八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム本年度予算 用地補償費は45億円

 注目されていた八ッ場ダムの今年度予算の内訳が一部明らかにされたとのニュースです。
 ダム予定地住民の関心が最も高いとされてきた補償金額は約45億円を確保。政権交代前後の駆け込み需要で予算が底をついた昨年度よりは大幅に積み増しされていると見られますが、それでも補償契約を希望する住民全体の要望を満たすことはできないだろうといわれます。
 現在の法制度では、ダム事業のもとで水没予定地から転出する契約を結ばなければ補償金が受け取れません。川辺川ダム事業では、本体工事が止まった後、五木村の水没予定地で住民の流出が加速し、ダム中止が決定した昨年には、一世帯しか居住していませんでした。
 同じ事態が八ッ場でも進行しようとしています。地域の人々をダムの重荷から解放する政策ー脱ダムの要請に応える法整備等が実施されない限り、ダム事業による破壊に歯止めはかかりません。八ッ場の場合は、水没予定地が観光地であることで、その影響はさらに深刻です。

◆2010年4月7日 上毛新聞一面より転載
ー用地補償費は45億円 八ッ場ダム本年度予算ー

 前原誠司国土交通相が本体工事の中止を表明している八ッ場ダム建設事業の本年度事業費154億5千万円のうち、水没予定地や道路用地などを地権者から買収する用地補償費が約45億円で、前原国交相が建設継続を表明した湖面1号橋を含む付け替え道路や鉄道などの工事費は約84億円であることが6日、分かった。
 国交省八ッ場ダム工事事務所(佐々木淑充所長)が、同日開かれた長野原町議会全員協議会と同ダム水没関係5地区連合対策委員会(萩原昭朗委員長)の会合で明らかにした。国交省は先月26日、本年度予算の本県関連事業の事業費の内訳を示していなかった。
 用地補償費については昨年度、政権交代で同ダム建設事業の先行きを不安視した地権者たちが、用地買収契約を急いで締結したため年度途中に底をつき、同工事事務所が新たな用地売買契約の申し出を断る異例の事態となった。

◆2010年4月7日 読売新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダム 用地補償費45億円提示 国交省事務所「場合により不足も」ー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100407-OYT8T00181.htm

 国土交通省八ッ場ダム工事事務所は6日、長野原町議会と水没関係5地区連合対策委員会に対し、2010年度予算で計上された事業費154億5000万円の使途について説明した。昨年度途中で予算が足りなくなった用地補償費は約45億円が確保されたが、昨年12月末時点の用地取得率は84%。同事務所は「不確定要因もあり、本年度の予算だけでは場合によっては不足する」としている。

 同事務所によると、事業費の主な内訳は、代替地や付け替え道路を建設する補償工事費が約84億円、移転希望者の土地や道路用地などを買収する用地補償費が約45億円、測量設計費が約9億円など。このうち、用地補償費は昨秋、政権交代前後に住民の買い取り希望が増加したため、年度途中で足りなくなる事態に陥っていた。

 国交省は今年度も未取得の用地買収を進めるが、代替地への移転は、土地の売却が前提となるため、移転希望者を優先して対応するという。

 この日夜に開かれた水没関係5地区連合対策委員会終了後、野口貞夫副委員長(66)は、用地補償費について「45億円でどの程度まで買収できるのか、金額を言われただけでは想像がつかない。今後、地区ごとの説明会もあるので、さらに詳しく聞きたい」と話した。

◆2010年4月7日 朝日新聞群馬版より転載
ー八ツ場ダムの予定地 今年度補償費45億円ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581004070001

 長野原町の八ツ場ダム予定地で、用地買収や住民の移転などのための補償費が、国の今年度当初予算で約45億円計上されていることがわかった。6日夜に同町で開かれた八ツ場ダム水没関係5地区連合対策委員会の会合で、国土交通省八ツ場ダム工事事務所が明らかにした。

