽制(けん・せい)した。

◆2010年3月16日 毎日新聞群馬版
八ッ場ダム・流転の行方:1号橋凍結の場合、法的手段も検討--長野原町長 /群馬
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20100316ddlk10010184000c.html

 ◇「勝機はある」
 八ッ場ダム建設計画を巡り、長野原町の高山欣也町長は15日、ダム湖の両岸を結ぶ予定の「湖面1号橋」の建設が国の判断で凍結された場合、法的手段を検討する考えを明らかにした。視察で同町を訪れた県議会八ッ場ダム対策特別委員会のメンバーとの意見交換会で「仮に(予算から)外れれば、その手段もあり得る」と述べた。

 国は今月末までにダム関連予算の内訳を提示する予定で、高山町長は「(1号橋が盛り込まれるか)高校受験の発表を待つ中学生の心境。通ると思っているが、万が一ということもあり、非常に不安だ」と語った。

 法的手段の具体的な内容は示さなかったが、町長は「(国の凍結は)法律違反。勝機はあると思う」と述べた。一方、「57年の長期戦で疲れており、仮に法的手段に出た時は、さらに長引くことが危惧(きぐ)される」との懸念も示した。意見交換会終了後、町長は「裁判にするか、その時にならないと分からない。選択肢としてはある」と話した。

 同特別委が八ッ場ダム予定地を視察したのは初めて。移転代替地整備の進行状況などを把握するのが目的で、14人が参加した。【沢田石洋史】