八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ツ場の象徴 「十字架」連結

 政権交代後のテレビ報道で、たびたび映し出された十字架状の湖面2号橋は、昨秋、注目スポットと鳴り、脇を走る国道が大渋滞を起こすほどでしたが、12月に資材が落下して作業員が死亡したときは、殆どニュースになりませんでした。このほど、この湖面2号橋がようやくつながりました。湖面2号橋はダムの関連工事で造られている県道の一部ですが、橋の両側はまだできていませんので、橋がつながっても使えません。

●2010年5月28日 朝日新聞群馬版より転載

ー八ツ場の象徴 「十字架」連結ー
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581005280001

(写真)工事の最終工程を迎えた八ツ場ダムの湖面2号橋

(写真)政権交代前は、まだ橋の形にはなっていなかった=2009年8月11日、いずれも長野原町

 八ツ場ダムの湖面2号橋の橋げたがつながった。同様の工法で造られる「姉妹橋」の1号橋も、今月上旬に本格着工した。政権交代後の鳩山政権がダム本体工事を凍結する一方で、ダムで水没することを前提とした関連工事が進む。ある意味で矛盾した八ツ場ダムの現状を象徴している。

 2号橋は全長590メートル、高さ86メートルで、県道林・岩下線が通る。1号橋と同様、長野原町川原湯地区と国道145号八ツ場バイパスを結ぶ幹線になる。国土交通省は今年度中の開通をめざして工事を進めている。

 「谷底にそびえ立つコンクリートの橋梁(きょう・りょう)は、まるで巨大な墓場にいくつも並ぶ十字架のようだ」。昨年10月15日付の米ニューヨーク・タイムズは、2号橋をこう表現した。巨額の公共投資に依存した戦後日本の、象徴的な「永眠の地」との意味がこもる。

 当時は、4本の橋脚から両側に橋げたを延ばす工法が、十字架を並べたような景観をつくり出していた。だが、橋げたがつながった今は、もはや十字架には見えない。

 2号橋という名は仮称だ。前原誠司国交相がダム中止を言明して以来、将来に不安を抱える地元からは「(正式名は)前原橋でいいんじゃないか」との皮肉も。国交省は6月末、住民らを招いた式典を開く予定だ。(菅野雄介)

●2010年5月21日 東京新聞群馬版より転載
ー『十字架』今月末接続へ 八ッ場ダム湖面2号橋ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100521/CK2010052102000102.html

 八ッ場(やんば)ダム建設中止問題に絡み、工事途中の橋脚などが「十字架」と称されて全国的に有名になった長野原町の「湖面2号橋」の橋げたが、今月末に接続される見通しとなった。六月下旬には完成式も検討されている。

 同橋は、建設予定だったダム湖を横断して林地区と川原湯地区を結ぶ県道の一部で、全長五百九十メートル。国土交通省と県が二〇〇三年度から住民の生活道路として建設を進めてきたが、鳩山政権の誕生で前原誠司国交相がダム建設中止を表明。直後から、建設中の四本の橋脚がダムの象徴として連日のように報道され、ダム本体と勘違いされるほど話題になった。

 橋げたは間もなく接続されるが、道路の舗装や取り付け道路の整備などが残されており、供用開始時期のめどは立っていない。

 橋は昨秋から観光スポットとなり、紅葉の時期には記念撮影する観光客でにぎわった。 (山岸隆)

●読売新聞群馬版 2010年5月25日
ー八ッ場ダム「湖面2号橋」橋げたひっそり接続ー
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100525-OYT1T01056.htm

 群馬県長野原町の八ッ場ダム建設予定地で25日、工事途中の4本の橋脚が巨大な十字架のように見えて有名になった「湖面2号橋」の橋げた接続工事が完了した。

 橋は、水没予定地の住民が移転する二つの代替地を結ぶ県道で長さ590メートル。ダム完成後の地域の生活道として2003年度から建設が進められていた。取り付け道路などの工事を経て今年度中に開通する予定だ。

 ダム本体の建設中止が持ち上がった昨秋は大勢の観光客が押し寄せ、橋を背景に記念撮影する光景も見られたが、この日は工事関係者が作業するだけ。中止を掲げる前原国土交通相と、建設を求める下流都県との溝が埋まらない中、ひっそりと橋がつながった。