 ただ、補償費が年度途中で底をつき、契約を希望しても待たされることになった昨年度に引き続き、今年度も途中で予算が不足する可能性に言及した。今後の道路や代替地の整備に関係する用地から優先して契約するという。

 今年度予算で国は、八ツ場ダム建設事業に約154億円を計上しているが、湖面1号橋などの水没地区の付け替え道路や、移転代替地などの生活再建事業を実施すること以外、事業費の内訳を示していなかった。このため未契約の世帯が多い川原湯地区を中心に補償費が注目されていた。

 会合では、優先順位をつけるとの国交省の方針に対し、旅館経営者らからは「誰だって早く契約したいんだよ」などと反発する声が相次いだ。

 また、萩原昭朗委員長がダムの水没予定地について、「ダム中止の場合、どう活用するか」と提案したが、ほかの委員から「ダム中止は認めていない」などと異論が出たため、議論にならなかった。

 国交省側は、国道145号八ツ場バイパスや県道林・岩下線の一部区間を9日に暫定的に開通させることなども明らかにした。

◆2010年4月8日 朝日新聞群馬版より転載
ーダム移転補償費「心配していない」ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581004080001

 八ツ場ダム(長野原町)の水没予定地の移転補償費として、国が今年度予算に45億円を計上したことを受け、大沢正明知事は7日の定例記者会見で「前原誠司国土交通相も全面的に解決に努力すると話しており、(補償費が不足する可能性が指摘されていることについては)心配はしていない」と述べた。

 国交省の担当者は6日、移転補償費について地元住民に説明。そのなかで、昨年度に続き、年度途中で底をつく可能性に言及したことに、地元住民から反発が出ていた。

 これに対し、大沢知事は「代替地の整備が全部済んで、すぐに移転という状況になっていない現状もある」と述べ、45億円を計上した国交省の対応に理解を示した。

◆2010年4月7日 毎日新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダム:補償費に計45億円 国交省事務所、住民に説明 /群馬ー
http://mainichi.jp/area/gunma/archive/news/2010/04/07/20100407ddlk10010189000c.html

 八ッ場ダム(長野原町)を巡る国の10年度予算154億5000万円のうち、代替地に移転する住民への補償費として、計45億円が確保されたことが分かった。国土交通省八ッ場ダム工事事務所が6日、地元住民などに説明した。国道や移転代替地関連の工事費としては83億円を計上した。ただし具体的な工事内容の説明はなかったという。

 ダムを巡る予算について、政府は昨年12月、本体工事分はゼロだが生活再建関連予算を154億5000万円とする10年度予算案を閣議決定。今年3月には、代替地を結ぶ湖面1号橋の建設を継続する方針を明らかにしていたが、予算の内訳は明らかにされていなかった。

 補償費関連については昨年秋、予算が底を突いたため同事務所が地権者からの用地売買契約の申し出を断る状況が続いていた。【奥山はるな】

◆2010年4月7日 東京新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダム事業費 使途別内訳公表 用地補償費は45億円ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100408/CK2010040802000107.html

 国土交通省は、二〇一〇年度予算に計上した八ッ場(やんば)ダム生活再建事業費百五十四億五千万円の使途別の内訳を公表した。「湖面1号橋」を含む付け替え道路建設や代替地整備などの補償工事費に約八十四億円、移転希望者の土地などを買収する用地補償費に約四十五億円が割り振られた。

 事業費の内訳は、国交省八ッ場ダム工事事務所が六日に、地元の水没関係五地区連合対策委員会などに説明した。湖面1号橋などの道路や、JR吾妻線のルート変更など、個別事業の工事費は明らかにしていない。現場の工事に直接関係する費用では、このほか測量設計費に約九億円が充てられた。

 用地補償費は、昨夏の政権交代前後に土地の買い取りを希望する住民が集中したため、〇九年度は年度途中で費用が不足した経緯がある。国交省は「用地補償費は、代替地移転を希望する住民に優先して使用していきたい」としている。 (中根政人)