さいたま地裁の判決

 2010年、7月14日、さいたま地裁に於いて、八ッ場ダム住民訴訟の判決がありました。
 判決文はこちらです。↓
http://www.yamba.jpn.org/shiryo/saitama/saitama_hanketsu.pdf

 判決結果について、住民訴訟を担っている八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会代表の嶋津暉之さんの報告が八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会の公式ブログに掲載されていますので、転載します。
 ↓
http://yambasaitama.blog38.fc2.com/blog-entry-579.html

 ◆さいたま地裁 判決の報告
                    嶋津 暉之

 昨日の判決は残念ながら、原告敗訴でした。

 主文の読み上げのあと、判決要旨の説明がありました。
 判決は原告の全面敗訴でしたが、判決文には次のように若干のリップサービスがありました。裁判所としても、原告の主張を多少は認めざるを得ないということだと思います。

 「八ッ場ダムの利水上の必要性について、原告らの主張する水需要の予測、供給能力の評価及び八ッ場ダムによる水源の確保が不要であるとの評価が一つの評価としてあり得るとしても」

 「農業用水転用水利権について本来予定されている取扱いと実態との間にはかい離が生じていることは否定できない。」

 「現在における本件ダムサイトの基礎地盤の評価、対策が十分であると認めることができるわけではないことを考慮しても」

 「現在の地滑り対策が十分であるといえないとしても」

 ただし、治水については何のリップサービスもなく(判決要旨の声明では利水と同様に上記の言葉があったのですが、判決文にはありませんでした)、裁判長自身が調査嘱託を採用した16,750m3/秒の問題〔注〕について何の言及もありませんでした。
〔注〕「八ッ場ダム住民訴訟・さいたま裁判における原告の主な主張」の第2の3を参照

 また、利水については(裁量権の逸脱で判断すべきところを)治水等と同様に、一日校長事件最高裁判決の枠組みで、「著しく不合理とは言えない」「看過し得ない瑕疵があるとは言えない」という判断で違法性を否定しました。

 以上のように、原告敗訴でしたが、判決は違法性までは認められなかったということであって、埼玉県の主張が正当であると認めたものでありません。

 しかし、裁判に勝たなければなりませんので、控訴審に向けて頑張っていきたいと思います。

 ◆判決についての関連記事↓
2010年7月15日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/areanews/gunma/TKY201007140584.html

「著しく不合理でない」八ツ場ダム訴訟、埼玉住民側敗訴

 八ツ場ダム(長野原町)の建設費を埼玉県が負担するのは違法だとして、「八ツ場ダムをストップさせる埼玉の会」のメンバーらが上田清司知事らに公金の支出差し止めなどを求めた住民訴訟は14日、原告の請求が退けられた。さいたま地裁がダムの必要性について「著しく合理性を欠くと認めることはできない」としたのに対し、原告団は会見で、「著しく不合理だという立証が原告側に求められている。公共事業の無駄遣いを司法の立場でチェックしようとしていない」と批判した。

 すでに原告敗訴の判決を言い渡した東京、前橋、水戸、千葉の4地裁と同様の判断で、原告側は他の4訴訟に続いて控訴する方針。

 一方、上田知事は「妥当な判決。司法の判断で必要性が認められたもので、前原国交相は一日も早く本体工事に着手していただきたい」とのコメントを出した。

 訴訟で原告側は、八ツ場ダムの建設計画が治水、利水の両面で需要を過大に見積もったものだと主張。今後の支出の差し止めと2004年の提訴前に支出した約34億円の賠償などを求めていた。埼玉県は治水、利水の両面で必要性を強調していた。

 遠山広直裁判長は判決で、利水面では原告の主張に一定の理解を示したが、同時に「(八ツ場ダムで)水の安定的な供給を確保することが不合理であるとは言えない」との判断を示した。治水面については「利益がないとまでは認められない」とした。